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ミステリ崩し

読んでいないミステリがたくさんあった。
この本たちを供養するには、ミステリ崩しをするしかない。

ミステリ崩しとは、スポーツの一種であることで有名な「ラノベ崩し」のミステリ版だ。

しかし、私には残念なことに人間の対戦相手がいなかったので、そのへんでゴロゴロしていたサメちゃんに勝負を仕掛けた。目と目が合ったのでバトルせざるを得なかった。サメだから両目を合わせるのはなかなかきつかったが。
私はどんどんミステリを積み上げた。
サメちゃんが拍手をする。どうやらサメちゃんはこれがスポーツ、真剣勝負だということをわかっていないようだ。
今回はエキシビションマッチのようなものなので、私が用意した本をお互いに積んでいった。
先攻は私だ。
まずは読みかけの「叙述トリック短編集」をつかんだ。続きが読みたくて最初に選んだが、文庫版のため上から2番目とあまり取っても意味がないようなところに積まれていた。いきなり守りに入るのは、スポーツとしてあまりよくないプレイをしてしまったかもしれない。
続いて、サメちゃんは真ん中あたりにあった「その裁きは死」を手(ヒレ)に取った。首(ないけど)を捻りながらもなんとか読み切っていた。サメのくせにまあまあ読むのが速くて感心してしまった。将来は探偵になれるかもしれない、と雑に思った。
次に私が手にしたのは「大逆転裁判」だ。某Vtuberもオススメしていたし、家に1も2もあるのに、私は第4話をやったところで寝かせていた。
なぜか? ネタバレになってしまうので詳しくは言えないが、作中で私にとってショックな出来事があったからだ。だから、ゲームをすることがつらくなってしまったのだ。そんなことをしている間にSwitchで移植版が出てしまった。私はスティックの壊れた3DSで何とか完走した。
サメちゃんの2手目は「ペンギンは知っていた」だった。あの本は某先輩から借りた後、返さずに大事に保管(悪く言うとパクった)していたものだ。今やこうしてサメちゃんが読んでいる。サスペンスドラマのように楽しい小説で、実際にサメちゃんもワクワクしながら読んでいるのが見て取れた。
初心者であるにも関わらず、サメちゃんはなかなかの強敵のようだ。

この戦い、思ったよりも長く続きそうだ――。
(ミステリ崩し #2に続く)

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