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映画『スプリング・フィーバー』 当局の神経を逆撫でするロウ・イエ(ネタバレ感想文)
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自分でも旧作ばかり観てないで新作を観なさいよと思いますし、年末のチャン・イーモウ3作から続いて何で中国映画ばかり観てるのさと思いますが、2025年最初の劇場鑑賞はロウ・イエ『スプリング・フィーバー』。
自分でもロウ・イエが好きなのかどうか疑問ですけど、嫌いじゃないのは確かです。
少なくとも昨年観た『天安門、恋人たち』(2006年)は滅法面白かった。
で、本作はその次の作品なのですが、『天安門、恋人たち』で5年間の映画製作禁止処分を受けたロウ・イエが、当局の目をかいくぐって手持ちカメラによるゲリラ撮影で撮ったそうです。
その上、中国共産党が禁止している同性愛がテーマ。
同性愛禁止ってどういうことよ。お前の国、清朝時代なんて世界有数の同性愛国だったじゃないか。今度は自由の国アメリカでもトランプが「トランスジェンダーの狂気を止める」とか言うとりますが、世界はどうなっちゃうんでしょうね?
それはさておきこの映画では、中国共産党が同じく禁止している(正確には報道制限している)クラブやロックも描写されています。中国のクラブでロックが演奏されてる映像なんて初めて見た。
もうね、映画製作禁止処分に腹を立てたロウ・イエが、中国共産党の嫌がることをわざとやってるようにしか見えない(笑)
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ただ、ロウ・イエが中国の「今」を描こうとしているのは分かります。
『シャドウプレイ』(18年)でも同じ感想を持ったな。
チャン・イーモウが「過去」の物語を描いて「消えゆく文化」を映像に残そうとしていることと真逆です。
むしろ、今の「真」の中国を描くことで、当局に「消される文化」をあぶり出そうとしてるかのようです。
この映画の設定は面白い。『スプリング・フィーバー』(春の嵐)というタイトルが本当に相応しい。
だけどちょっとダラダラ長いというかスッキリしないんですよね。
ま、ロウ・イエはミケランジェロ・アントニオーニ好きだから仕方がない。
(2025.01.03 Morc阿佐ヶ谷にて鑑賞 ★★★★☆)