ドラマ『季節のない街』 今期真剣に観ていた傑作ドラマ(ネタバレ感想文 )
今シーズン最も熱狂し、毎回正座するほど真剣に観ていたドラマ。
宮藤官九郎の企画・脚本。監督はクドカンの他、横浜聡子まで参加。
クドカンと横浜聡子のカップリングなんてウチが観ないで誰が観る!
と、その製作発表の時点で我が家では狂喜乱舞していたのですが、ディズニープラス独占配信と聞き「ディズニーに、びた一セントも金を出したくない」とシュンとなって暮らしておりました。
すると、テレ東さんがこの春に放送してくれましてね。
おかげさまで、30分×全10話、正座して鑑賞できたというわけです。
ありがとうテレビ東京!足は痺れたけど。
偶然は重なるもので、実家の母の蔵書に山本周五郎の原作小説がありまして(今は青空文庫でも読めるようですが)、ウチのヨメはドラマ前に読了、私は事前に原作読まない派なので、ドラマが終わった今、原作を読んでいます。
ついでに言うと、黒澤明『どですかでん』(1970年)も未鑑賞。
なので、あの原作を現代でどう調理したかというよりも、純粋に「まっさら」な状態で観たという感じです。
その結果、ドラマの内容自体に対する感想というよりも、日本のドラマ制作の限界のようなものを感じてしまったんです。
本当に素晴らしいドラマなんです。
でも、今の日本のテレビ局では絶対に作れないドラマ。
この豪華キャストを集められる資本力というのもありますが、そもそも企画が通らないと思うんです。
そもそもクドカンが(黒澤明も)この話を「面白い」「映像化したい」と思った感覚が分からない。
いや、面白いのは分かるんだけど、この面白さを「他者に伝えられる」と思えるのが分からない。
『樅ノ木は残った』しか読んだことがないので山本周五郎をよく分かっていないのですが、そもそものそもそもを言っちゃえば、山本周五郎がこの話を「書きたい」と思った動機も分からない。
端的に言ってしまえば、およそ一般受けするドラマになるとは思えないけど、これを面白がれる一部の人がいて、その一部の人に向けて大金をつぎ込める余力が、日本のテレビ局には無いけれど、ディズニーにはあるんだなあ、という話。
これは市川崑も岡本喜八も言ってたことだけど、映画会社に力があって、稼ぐ作品があるから、儲け度外視でチャレンジできる作品が作れる。1本きりの製作委員会制度では「失敗できない」作品しか作れず、チャレンジングな作品は生まれない。といったようなこと。
ああ、あと、山本周五郎の原作はね、話がどうこうということより、その文体の巧さに圧倒される。巧い文章をちゃんと読まないといけないな。
勉強になります。