Take-45:映画『北国の帝王(1973)』は面白かったのか?
【この映画のキャッチコピー】
『アクション50年のアルドリッチ監督がオレゴン大平原を進するSLに乗せて断絶する二つの世代・男と男の魂の激突を描く最新娯楽大作』
『無賃乗車の帝王と冷酷非道な車掌の壮絶な一騎打ち! 巨匠ロバート・アルドリッチ監督が描く究極の男のロマン!』
【時代・舞台設定】
時は1933年。アメリカ大不況の時代。舞台はオレゴン州ウィラメット・バレーを通過する19号列車の中。
列車に無賃乗車しながら移動する「ホーボー」と呼ばれる浮浪者たちの姿が描かれおり、主要キャストに女性が皆無というのも珍しい作品ですね。
【原題】
『Emperor of the North pole』
【上映時間:121分】
『みだりに……しないでください』とかいった言葉がありますよね。
私、自分でそういった意味の言葉を日常で使う際、いつも『みだらに……』と言ってました。
(-_-;)ハイ
そーかぁ、『みだりに』だったのかあ、そうだったのかぁ、道理で地下鉄で『みだりにボタンを押さないでください』とか見かける度になんとなく違和感があったんだよなぁ、と。
『みだらにボタンを押す』って行為を改めて想像してみるととんでもないシチュエーションですな。どんだけあられもない姿なんだよと、今までの自分に突っ込んでやりたくなります。
皆さま、よき映画ライフをお過ごしでしょうか? N市の野良猫ペイザンヌにあられる!
と、少し帝王っぽく(帝王っぽくて何だ?)スタートしてみましたが、別段この映画は歴史スペクタルにあらず。さらに北国の帝王といっても千昌夫のことではありません。
なんでこんなマイナーな映画をチョイスしたのかと思われる方もおられましょうが、X(旧Twitter)で「映画の中の無賃乗車」というタグが上がり、つい思い出したから……
あとは「いや~、こんなぶっ飛んだ設定の映画があったとは……」というだけの理由です。
この映画を一言でいうなら、
「なんて、大人げない映画なんだらう……」
(-_-;)
と。
大恐慌で大勢の失業者たちが溢れた1933年のアメリカ、オレゴン州。彼らの一部は流浪の民となり列車にタダ乗りしてはあちらこちらをさ迷い“ホーボー”と呼ばれておりました。
“ホーボー”ってボブ・ディランの初期頃の歌なんかでもよく出てたけど、なるほどこんな感じなんだなって肉眼て確認できましたね(肉眼じゃないけど)。ブルース・ハープを片手に列車に飛び込んで……なんてのが想像できます。
んで、そんな彼らに対し……
「俺の列車には絶対に誰もタダ乗りさせねぇ!」
(# ゜Д゜)
と、ハンマーをぶん投げ、チェーンを振り回すのは赤コーナー、アーネスト・ボーグナイン。JR長崎の乗務員にも見習ってほしいくらいのこの車掌魂、商売魂。
ちなみにアーネスト・ボーグナインはTVドラマ『エアーウルフ』なんかを見てた方には懐かしい顔。アカデミー賞作品『マーティ(1955)』に出演、というか映画『ポセイドン・アドベンチャー(1972)』で最後まで生き残った人といった方がわかりやすいんですかね。老舗俳優です。
🤓「いや~、実に大人げないですね、古舘さん」
🥸「そうですね~、ここまでくるともはや少年のような大人げのなさですね」
に、しても凄い顔ですね。今回の彼の顔は……。
人間の顔って本当に鬼気迫ると目玉が鳥山明の漫画くらい飛び出すんだなと肉眼で確認。(肉眼じゃないけど)
対する青コーナー、そんな彼の列車に、
「こちとら意地でもタダ乗りしちゃるぞ、ゴラァっ!」
(#`皿´)
──と、意気込むはホームレス軍団の帝王ことリー・マーヴィン。こちらも若い! ボクが最初にこの人を見たのはチャック・ノリス主演の映画『デルタフォース(1986)』でしたが、その時はもう既にヨボヨボでしたからね。
🤓「いや~、こちらもまた大人げないですねぇ、小鉄さん」
🥸「いやいや、この闘い、わかりませんよ。今日の彼の大人げなさはいつもと気迫が違ってます。この大人げなさはまさにタダ者ではないと………」
🤓「なるほどなるほど、よほどタダが好きなんですねぇ」
そんな、彼らが見せる闘志はまさに怪獣のごとき。その姿はまさに『フランケンシュタインvs地底怪獣バラゴン(1965)』!
