サブスクのUXデザインは、なぜ難しいのか? - 広告、コマースモデル比較
こんにちわ、バーチャル六本木で働くデザイナーです。
これまで、メディア・広告、コマース、会員と、様々なサービスモデルとUXデザインを経験させていただき、ふと「課金モデルとUXデザインの関係」は、まだ体系化の余地があるのでは?と振り返ってみることにしました。
そもそもサブスクリプション、リカーリングとは?
ユーザーと一定期間契約し、商品・サービスを売り続ける仕組みで継続的収入を得る「ストック型」ビジネスモデルです。
両者の違いは
サブスクリプションとは?【Subscription】
リカーリングとは?【Recurring】
リカーリングモデルの方が歴史が古く、社会環境が「所有から利用へ」に消費行動や価値感が変化し、スマホやテクノロジーの進化に合わせて、サブスクリプションサービスが日常生活に融け込むようになりました。
課金モデルのUXデザインは難しい?広告、コマースモデルと比較
初めて会員モデルとサブスクリプションサービスを担当した時、しばらくUX感覚が掴めずに苦労しました。当時を振り返り言語化してみると
難しいと感じる理由は「ユーザー行動とマネタイズの時間軸が違うから」ではないかと思います。
まず比較的Webで馴染みのある「メディア・広告」「コマースモデル」と比較してみたいと思います。
1. メディア・広告モデルの場合
2. コマースモデルの場合
ユーザーの「欲しい」などの欲求・行動と、提供者の「マネタイズ」のタイミングが一致しています。
実際には、その後のユーザーに商品が届くまでの体験で、決済処理や物流の業務フロー、広告売上確定、入金など続きますが、
基本的には「ユーザーの行動数 × 単価」で感覚的に捉えやすいと言えます。
3. 定期課金モデルの場合
続いて、UXデザイン情報や経験値がまだ少ない思われる定期課金モデルです。
ユーザーの「利用したい」欲求・行動と、「入退会・利用・課金(初回/継続)」のタイミングが違います。
図を描いてる時点で、情報量が多く整理に時間を要しました。
現行のWeb解析ツール等では、ユーザーの行動分析と課金モデルの可視化が十分ではなく、プロジェクトメンバーも「今、どのステップの話をしているのか?」など時間軸が直感的でないのも難しいと感じる要因のひとつです。
メディア、コマースモデルでもサービスが成長してくると、新規ユーザー獲得からリピーター比重が上がり、LTVなど生涯価値測定も併用するようになりますが、
継続課金モデルの場合、ローンチ時から、初回〜中長期(少なくとも数年)の時間軸での設計が必要、というのも難しさのひとつと言えるかもしれません。
サブスクモデルが向いてるサービス例
①「所有しない価値」
社会環境や価値観が変化してきました。
「所有するステータスより、利用による経験に価値があるもの」はサブスクが向いています。
NetflixやSpotifyのような定額利用のデジタルコンテンツ、AirBnBやカーシェアリングのように契約+利用に応じて従量課金のリーカリングモデルを併用することもあります。
Amazon Prime Videoのように、レンタルモデル、買い切りなどを合わせることもあります。
②「消費財への時間価値」
ミネラルウォーター、サプリ、おむつのように、商品購入を体験して満足と信頼を得れば、継続購入で意思決定や操作なくユーザーの時間を創ることができます。
Amazonのコマースモデルの商品購入体験をベースにしながらも、商品やユーザー嗜好によってサブスクモデルもサジェストする複合型のUXデザインも参考になります。
消費財など残りが切れる時期を学習し自動注文などもデータを活かした体験設計になります。
③「R&D、新しい体験価値」
IoT、VRなどのまだ確立してない新しい体験やデバイスなどの初期マネタイズモデルとしても有用です。
ユーザーに導入負担をかけずに初期の事業活動原資とし、その後ユースケースやマーケットプレイスが成長した時に、広告/コマースでマネタイズ展開の併用することもあります。
④「ユーザーの選択肢、アップセル・クロスセル」
もともと会員モデルのユーザー基盤がある場合など、うまく構造設計すれば、新サービスやオプションの提供など、ユーザーニーズや嗜好に合ったプランを、同じ決済スキームのアップセル・クロスセルで提案。
事業者とユーザーの双方にとって選択肢と対価の体験がシームレスになります。
より顧客とのリレーション、継続利用設計が大事なモデルとも言えます。
まとめ
サブスクリプションとは?メディア広告、コマースモデルとの違いをユーザーファネルで見える化し比較してみました。
複雑、見えない、現場がカオス、そんな時こそUXデザインが力を発揮する機会です。
今後は、感覚的に掴みづらいサブスクモデルのUXデザインの実際の取り組みについても記していきたいと思います。
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