児童書『マジック・ツリーハウス1 恐竜の谷の大冒険』/感想
ジャックとアニーは、
ペンシルベニア州に住む仲良し兄妹。
ある日、二人がツリーハウスの中で
本を見ていると、
なんと本の中の世界へワープしてしまう。
二人が飛び込んだのは、
恐竜時代(第1話)と中世のお城(第2話)
だった。小学校低学年から。
図書館で子どもたちがよく借りていく本なので、
自分でも読んでみました。
不思議なツリーハウスにワクワク!
それに、知的好奇心も満たされる作品。
うんうん、多くの子どもが
夢中になるのもわかります。
この物語の核となる場所は、
もちろん「ツリーハウス」。
とても不思議な力をもった場所だから、
後に二人が「マジック・ツリーハウス」と
呼ぶことになる、魅力たっぷりの舞台です。
ジャックが、ようやく、ツリーハウスに
はいあがってみると、小屋の中は、
ほんとうに、本でいっぱいだった。
ほこりをかぶった古い本もあれば、
ピカピカの、新しい本もある。
そこでジャックは、
恐竜の図鑑に興味をもちます。
しおりのはさんであるページに、
翼竜プテラノドンの絵がのっていた。
コウモリの羽のようなつばさを大きく広げて、
空をゆうゆうと飛んでいる。ジャックは、
プテラノドンのつばさを指でなぞりながら、
うっとりとつぶやいた。
「ああ、本物のプテラノドンに、
会ってみたいなあ・・・・・・」
次の瞬間、二人の前にプテラノドンが現れます。
恐竜時代にワープしたのです。
ツリーハウスでは、ある条件を満たすと
本の中の世界へ飛ぶのですが、
それ自体ワクワクするし、その条件を
兄妹自身が考察し、
発見していくのも面白いです。
ジャックの探究心は、
この物語最大の魅力。
研究者肌の彼が、この物語を
知的な冒険物語にしています。
よし、ぼくも行くぞ。
行って、あの生き物を調べてみよう。
そして、わかったことを記録するんだ。
彼は、図鑑とノートをもって
未知の世界を冒険します。
図鑑で恐竜の生態を調べ、
疑問や確かめたことをノートに書き留めます。
プテラノドンは、アニーをじっと見つめ、
くちばしを開けたり閉じたりした。
まるで、巨大なはさみのようだ。
「わたしたちに、なにか、
言おうとしているみたい」
ジャックは、アニーにかまわず、
口は、はさみのよう
と、ノートに書きこんだ。
ジャックの「調べ学習」を通して、
僕らも恐竜のこと(第1話)や、
中世のお城のこと(第2話)を、
まるでその時代を体験しているような感覚で
楽しく知ることができます。
ジャックのことを手放しで褒めたけど、
彼は用心深くてなかなか行動せず、
ちょっとめんどくさいところもあります。
でもそこは、冒険大好き、大胆不敵の
アニーがぐいぐい物語を
引っ張ってくれるから大丈夫。
まさにぴったりな二人兄妹です。
「マジック・ツリーハウス」シリーズは、
現在までに49巻が刊行されています。
最新刊の『世界を変えたキャンプ』は、
世界中に国立公園の制度を広める
きっかけになったキャンプを
題材にしているようで、おもしろそう。
さまざまな国や時代の出来事について
楽しく知ることができるこのシリーズ。
ぜひ読んでみてください。
『マジック・ツリーハウス1
恐竜の谷の大冒険』
メアリー・ポープ・オズボーン著、食野雅子訳
KADOKAWA、2002年