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映画『地下水道』 大阪の地下街で迷った時は地獄だったな(ネタバレ感想文)
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アンジェイ・ワイダ作品は、大学生の頃に『灰とダイヤモンド』(1958年)を観ただけ。
国立映画アーカイブで特集上映していたので通いたかったのですが、スケジュールが合わなかったり既に満席だったりで、結局観られたのはこの一本だけ。今さら初鑑賞。
30数年前に『灰とダイヤモンド』を観た際にも感じたのですが、救いのない陰鬱な話なのですが、映画の印象はそれほど陰鬱ではない気がします。
娯楽作のテイストすら感じる。
この題材に対して不謹慎ですけど、スタイリッシュでカッコいい。
ついでに言うなら登場する女性たちが美人でセクシー(笑)
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アンジェイ・ワイダ31歳頃の作品だそうですが、なるほど、たしかに映画が若い。
撮影も無茶してますよね。どうやって撮ってるんだろう?
例えば、タイトルバック。
この映画が製作された時のポーランドは、ドイツの占領化から開放されて10年くらいだと思うんですが、まだ街はこんなに焼け野原だったのだろうか?
それに、その後に続く驚異のワンカット長回し。この動画ももっとワンカット長回しが続きますからね。
あと肝心の地下水道もね。カメラマンは水の中を移動してるよね?
当時の機材は決して軽くなかったから大変な撮影だと思うんですよね。
照明の電源とかどうしたんだろう?
そんな撮影技術ばかり語りましたが、話は……難しい。
難しいというか、日本人の私には皮膚感覚では理解できない。
ま、『八甲田山』(77年)も理解できないけどね。
天は我々を見放したぁ
「ポーランドはヨーロッパの玄関マットだ」という名台詞があるのは、『メル・ブルックスの大脱走』(83年)だったかな?
戦後、日本はアメリカの統治下になりましたが、ポーランドはソ連の統治下で社会主義国になったんですよね。そこからさらに民主化されるまで長い年月を経るんですが、この映画の製作時点ではまだソ連の衛星国。そもそも第二次大戦の際に、ドイツとソ連と両方から侵略されたんじゃなかったかな?
「ヨーロッパの玄関マット」と揶揄されるほどいろんな国に踏みつけにされたポーランドの複雑な歴史的背景が皮膚感覚で理解できると、もっと楽しめる気がするんですよね。
なんとか自分の理解できる範囲に落とし込んだのが大阪の地下街(<そこかよ)。
大阪の地下街って地上と地下の道が合ってない気がするんですよ。
もし表示がなかったら、この映画と同じことになってると思うな。
(2024.12.25 国立映画アーカイブにて鑑賞 ★★★★☆)
そもそもポーランド映画を観る機会ってなかなか無いですよね。
イエジー・スコリモフスキ『アンナと過ごした4日間』(2008年)以来じゃないかな?
ああ、『イーダ』(2013年)ってのを観てるな。