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映画『ミッシング』 さもありなん(ネタバレ感想文 )

監督:吉田恵輔/2024年 日(2024年5月17日公開)

吉田恵輔が好きだという話は過去に何度か書いています。

好きな理由は「いい意味で期待を裏切ってくれる」から。
言い方を変えると「想像を超えた嫌なものを見せてくれる」

でも、結論を言ってしまうと、この映画は「想像の範囲内」の嫌なものしか見せてくれなかった。まあ、嫌なものを見せられたのは確かなんですけどね。
どうしても『愛しのアイリーン』(2018年)を求めてしまうんです。
予想外に次ぐ予想外の展開。まあ、新井英樹の原作のせいもありますけど。

滅多に映画をオススメしない私がオススメする『愛しのアイリーン』。
ぜひ皆さんにも嫌な気分になってもらいたい(笑)。
もうほんと、オススメできない(<どっちなんだよ)。

この『ミッシング』だって巧いんです。吉田恵輔は本当に巧い。
例えば、想像とか妄想とか夢とかの描写はない。画面に映し出されるのは常に誰かの視点で切り取られた現実。
一方、主人公に伝えられる「偽」情報の音声やLINEの内容は観客には直接伝えられません。ネット書き込みは多少映りますけどね。
つまり、この演出の意図は、悪戯や誹謗中傷の相手が誰だか全く分からない「匿名性」なのです。

ただ、こうした演出もそうですし、とにかく話自体が現実的過ぎる。
現実的過ぎて、強いメッセージ性を帯びている。
吉田恵輔が、観客にどう思ってほしくてこの話をオリジナルで書いて撮ったのか、その意図は分かりませんが、何かしらのメッセージを持っていることは間違いない。
それが私には、なんだか説教じみて見えてしまう。
決して何かメッセージを声高に叫んでいるわけではないんですけどね。

うん、わかりますよ。だいたい、こういう話になりますよね。
想像していなかったコミカル要素もありましたけど、全体としては、さもありなん。
で?

余談
小野花梨はいいバイプレイヤーになると思うんだ。
オジサンね、お嬢ちゃんがこんな小さかった『南極料理人』(2009年)の頃から見てるからね。

余談2
柳ユーレイがいつの間にか柳憂怜といういい役者になってたんですよ。
なんか、利重剛みたい。

(2024.05.26 ユナイテッド・シネマとしまえんにて鑑賞 ★★★☆☆)

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