読書『チーム・ジャーニー 逆境を越える、変化に強いチームをつくりあげるまで』
チームづくりのエピソードを追体験できるストーリーたち
著者は、カイゼン・ジャーニーの市谷聡啓さん。
2部構成の全16話で構成されており、第1部はチームではなくグループでしかないメンバーたちがチームに成長していくまでを、第2部では他のチームとともに大きなミッションに挑んでいく姿が綴られています。
全ての話において、ストーリーとその解説という形で構成されており
第2部からはそれに加え、ストーリーで登場した課題の解決策も登場します。
今まさに知りたいストーリー
いきなり私事なのですが、この4月から転職で新しい会社で働くことになりました。
会社からは「5月開始案件の開発リーダー」という肩書きをもらっており
・開発メンバーとは別のフロア
・開発の現状が見えず手探り状態
と、不安を募らせていました。
そんな中、本書を読み始めました。
冒頭、主人公の『太秦』は転職先で「来週からこのチームのリーダーを頼むよ。」と言われてしまいます。
そのチームの状況や主人公『太秦』の置かれていた状況が、自分の状況と重なり今まさに知りたいストーリーがこの本には詰まっている!と感じ読み始めました。
銀の弾丸はやはり存在しない
僕が一番強くメッセージとして受け取ったのは「チームに銀の弾丸なし」というものでした。
チームづくり、チーム運用においても『銀の弾丸』は存在しない。
そんな当たり前のことを再認識させてもらった気がします。
物事に『銀の弾丸』なんてものはないんだということは、十分わかっていたつもりではありましたが、本書を読み進めていくにつれ「なんでそれでいいと思っていたんだろう?」ということがたくさん出てきました。
心の中のどこかで、「これはきっと『銀の弾丸』だ」という思いが芽生えてしまっていたのは、チーム作り・運営の難しさ、そこに立ち向かうことができなかった自分の弱さだったのかなと思いました。
フレームワークやワークショップ、または思考法や物事の考え方は、あるシーンにおいては非常に強力なものになり得ます。(だから普及していて目に付くという側面もあるのだと思います)
しかし、それを『正解』として扱うべきではないです。
組織・チーム・プロダクト、それぞれの置かれている状況や目指している地点をベースに、今自分たちに必要なものは何かを常に考え続けなればない。
常に自分自身に問い続けることは、著者の言葉を借りるのであれば「タフな問いかけ」だと思います。
だからこそ「ともにあるチームという存在」が必要なのだと思いますし、そのチームとどう向き合って行けばいいか、どうすればともに歩んでいけるか、そのノウハウがこの本には詰まっています。
印象に残った文章
チームのあり方について、これで完璧、これ以上やることはない、ということはありえない。チームの練度が高まってきたと感じるならばミッションの再定義を行おう。
「やって満足するだけの“ワークショップ症候群“になるなよ。チームで、チームの何をしたいかだ。」
「個々の価値観、関心事、信念といったところは日常の活動だけでは捉えづらいため、ワークショップを利用する。一方で、ここの仕事に対する振る舞い方、経験度合い、強みなどは実践の中で捉えなければ意味がない。」
全ての情報を全員で共同所有する
(中略)
Why寄りの情報は広めに、Howよりの情報は狭く
(中略)
最前線のチームから情報を全体に流し直す
このように視座と視野の概念自体を捉えることは前提とさえいえる大事な事ですが、より重要なことは視座や視野への偏りを作らないことです。