寛容な心を大事にしたいのです。
私はある友人に、「あなたが大事にしている言葉を書いてくれ」と言われてスケッチブックと筆ペンを渡されたことがある。
その友人は、出会う人出会う人に「その人が大事にしている言葉」を書いてもらってスケッチブックと一緒に写真を撮り、集めているらしい。
人との出会いを大切にするための方法はきっといくつもあるのだろうが、その取組を聞いて私は、「なんて素敵なやり方なんだ」と思った。
出会ったタイミングで急に問われて思いついた「大事にしている言葉」には、きっとその人の人間性が凝縮されているはずだ。また、この時代にあえて手書きを選択することで、その手書きの文字にはその人自身が滲み出るだろう。
つまりこの方法は、単なる写真以上に、出会った相手の人間性をもそこに凝縮して保存するアルバムの役割を果たしている。
そんなことを思いながら、冒頭の問いについて考え、私はいったい何と書いたか。
少し考え込んだが、不意にパッと出てきた言葉が、「寛容な心」という言葉だった。
後から考えると、他にも大事にしたい言葉はずっとたくさんあるのだけれど、きっとそれぐらいすぐに思いつくということは、ある程度自分の中で優先されている言葉だったのだろうと思う。
寛容な心。
人に迷惑をかけられそうなときも、決して怒らないこと。
何事に対しても冷静に、決して驕らず謙虚であること。
確かに私がいつも心がけていることだ。
スケッチブックに筆ペンで改まって書くと、自然と丁寧に書こうという気持ちが生まれ、その言葉が自分自身の中にも改めて刻み込まれるような感覚がした。
この体験は数ヶ月前の話だが、今もそのときの状況をしっかりと思い出せるくらいに印象に残っている。だから、こうして文章にして書くことができてもいるのだろう。
これからも「寛容な心」を忘れずに、穏やかな気持ちで生きていきたいと思う。