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日本将棋連盟 100周年を祝う会 参加レポ


100周年の伝統の重み

2024年9月8日。この日に創立100周年を迎える日本将棋連盟の祝賀会が、帝国ホテルで行われた。
日本将棋連盟の前身である東京将棋連盟が発足した1924年(大正13年)は、庶民の生活にゆとりが生まれ、スポーツなど様々な娯楽を楽しむようになった時代であり、阪神甲子園球場も同年に建設されている。
帝国ホテルの正面ロビーには目に鮮やかな装花が飾られ、晴れの場に相応しくドレスアップした紳士淑女が行き交う。
非日常空間に心を躍らせ、足音すらかき消される厚みのある絨毯に慣れないハイヒールをとられないようにしながら、館内最大のキャパシティとなる2階の孔雀の間へと向かった。

360度どの角度から眺めても美しい装花でおもてなし

会場へ続くロビーには100周年の歴史を当時の写真と共に紹介する展示ボードがあり、100年の間には本当に様々な出来事があったのだと、歴史の教科書を読んでいるような気持ちになる。
時系列がボードの長さで視認できるので、2017年の羽生善治先生の国民栄誉賞受賞でさえこの歴史の中ではごく最近なのだと、改めて積み重ねてきた時間の長さに思いを馳せた。

パノラマモードでなければ全体を写せないほどに長い
羽生先生の国民栄誉賞受賞も100年のなかでは最終盤

玉将シート特典 ツーショット撮影会

玉将シートには、希望の棋士・女流棋士と写真撮影ができる特典が付いている。待機場所の目印に掲げられた希望棋士名の旗には、他の旗の棋士名が4人〜8人なのに対して唯一単独で「豊島将之九段」と書かれている。列の後ろを振り返ると豊島先生を希望された方は35人くらいはおられたようだ。
そしてついに撮影会場へと誘導される。金屏風の前にはスラリとした立ち姿の豊島先生。本物だ…!
ここからは私のド緊張のやりとりを、私の心の声と共にお楽しみ頂きたい。

私「失礼します」(面接会場に入室する学生さん⁈)
豊島先生(透明感抜群の微笑みで迎え入れる)
私「あ…お願いします!」(プレゼントを手渡し。あーあ、ねるとんの告白タイム⁈もっと気の利いた言葉あるよね⁈)
豊島先生「ありがとうございます(優しい微笑み)」
私「あ…あ…応援してます!」(尊敬してますお会いできて光栄です先生の将棋が大好きです…ひとことじゃ伝えきれない!)
豊島先生「今日は楽しんでください(目を合わせて優しさMAXの微笑み)」
私「あ…ハイ…!」(わぁ〜っ近い近い近い…!腰抜けの状態でかろうじて転ばずに立ち去る)

手荷物を取りに戻ると、まだ手は震え膝もガクガクしていた。直筆の揮毫色紙は「研道」を頂いた。
写真の中の私は自分でも見たことがないくらい幸せな顔をしている。
他の参加者も皆さん幸せいっぱいの笑顔で撮影タイムを楽しんでおられた。お優しく紳士的な豊島先生は想像以上に素敵なかたで、ますます先生を応援したいという気持ちになった。

まさにロビー活動⁈棋士との歓談タイム

写真撮影後、祝う会が始まるまでの約1時間半の間、ロビーには開場を待つ棋士先生方が大勢おられて、棋士同士や参加者との会話を楽しんでいる。
右を向いても左を向いても棋士の先生という非日常空間に脳がバグを起こしつつも、千載一遇のチャンスなので夢中で数十名の先生方にお声がけさせて頂いた。
中には前日の奨励会三段リーグ最終日で四段昇段を決めたばかりの吉池隆真三段の姿もあった。
憧れの先生、応援している先生、初めてお話しさせて頂く先生ばかりで、直接応援の気持ちをお伝えすることができて感激でいっぱいだった。
これほどまでにたくさんの棋士の先生方が一堂に会する機会は今後滅多にないだろう。これだけでもこの会に参加できてよかったと心から思った。

