「斗起夫くんについて」新堀隼弥
エッセイを担当する新堀隼弥です。
エッセイ…書けるかな…と思いつつ、今作品の思うところを書き連ねていこうと思います。
彼の出来事が主軸の今作品は、
斗起夫のカウンセラーを務める
ますみによる『まとめ』であると私は思ってます。なので、斗起夫くんを理解するには、ますみフィルターを通す為、斗起夫くん以外の全ての人は本当の意味で彼を理解できないのだろうなと思ってます。
例えば、
斗起夫にとって、
父の存在は負の存在として記憶されているにも関わらず、
話を聞いたますみの『まとめ』は、
『喪の作業』という心理学で用いられる遺族側が辿る一般的な過程に落とし込むようにまとめ書かれていると感じました。
*****
『喪の作業』
①無感覚・情緒危機の段階
②思慕と探求・怒りと否認の段階
③断念・絶望の段階
④離脱・再建の段階
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第一段階では、受け入れる事ができずに映画館に足を運び、
第二段階では、事実を受け入れ始め、責任問題等が書かれ、
第三段階では、父との思い出。
この作品で後半になるにつれ、不器用な父との会話の記憶が徐々に浮き彫りになる。そして、いわゆる鬱状態に斗起夫が罹っているのだと思う。(後半の行動は躁鬱の躁状態に思えた)
第四段階では、父を肯定的に描き、父からの離脱と共に斗起夫の行動が描かれる…
、、、。
恐らく、彼が実際に行動した事はもっと多い筈なのですが、私達(聴き手、視聴者、聴衆)が分かり易い様にまとめられてます。
本当に、彼が○○して、○○という結果に陥りましたと誰もが理解できる様な作りになってます……………。
まるで、マスコミを通したニュース番組の視聴者の様だな…………と思いました。
その時、初めてハタケのシーンがパズルの様にハマる感覚がしました。
私は、ハタケのシーンを舞妓さんと重ねて見てました。
舞妓さん、ご存知の通り日本の伝統ですが
若い頃から性的搾取の的として生きる事に対して声を上げたニュースがありました。
でも、実際にはどうでしょうか。
まとめられた情報・ニュースを表面的に知った「だけ」の状態。
現在は情報社会となっています。
情報が溢れていて、
まとめ役も数多くいて、
私達が情報を手に入れる時は
沢山の手垢でびっしりです。
また、
人間の感情はそう簡単にカテゴライズできないし、行動も画一化できるものではないとおもいます。しかし、現代の時代の流れは合理的・分かり易く、、、と。
なんか、矛盾してますよね。
手垢塗れで汚いのに、
時代は合理的を求めてる、って。
この作品を通して見る斗起夫くんは、
はてさて本当に斗起夫くんなんでしょうか。
今を生きる若者にとって、斗起夫という作品はどう見えるのか。
そう考えたところで思考停止しちゃいました。
これから沢山の稽古で、全体像を、理解を、していけたらなと思います。
以上、冗長な文章ではありますが!
新堀隼弥でした。
新堀隼弥(ぺぺぺの会)
ぺぺぺの会のメンバー。ぺぺぺの会の作品では、2019年『夢の旧作』、2021年『春琴抄ーホワイトアウトする静謐ー』、2022年『インスタント・レアリスム』に出演。その他にも、2021年に横浜国際舞台芸術ミーティングinTPAMに参加。
(家系ラーメンがすきで、ITや投資にも強い。世界への目の付け所がとても良い。編集:石塚より)
Twitter:@shun_yani_bori
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