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ゲームで変わる世界② 〜ゲーミフィケーションとゼロパーティデータ〜

こんにちは、ペンシルです✍️

ペンシルの研究開発部門であるヒューマナライズマーケティング研究室の高木と申します。 主に心理学の分野を研究しており、その知見をもとに分析業務をおこなっています。

以前にはこんな記事も書いてます。

前回はサービスがひとつのIDでつながった世界でサービスはどう変わっていくか、また、そんな世界でこそゲーミフィケーションが真価を発揮するという未来。その先に訪れる「ゲーム化された世界」について触れました。

〜 前回の要約 〜
・モノもコトもトキも「体験」
・ひとつのIDでサービスがつながる世界で重要なのは「体験」を通した「ストーリー」の提供
・サービス売切りではなく、常にアップデートし続ける
・ゲーミフィケーションは流動的な時代にこそ真価を発揮する
・ゲーミフィケーションで重要なのはゲーム性とストーリー性の組み合わせ

今回は、そんな「ゲーム化された世界」の中身に触れていきます。

企業のメリット

ゲーム化された世界では、ユーザーがゲーム感覚で楽しくサービスが体験できるという特徴から、一見、ユーザー視点にみえますが、もちろん企業側にもメリットがあります。

いままではユーザーに体験して欲しいストーリーをひとつの企業内で完結させることが求められていました。しかし、ユーザーのストーリーの可能性は拡大し、ユーザーがそれをカスタマイズする時代になったとき、いち企業が提供するサービスは、他企業が提供するサービスの体験と体験の間に入れればよいのです。

現在でも発生している例としては、加工可能なカメラアプリ。スマートフォンという媒体を提供しているサービスと、SNSで自分の姿や旅行・食事などの体験を簡単に広められるサービスとの間に入ることでユーザーのニーズを満たしています。これによって自分の満足のいく写真をみんなにも共有するという体験を提供しています。

また、ゲーム化された世界では、いかにサービスを使い続けてもらうかが重要になっています。

使い続けてもらうためには低額での提供となるかもしれませんが、長期的目線でみるとLTVは伸びていきます。つまり、この世界では近視眼的な市場理解をしてはいけないということです。

LTVに関しても期間を区切るのでなく本当の意味での顧客生涯価値を指標としなければなりません。

加えて、「ユーザーがカスタムする」のですから、サービスがテストされることが前提となります。止めやすく、戻ってきやすい環境を整えることもポイントとなります。

そういった意味で、サブスクリプションビジネスと相性がいいと思います。

ユーザーのメリット

このゲーム化された世界は、既述の通り、ユーザーにとって大きなメリットになります。

ユーザーは自らのライフスタイルに合わせてサービスをカスタマイズできるので、生活パターンやライフステージの変化、そのときの目標に合わせて生活を楽しむことができます。

自分で人生をコントロールしている感覚が生まれ、満足度も幸福度も高まるのです。

ユーザーロイヤリティは後回しにできない

いままで以上にユーザーのロイヤルティ、つまり、ユーザーとのコミュニケーションが重要になってきます。

こちらに関しては、以前ご紹介した、既存売上の最大化プロジェクトである「ロイヤルクラスタプロジェクト(LCP)」が参考になると思います。

作りあげられた商品やサービスを売るプロダクトファーストではなく、ユーザーの意見や考えを取り入れ、商品やサービスを創りあげていくカスタマーファーストな考え方が重要になるのです。

<ここまでのハイライト>
・企業内だけでストーリーを完結させる必要はなく、他社のサービスとサービスをつなぐ形でもストーリーを提供することができる
・重要なのは近視眼的な市場理解ではなく未来志向の目線
・ユーザーは自分の状態に合わせて自らサービスをカスタマイズする
・カスタマーファーストが重要な時代、LCPのような顧客ロイヤルティ育成・獲得が必須となる

ゲーム化された世界でのデータ収集と活用、ルートゼロのすすめ

サービスを使い続けてもらう。つまり「やみつきの体験」を生み出すには
・サービスをアップデートし続け、飽きさせない
・ユーザーにパーソナライズされている

という2点が欠かせません。

ゲーム化された世界でのデータ

そこで重要になってくるのがインサイトデータ。
インサイトデータとはいっても、いままでのデータ収集では不十分です。ユーザーの無意識を推測できるデータがあって初めて「やみつきの体験」を提供することができます。

それがゼロパーティデータのその先、「ルートゼロデータ」です。「ルートゼロデータ」に関しては以前記事を書いていますので、是非お読みいただければと思います。

ユーザーが「意識している好みや目標などのデータ」と「無意識の好みや目的のデータ」を組み合わせることができれば、ユーザーが本当に求めていることが、潜在意識単位でみえてきます。そうすると自ずとサービスのアップデートの方向性、追加サービスの検討、ユーザーとのコミュニケーションの方法などが定まっていき「やることが明確」になっていきます。

データ収集

しかし、そんな情報、どうやって取得するのでしょう?

そこでポイントとなるのが、これらの世界でのサービス提供の大義名分が「企業が体験を提供し、ユーザーがその体験をカスタマイズする」ということにあります。

サービスに関連した質問やパーソナライズするための質問に複数のタグを設置し、そのタグに意味をもたせ分析することで、無意識のデータ「ルートゼロデータ」を取得することができます。

例えば、動画サービスに登録するとき、はじめに気になる動画タイトルを複数設置するなどです。心理学の研究でどういった性格の人がどんな作品を選びやすいかなどの研究はありますし、自社内でどんなコンテンツにどんな人が反応しやすいかなどの実験を行い、反映させるのもよいでしょう。

ゼロパーティデータとは違って、ユーザーの自己申告ではないため、ユーザーが普段意識していないけれど、意思決定には影響を与えている部分を読み取ることができます。

データ活用

このデータを活用することで
・使いづらいと感じている点の発見
・ユーザーが今後求めるであろうサービス
・ユーザーの好み
・ユーザーのライフサイクル

などがみえてくるため

「いかにサービスを売るか」ではなく、「いかにサービスをデザインするか」という思考へと変換することができるのです。

ただし、データインスパイアドではなく、データドリブンであることが重要であることはお忘れなきよう。


いかがでしたでしょうか?

2回にわたってご紹介した「ゲーム化された世界」は可能性のひとつです。よりよい未来を作っていくのが我々のいまの役目だと思います。ぜひ「ゲーム化された世界」を一緒に目指しませんか?

次回は「全ての企業がキャラクターを持つ時代が来るかも? !〜ゼロから始めるキャラクター戦略〜」という記事でお会いしましょう。

お読みいただきありがとうございました。

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