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『嫌がってるキミが好き』を読んで
鬼山瑞樹先生の「嫌がってるキミが好き」。
久しぶりに読み返したけどやっぱりとんでもない漫画だった。
あらすじはこんな感じ↓↓
通信制の高校に通う白川みこと。容姿に自信があり、自分は「一軍」の人間だと信じているけど…周囲はそうは思っていない残念な女の子。ある登校日に生まれて初めて告白され、大槻まこととつき合うことになったが…!? 性的倒錯【パラフィリア】を描く変態ラブストーリー、略して“イヤキミ”!
この主人公の白川みことちゃん。
この子のまぁ愚かなこと!
全然タイプではないのに「彼氏がいる自分」を友達に見せたいが為にまことくんと付き合ってしまったのが運の尽き。
(その友達にも友達と思われておらず、見下されている)
とんでもない性癖と不幸への扉を開いてしまう。
その浅はかさや幼さ、傲慢さに身に覚えがあって読んでいてすごく心が痛い。シンプルに病む
誰しも大なり小なり自意識過剰になる時期はあるけど、このタイプは無い自意識を過剰に気にするから周りからのステータス、どう見られているかが自分を形づくる全てになってしまう。
自分に自信がない子の典型。
そんなんだから「自分の行動(殴る、首を絞める、ドッグフードを食べさせるetc.)によって嫌な顔をするみことちゃんが好き」と異常性癖を持つまことくんに別れるどころか依存してしまうんだろうね。
からっぽだからまことくんの異常性癖をスポンジの如く吸収してしまったんだと思う。
まことくんにとっては「殴りたい男」と「殴られたくない女」(ニュアンスが違う気もするけど)のま関係でよかったのにみことちゃんが受けいれて自分の性癖に昇華してしまうものだから嫌になってしまったのかな。
最後はまことくんに別れを告げられ、マッチングアプリでいじめてくれる男性と出会い、最終的にはその中の1人に激昂されて殺されてしまう。
本当に呆気ない人生だったと思う。
ドラマチックに2人が再会して終わるとかハッピーエンドなんかじゃなかった。
最後に大人になったまことくんが「みことちゃん何やってるかな、会いたいな」とみことちゃんを思い出す場面、本当に自分勝手だなと思った。
みことちゃんはまことくんで心が歪んで人生が終わったのに何呑気に考えてるんだお前は、と。
どこまでも自分のない女とどこまでも自己中心的な男。この構図はこの世界のどこかで現実ある組み合わせだと思う。
「他の人には愛せないところがたくさんある子なんですけど」
互いにそう思って依存していくんだろうな。
支離滅裂だけど最終的には自分を守るには自分を持つしかないんだろうなと思いました。
もう1人の登場人物の秀一さん(こちらはただ殴りたい方。みことちゃん&まことくんのせいで加虐癖が開花)となら「殴りたい男」と「殴られたい女」で幸せにとはいわずともwin-winな関係には慣れたんじゃないかと思う。