朝ドラ『虎に翼』 女性の生きる道を照らすドラマ(ネタバレ雑感 )
110作目のNHK朝ドラ、完走したのは105作目の「カムカム」以来。
観ようと思ったきっかけは、伊藤沙莉が主演だから。
ま、既に書いてますけどね。
役者目当てで観始めると、途中から「しかたがないから付き合ってやるか」になっちゃうことが多い。要するにドラマとしてツマラナイ。
「途中から」って書きましたけど、たいがい1話目の途中からそうなる。
ところが本作は、最初からノリノリで観られたんです。
台詞のテンポの良さとか、言葉の選び方とかが観ていて心地良く、「この脚本家、感性が合うかも」と思って観ていました。
吉田恵里香という脚本家、調べたらこれまで全くご縁が無かったのですが、本人がインタビューの中で次のように言っているので、好みの合う人なんだと思います。とても信頼できる人(笑)
川上弘美は天才だという話は、ドラマ「ユーミンズストーリー」の感想文で語りましたけどね。ただ、最近あまり本を読んでないので偉そうなことは言えない(恥)
あと、向田邦子についても語っていいですか?
いやまあ、ダメだって言われても語りますけど。
本当に大好きな尊敬する脚本家で、『阿修羅のごとく』(1979年)、『阿修羅のごとく パートII』(80年)は録画して永久保存版として残してありますし、その脚本は何度も読み込んでいます。
演出は和田勉なんですよね。脚本の単行本もあとがきも和田勉で、一度和田勉を見かけたんですよ。成城の喫茶店だったかな?サイン貰おうかと思ったんですが、ちょうどその時『阿修羅のごとく』の単行本を所持していなかったのと、本人を目の前にしたら「映画『ハリマオ』(89年)はつまんなかったな、金返せ」って言いそうだったのでやめといたよ。
あれ?何の話だっけ?
やっとドラマの話に入ります。
原作のないオリジナルで、史実をベースにした「フィクション」という理解でいいと思います。
吉田恵里香はまだ幼いお子さんがいるそうですから、自身も投影していると思いますし。
でもこれは「女の生きざま」ドラマではない。
寅ちゃんの生きざまでもなければ、三淵嘉子の生きざまを描くドラマでもないんですよ。スーパーウーマンの輝かしい経歴を紹介するドラマではないと言った方が分かりやすいですかね。
これは「女性の生きる道」を「照らす」ドラマだったのではないでしょうか。むしろ、今を生きる女性に向けたドラマ。
時代は異なれど、普遍的なテーマだったように思います。
うん、面白かったですよ。面白かったんですけど、終盤はちょっと重かったかな、朝ドラとしては。少し見るのが辛くなったのも事実。
まあ、テーマがテーマですし、史実をベースにしているから無理もないのかな。
もう一つ苦言を呈すると、ちょうど最終週近くに『カーネーション』の再放送が始まったので気付いたのですが(振り返ってみればナレーションは尾野真千子だったのですが)、晩年は別の女優さんが演じても良かったのかな?と思います。
沙莉好きだし、いい女優だと思うけど、さすがに母親や老年は説得力がない。
そこの説得力が無くなると、彼女の理想が青臭い空論に見えてしまう。
余談
もう我が家では、戸塚純貴は一生「轟」ですよ。
それまでは「純喫茶くん」と呼んでましたけどね。
『純喫茶に恋をして』ってドラマで主演してたのよ。
あと、こないだの『新宿野戦病院』の歌舞伎町のホストね。
あとあと、三谷幸喜『スオミの話をしよう』(2024年)ね。