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【飲食店と漫画】ー伝えたいことの伝え方
今回は『伝えたいことの伝え方』について考えたことを書いてみたいと思います。飲食店のみならず、仕事やプライベートでも、最近大注目の『伝え方』。書籍もたくさん出ていますし、ぼくもいくつか読みました。
そこで得た知識も踏まえながら、居酒屋を経営する毎日で実際に経験し、感じたことを書いていきます。
ハラユキさんとの出会い
ぼくら夫婦は、鹿児島市で居酒屋『ペンギン酒店』をやっています。2019年の3月にオープンしたので、開店して1年ちょっとです。(2020年6月現在)
ぼくたちのお店のテーブルには、A3サイズのラミネートした紙がおいてあります。そこにはこんな漫画が描かれています。
この漫画を描いてくださったのは、コミックエッセイストのハラユキさんです。鹿児島市で行われたイベントのゲストとして来ていたハラユキさんがイベント前夜に主催者の方と一緒にペンギン酒店に来てくださったのが最初でした。
ぼくらも家族でこのイベントに参加して、そのあともハラユキさんの連載やインスタグラムでの発信を楽しみに見させてもらっていました。
こちらがハラユキさんの連載『ほしいのは「つかれない家族」東洋経済オンライン』です。
とにかく漫画が好きだった子ども時代。そして今も好き。
ぼくの父親は無類の漫画好き。書店の書棚の横に貼っている出版社ごとの毎月の最新刊リストをチェック。普通は仕事で使う手帳に、自分が買っている漫画のリストと最新刊の巻数をこまめに書き込んでいた。今もやっているかもしれません。
行きつけの喫茶店では週間漫画雑誌をかかさず読みつづけ、近くにある父親の実家には漫画専用の書棚部屋があり、壁には特注の本棚がぴったりと壁一面にくっついていました。その後結局入りきらなくて、さらに床に平積みされていきました。
そんな父親の息子として生まれ育ち、父親の実家ではご飯の時間以外はむさぼるように漫画を読み続けました。小学生になると家に送られてきた進研ゼミの漫画すら毎回楽しみに読んでいました。
今でもたまに、奥さんと一緒に漫画喫茶に入り浸ることもあります。TSUTAYAでわざわざコミックレンタルしてくることもあります。とにかく読み始めると止まらないので、もしかしたら病気かもしれません。
ちょっとだけ、漫画で情報を伝えることについて考えました。
漫画の魅力はいろいろあるが、伝えるとか伝わるとかを意識するなら、
なによりも漫画が持つ『みんなにちょうど良いスピード感』がたいせつだと思っています。
読んでいる人や読み方に合わせて、物語が伝わるスピードが変わる。
読んでいる人がゆっくり読むことも速く読むこともできる。
そんなのは当たり前といえば当たり前なんですけどね。
あとは文字と絵が両方ある。日本語が読めなくても、なんとなく理解できる、のかな? ちょっとそこはわかりませんが、文章を読むのが苦手な人でも、漫画だとけっこう伝わる気がしています。
実際にペンギン酒店では
この描いてもらった漫画をラミネートしてテーブルに置いています。
この漫画を置く前は、うちのお店の情報を口頭のみで伝えていました。
・テーブルにメニューがなくて、全部カウンターで選んでもらうこと。
・基本的に先払いのそのつど払いでお願いしていること。
・コースがあるけど、内容は特に決まっていなくて相談しながら決めること。
これだけでも毎回お客さんに伝えるのは大変です。でも漫画だとお客さんが気軽に手に取って読んでくれます。正直めちゃくちゃ助かります。
この他にも、
・他のお客さんとなかよくなれる。
・子連れ大歓迎。
・ノンアルコールもたくさんある。
・夫婦で世界一周旅行していた。
・ホタルイカの八代亜紀風がおすすめ。
など、口頭では伝えきれない情報量が5ページの漫画につまっています。この漫画を置きはじめてから、お客さんたちにもお店のシステムが『伝わってるな』と実感することが増えてきたように思います。
ハラユキさんという人のすごさ
漫画の可能性は信じていたものの、僕らの意図するものをくみとって作り上げてもらうのは正直むずかしいかもしれないと思っていました。
ただ、ハラユキさんの連載をいくつか読んでいるうちにその『伝える力』を感じることが多々あり、思いきってメッセージを送りました。引き受けていただいたときは本当にうれしかったです。
実際にオンラインで打ち合わせして、僕らの話を聞いて、質問や提案をいただき出来上がった漫画をはじめて見たときは感動しました。
めちゃめちゃわかってもらえてるというよろこび、です。
そしてそれから数ヶ月後、今度はハラユキさんから取材の話をいただきました。その記事(全3回)がこちらです。
この連載中、ハラユキさんとのやりとりでぼくらは何度も『わかってもらえてる!』というよろこびを感じることができました。
理解してるから、伝えられる。
当たり前のことですが、とても大切なことを教えてもらいました。
今回の取材でぼくたち自身がぼくたち自身のことをあらためて理解することができました。
ハラユキさん、ほんとうにありがとうございました。
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