ドラマ「バイプレイヤーズ~名脇役の森の100日間~」雑感
2021年1月クールのドラマの雑感3つめ。結果、最後まで観る(であろう)ドラマはこの3本だけだった。
私は、いわゆるバイプレイヤーが好きです。光石研なんか大好物で、なぜだか映画で光石研を見つけるたびに「光石研が出てた」旨のコメントを残すのが常で、こないだ調べたらそんな映画が20本以上もありました。気に入ってるのは岩松了監督『たみおのしあわせ』(07年)。光石研ね、後ろ姿しか出てないの。たしか玄関の鍵を修理する役じゃなかったかな?
そんなわけで、このドラマ「バイプレイヤーズ」シリーズは欠かさず観ています。名脇役達をウヒウヒ楽しく見てます。津田寛治とか大倉孝二とか大好物なんですよ。あと安藤玉恵とかね。私は映画『探偵はBARにいる』(11年)を「ルパン三世」見立てだと思ってるんですが、無駄に色気を振りまく喫茶店のウェイトレス安藤玉恵は峰不二子のポジションだと思うんですよ。役名も峰子でしたしね。峰子?
話が横道にそれました。時を戻そう。
最初の「バイプレイヤーズ」は、チャン・イーモウが『七人の侍』をリメイクするんだけど主演の役所広司が他の仕事で遅れているので先に6人で同居して待っていてくれ、という映画マニア爆笑必至の設定でスタートしました。
でも、このドラマの面白ピークはここで終わってしまった。
先に長々書いたように、私は役者が見たいんです。おそらく多くの人もバイプレイヤーの生態(?)が知りたいと思うんですよね。撮影現場の裏側とか役者の素の姿とか。
『七人の侍』リメイク話が実は嘘で背後には過去のある事情が・・・なんてしょーもないストーリー展開はいらなかったんですよ。中途半端な(有体に言ってツマラナイ)ストーリー仕立てにした結果、ただ単にいつもは脇役の俳優が主役を務めただけのドラマになってしまった。
実際、シーズン1は、ドラマ後にあった主演6人が雑談するオフショットの方が面白かったくらい。いや、出演者は面白かったんですよ。夏川結衣とか大好物だし。
シーズン2に至っては「ロケ現場にたどり着けない」という、もはやバイプレイヤー以前の問題。たしか、シークレットゲストとのアドリブ芝居みたいなこともあったけど、それも何か違う気がする。こう言っちゃナンだけど、大杉漣の急逝で救われた感が否めない。とにかくドラマとしての出来は酷かった。いや、相変わらず出演者は面白かったんですよ。板谷由夏とか大好物だし。
で、やっとこのシーズン3の話。
垂涎ものの豪華役者陣はメチャクチャ楽しい。ジュルジュル。
でもやっぱり話はやりすぎ。最初こそ(かろうじて)撮影所あるあるやドラマパロディーも成立していたけど、撮影所内で仕事を探すとか落とし穴を掘るだとか他局の子役を誘拐するとか、もはや「それ、本当に面白いと思って脚本書いてるの?」と疑うレベル。だいたいさ、本田博太郎なんてその存在だけで面白いのに、変な格好させるから逆にスベってるように見えるんだよ。皆いい役者、いい素材なんだから、余計なことをしなくていいんですよ。
ただ、裏を返せば、意図的にガチを避けているようにも思います。当人達もガチな演技合戦を避けている。要するに豪華脇役俳優陣の顔見世興行という「お祭り騒ぎ」。ガチな勝敗にはこだわらないオールスター戦みたいなもの。
そう考えると、もはや面白いかどうかも疑問の現実離れしたストーリーにも意味がある。「本人役」を「戯画化」しているんですよ。やっぱり本人役って演じにくいと思うんです。だから自己パロディーというか、「同姓同名の別人」にしてしまっている。なので「らしくない」役も見受けられる。その結果、逆に「もっと素が見たい」「その人らしさが見たい」と思ってしまう。堂々巡り。
いや、相変わらず出演者は面白いんですよ。堀内敬子とか大好物だから。