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映画『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ 』 池松壮亮のド本気(ネタバレ感想文)
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今年になって遅ればせながら出会った『ベイビーわるきゅーれ』。
ドラマ『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』も観るほどハマってるので評価が甘いです。
面白かった。「やった!」って感じ。
ずいぶん「殺った!」という意味も込みで。
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いま、日本で最高峰のアクションを魅せてくれる映画だと思います。
ま、レジェンド昔話をすると、釈由美子主演の『修羅雪姫』(01年)っていう素晴らしいアクション映画があったんですけどね。アクション監督はドニー・イェンだよ。あの頃から佐藤信介監督は信頼のブランドだったな。今や『キングダム』だもんね。一本目しか観てないけど。
ま、『修羅雪姫』の元は梶芽衣子だけどね(1973年)。さらに言うと、梶芽衣子版はタランティーノ『キル・ビル』(03年)のネタ元ですね。
自分で勝手に『修羅雪姫』を持ち出しておいてナンですが、もう「恨み節」の時代じゃないんですよ。
前田アッちゃんが「Z世代」と言いますが、ちさと&まひろはやっぱり今時の子。全てが軽やかで自然体。恨みとか復讐とか、動機が重いのは流行らない時代なのかもしれません。
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そんなこんなで、「ベビわる」に格別思い入れのある私ですが、このシリーズ3本目のキモは池松壮亮君だと思います。
なので、「モバイルバッテリー問題」ではなく「池松壮亮君“本気”問題」を語ります。
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我が家では「池松壮亮君“本気”問題」という問題があります。
私か妻が(主に妻が)「今度の池松壮亮君は本気らしい」という謎の情報を仕入れてきて、「池松壮亮君の本気を観たいんじゃ!」と言って映画館に足を運んでは裏切られる。これを何度も何度も何度も繰り返しています。
池松壮亮君と染谷将太は「尋常ならざる役者」だと思っています。
役作りというか役のなりきり方というか、醸し出す雰囲気が尋常じゃない。
名だたる監督の作品に出演している池松壮亮君は、常に本気で役作りをしていると思うんです。でも、彼の本気を活かせていない作品が多すぎる。
あまり「恨み節」は言いたかないですけど、「池松壮亮君の本気を観た!」と私が胸を張って言えるのは『宮本から君へ』(19年)くらいのもんです。
え?何で池松壮亮“君”かって?
こちとら、『ラスト サムライ』(2003年)や『鉄人28号』(05年)からのつき合いじゃ。
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結論を言うと、本作は池松壮亮君の「本気」否「ド本気」を観られる映画です。
本当に強い奴のオーラを纏っていて、それがちゃんと撮れている。CGやカメラワークでごまかさずに「ガチ」感がある。
ガチ感があると「マジで殺られるかも」感が出てくるんです。
いくら流麗なアクションでも、主人公に感情移入できないと面白くならず、ただのダンスにすぎないと私は思っているのですが、「マジで殺られるかも」感が観客の感情を引き寄せるのです。
多くの映画は主人公に感情移入させるべく、その背景を掘り下げます。
典型例が「恨み節」ですね。復讐劇とか超盛り上がる。
でも、「Z世代」ちさと&まひろにそういう背景は無い。
むしろそのユルさにこのシリーズの魅力がある。でも、ユルさでアクションは乗り越えられない。
それを補って余りあるのが、池松壮亮君のド本気なんです。
悪役は強ければ強いほどいい。
これは、シャア・アズナブルの時代から、否、『ガンバの冒険』のノロイから不変なのです。
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余談
不良品の弾丸のクダリなんか、組織と野良の違いを現す見事なエピソードだと思うんです。そういう具体的なエピソードが無いと「別に野良でもいいじゃん?」ってなっちゃう。
てゆーか、野良の殺し屋って何だよ?
(2024.10.06 渋谷シネクイントにて鑑賞 ★★★★★)