はたまた『サンダ対ガイラ(1966)』!
ああ、若いって素晴らしい。
そんなまさに命がけでのタダ乗りの攻防! その結末や、いかに…… ?!
ヤボです。
『電車賃くらい……払えよ』
(-_-;)
トカ、
『乗せてやりゃいいじゃん……』
(-_-;)
トカ、
ここで彼らに対しそんなことを言うなんて、そいっぁヤボってもんです。そんな冷めたサラリーマンのような見方はこの老舗二大スターに対して失礼なのであります。
そこには決して触れてはならぬというのが大前提の映画なのであります。知らんけど。
むしろ電車内での喧嘩を見て見ぬ振りをするくらいならば、いっそのこと、
「いーぞ! やっちまえ!」
「どっちもぶっ殺せ!」
──と、両者を煽るくらいの活気こそがアメリカを、はたまたこの日本を、不死鳥のごとく甦らせるのだ!
そう監督が言いたかったに違いありません。知らんけど。
そこは踊る阿呆に見る阿呆。同じ阿呆なら踊らにゃそんそんロビンソン。
『きっとい~つか、自由~にタダで乗れるはず~♪』
てか、それ「ロビンソン」じゃねーし。「空も飛べるはず」だし。…… と、冷静かつ的確に突っ込まれる前に今回はこの辺で 。
紳士淑女の皆様は、無賃乗車やキセルなどせず、車内では最低限お互いのマナーを守り、喧嘩や痴漢といっま迷惑行為を《みだらに》行わぬようこころがけましょうね。
てか今回、なんか映画の感想とか解説とかちゃんとしたっけ?😂
てことで、字数合わせとお詫びも兼ねて【枝分かれ映画】の解説でも少し書いておこうかなとw
【本作からの枝分かれ映画、勝手に三選】
★『ホーボー・ウィズ・ショットガン(2011)』
……本作に出てきたホーボー。タダ乗り……じゃなかった、“るろうに労働者”を演じるのは『ブレード・ランナー(1982)』の時にも御紹介したルトガー・ハウアー。とにかくショットガンを打ちまくるだけのB級アクション……なのかな? なんでも『フェイク予告映画祭(実際には存在しない映画の予告)』でグランプリを獲った作品を映画化したそうです。『マチェーテ(2010)』なんかもそれです。未見、かつ、なんとなく一生観ることはないんじゃないかな~という映画……だったら選ぶなよって感じですが(笑)
★『暴走機関車(1985)』
…… 機関車での対決というと何故かこの映画を思い出してしまう。黒澤明、他二名の脚本をもとにロシアのアンドレイ・コンチャロフスキーがハリウッドで映画化。黒澤版はもっとコミカルだったらしいが「突然」走り出した機関車というモチーフに黒澤明が何を託そうとしたのかいつか日か脚本だけでも読んでみたい……
主演は『チャンプ(1979)』『ミッション・インポッシブル(1996)』などのジョン・ボイトですね。
★『ヴェラクルス(1954)』
…… 本作の監督、ロバート・アルドリッチの初期作品である西部劇。300万ドルの護送のために雇われたガンマン二人の友情、確執、対決を描く。あまりにま有名過ぎるゲイリー・クーパーとバート・ランカスターのラストシーンでの対決は西部劇史上、いや映画史上に今でも残っているので、そこだけでも見ておくと話の種になるかも?
では、また次回に!
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