革屋と本屋のヨシナシゴト往復書簡005
皮革の仕事に携わる河合泉と
本屋を営む新井由木子の
たわいもない『ヨシナシゴト往復書簡』
vol.05 プチ呪いレベルアップ/子ども食堂の手伝い/宿題を忘れる
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河合さんへ
プチ呪い一生鼻の下の蝿5匹って、命に関わるレベルじゃないですか!
しかも心もだいぶ抉(えぐ)りそうで、秀逸だと思いました。
更に輪をかけて、当人が嘘をついたらその時点で、蝿が鼻の穴にもぐる呪いをおかけします。
まったく、自分の手を動かして正当な対価のお金を稼ぎなさいよ、おまえらが決めた税金の額を払いなさいよと、尻をひっぱたきたくなります。棘付きの棍棒で。
お金がないときって生きていく見通しが立たなくて、心がヒリヒリとして頭の中はモヤモヤと悲しく、蓋を閉じられた水槽の中で窒息していく感じがします。
その心情の名前がわからなかったのですが、河合さんが「孤独感」と言い当てて、まさにそれだと腑に落ちました。
そこを仕事で打破しようとする訳ですが、がんばっても成果の出ないときって、世の中から見捨てられたような気分になりますよね。
そこをふんばれるのは、仕事を信じているからとか意義があるからとかとは別に、単にその仕事が好きだからっていうのが、わたしの気分です。河合さんの言う「勉強のしがいがある」と、きっと同義ですよね?
わたしの仕事は、書籍の販売・デザイン・自社製品の制作販売の3本柱でまわしていこうとしています。
どの柱もなかなか厳しくはあるのですが、逆にどの柱にもお金に換算できないものがあるんです。
本の販売なんか利益率が悪すぎて、決算する度になんでこんなことやってるんだろうと思うけれど、お客さんが本を喜んでくれて更にその本の話を一緒にするときなんか、それはそれは楽しくて嬉しいし。
デザインでお客さんの仕事を手伝って、喜んでいただけたときの達成感は何ものにも変え難いものがあるし。
自社製品制作はリスクも大きいけれど、コンセプトが伝わってそれが売れたときって、飛び上がるほど嬉しいものがあります。
なかなか黒字を作るのは大変だけど、お金をベースとしてやりがいのあることをやってるってことなのかな。
ところでこの間、デザインを依頼してくれている子ども食堂(子ども未来食堂マイカ)へ、お手伝いに行ってきました。
6時間ポテトを揚げ続けたんですけど、楽しかったんですよ。6時間油を浴び続けて、肌から油を吸収して太ってしまうんじゃないかと心配たのですが、一日中身体を動かして働いたのに、ほんとうに翌日1kg太っていました!
現場はキビキビしていながらも明るく楽しく、気の利くおばちゃんたち、明るいおじちゃんたちと、大学生も何人かいました。
皆さんこのボランティアに参加するには色々考えているに違いないのですが現場の雰囲気は柔らかく、なんだか気分転換に楽しいボランティアに来ているように見えました(運営本部はもちろん気楽ではなく大変なのですけれど)。
子ども食堂の運営には大義として社会活動として社会全体に働きかけ、社会を変える使命があります。
それを支えるのはボランティアと、それから全体を補うことはできないけれども使命に賛同する個人や企業からの寄付や支援という形のお金が働いています。
お金って、いろいろなものに形を変えるなあって思いました。
では、また。
2014/03/19 新井 由木子
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新井様
お手紙ありがとうございます。
今回のお手紙も大事なことをさらりと表現していて唸りました。
返信じっくり考えてお返しいたしますね。
明日のフクふくフェス荒天でどうなるのかな
ま、がんばります。
引き続きよろしくお願いいたします。
LEATHER TOWN SOKA Project team
2014/03/19 河合 泉
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河合さんへ
今日30日でしたね!
河合さんからのお返事がないですが、お休みにしますか?
2014/03/30 新井 由木子
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新井さんへ
すみません
お返ししたつもりでしたが汗!
確認します!!
・・・メール受信したと返信しただけでした。
すみません。
返信します!!
少しお待ちください。
2014/03/30 河合 泉
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こんな訳で、前回3月30日の0のつく日の往復書簡はお休みになりました。
わたしも月末の締切でヒイヒイ言っていて、当日は夕方まで、すっかり往復書簡の日だということを忘れていました。
前日の29日に河合さんが連雀亭で美味しそうなお刺身を食べている投稿が流れてきたときには河合さん宿題忘れて遊んでんな?と、ちらりと思ったんですけれどね……。
次回は河合さんのターンから始まります。
2014/04/10 新井 由木子
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河合泉
埼玉県草加にある皮革工場『河合産業株式会社』。
家族が営む同社を手伝う傍ら、草加の皮革「SOKA LEATHER」のPRを努めている。落語が好き。
新井由木子
埼玉県草加市の小さな書店ペレカスブックを営みながら、町の工場と力を合わせて『読書のおとも』を作る。酒が好き。落語も好き!!