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映画『Chime』 恐怖の随筆。恐怖枕草子。いとこわし(ネタバレ感想文)

監督:黒沢清/2024年 米(2024年8月2日公開)

45分の中編。R15+。
黒沢清好きの私はそこそこ高評価ですが、オススメはしません。
(`•︵•´) キッパリ!!

ナンダカンダ言いながら黒沢清作品をほとんど観ているんですが、究極の黒沢清作品だと思います。

私は、黒沢清は「恐怖に対して真摯」だと思っています。
「恐怖中心主義」と言ってもいい。
ストーリーよりも「恐怖」重視。
謎解きよりも「恐怖」。理由や説明よりも「恐怖」。
観客の納得よりも「恐怖」。
全ては「恐怖」のために。
本作は、それが如実に現れた作品なのです。

つまり、黒沢清が考える「これ、怖いよね」集。
物語というよりも散文や随筆に近い。恐怖枕草子。いとこわし。

奥さんが鬼の形相で空き缶踏み潰し。いとこわし
JR中野駅付近に渡辺いっけいが突然・・・いとこわし

ある意味、黒沢清の集大成にも思えます。
『CURE』(1997年)であり、『回路』(2000年)であり、『トウキョウソナタ』(2008年)でもある。
あと、寝袋はこないだの『蛇の道』(24年)でも使ってたろ。
どうした?仕入れ過ぎたんか?

ただ、私は彼を「この世界は不安定であることを描き続ける作家」と評していたんですが、「真の恐怖は人間である」というのが本作の、そしてここ最近の傾向のような気がします。

たぶん、世界一の「ディスコミュニケーション」映画。
劇中の登場人物もそうだし、作品と観客の間もそう(笑)
たぶん多くの人は「は?」ってなると思います。

え?私の高評価の理由?
ワンカット長回しの殺人シーン。最高じゃないか!

(2024.08.18 新宿シネマカリテにて鑑賞にて鑑賞 ★★★★☆)

noteに書いた他の黒沢清作品の感想文


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