
映画『或る夜の出来事』 これがラブコメ。THEラブコメ(ネタバレ感想文 )

船の上の女が、飛行機乗りの男に会いに行く途中、車に乗った男に出会う物語。
なんて素敵な設定。
泳いで逃げた娘が、走る花嫁となる。
なんてチャーミング。
ラブコメとか、ロマンチックコメディー、まあ、そういうジャンルの基本形と言うか王道というか原型の作品。
『ローマの休日』(1953年)や『卒業』(67年)は本作の本歌取りだったんだと改めて気付きました。父親の理解は『昼下がりの情事』(57年)も彷彿とさせます。
私はこの映画を観るのは3度目なんですが、映画館のスクリーンで観るのは初めてでした。
大画面で観て気付いたんですが、「走る花嫁」シーンの、まあ映画的なこと。ストーリーもさることながら「映画的なシーン」って重要。
改めて「映画らしさとは何か」を90年前の映画に教えられた気がします。
あと「ヒッチハイク」シーンね。
あそこだけギアが一段上がってる気がする。

余談
ものすごくどうでもいい話ですが、映画館のロビーで上映を待っている間、1本前のキャプラ作品(作品は何だろうな?『其の夜の真心』(34年)かな?)の上映が終わって出てくる観客の中に柄本明氏がいたんです。
まあ、彼を見るのは初めてじゃないんですがね。
舞台挨拶以外の「観客」として来場している芸能人を映画館で見たのは、約10年前に、息子の柄本佑と時生を見たことがありますよ。『合衆国最後の日』(77年)だったか『カリフォルニア・ドールズ』(81年)だったか、ロバート・アルドリッチの特集上映だったと思う。
映画好きの親子なんですね。
ま、どうでもいい話ですけど。
(2024.07.27 渋谷シネマヴェーラにて再鑑賞 ★★★★★)