エリア対抗!目指せ、ピッタリ10人クイズ

定刻の午後6時、会場の大型スクリーンにオープニング映像が流れ、100周年カウントダウンのタイマーが0を表示し、祝う会がスタートした。

100周年カウントダウン映像をを全員で見届ける

最初のコーナーは全国8エリア代表の棋士・女流棋士が会場の約600人の参加者から10人ピッタリになるようなお題を考え、参加者は自分が該当すればうちわを上げてアピールするクイズ大会だ。
ここでシークレットゲストMCに将棋ファンとしても有名なサバンナ高橋さんが登場し、楽しく進行される。
各地域代表の先生方が練りに練ったお題が出題される中、関西Bエリアの斎藤慎太郎八段と出口若武六段ペアが見事に10人ピッタリを当て、勝負勘の確かさに会場は拍手喝采だった。
九州エリアの佐藤天彦九段と佐々木大地七段ペアは、九州でとんこつラーメンと長崎チャンポン両方食べた事がある人、というお題でざっと見ただけで200人以上のうちわが一斉に上がり、さすが貴族の感覚ですね⁈とコーナーのトリにふさわしいオチがついた。

逆に難しい⁈該当者1名を当てた中部エリア代表の豊島先生
関西Bエリア代表の斎藤先生と出口先生は見事に10人的中!
関西Bの的中直後で動揺⁈を隠せない山崎先生と糸谷先生
ドボンを引いてしまった天彦先生と佐々木大地先生
天彦先生…食べずに帰るほうが珍しいかもしれません…!

白熱するスマホで早押し!観る将選手権

スマホを使って早押し時間と正解数を競うクイズ形式は、TBSのオールスター感謝祭でもお馴染みだ。
アシスタントMCに山口恵梨子女流三段が登場し、将棋フォーカス司会コンビで「アンサーチェック!」の声に自分も芸能人になった気分で早押しクイズに参加する。

私自身は年間最高勝率記録の中原誠十六世名人の問題で、
文字が似ていた中村太地先生を押す痛恨ミスで圏外へ

中間発表ではスクリーンに注目が集まるなか、第1位に「フジモトナギサ」と表示され、場内は大爆笑だった。このクイズには棋士の先生方も参加されていたのだが、ニックネームじゃなくてそのままですねとサバンナ高橋さんからも突っ込まれる藤本渚五段、おいしすぎる展開に改めて持っておられるなと藤本先生のスター性を感じた。
優勝は朝日新聞観戦記者の諏訪景子さん。さすがの集中力とトップ観る将⁈の貫禄勝ちだった。

棋士顔写真ビンゴ抽選会

最後は棋士・女流棋士の顔写真が並んだビンゴカードを使ってのビンゴ抽選会。羽生善治会長や藤井聡太七冠、伊藤匠叡王、永世・クイーン称号保持の先生方が登壇され、スタート、ストップの掛け声と共に自らボタンを押してくださる。ビンゴした幸運な方々には通常サイズの2倍近くはある超豪華揮毫色紙がプレゼントされた。
最後にコメントを求められた藤井七冠は、私もビンゴゲームに参加するつもりでいたのですが…とユーモアたっぷりに話され、会場の笑いを誘っていた。

自分もビンゴに参加したかったと悔しがる⁈藤井七冠
毎日眺めるだけでも棋力向上しそうな超・豪華揮毫色紙

次の100年への初手

会場の照明が落とされ、エンディングの映像が流れた後、正面ステージのスポットライトに、将棋盤の前に座った羽生善治会長の姿が浮かび上がった。
静まり返った会場の注目の中、静かに初手を指す羽生先生。将棋界が次の100年に向けて力強く一歩踏み出していくのだと印象づける素晴らしい演出に、強く心を掴まれた。

通算獲得タイトル数は99期
羽生会長による次の100年への初手で閉会した

将棋界を推せる喜び

100周年の重要な節目のイベントに、棋力やファン歴など分け隔てなく、私のような新参者の初心者観る将にも門戸を開いて迎え入れてくださる将棋界は、今後も間違いなく多くのファンを獲得していくことだろう。
素晴らしい瞬間を多くの棋士の先生方、ファンの皆様と同じ空間で迎えることができ、それが私にとって何よりの宝物になった。
今後もすっかり虜になってしまう魅力満載の将棋を楽しみながら、普及の一助に微力ながら私も何らかのお役に立てるなら、こんなに幸せなことはない。

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