読書『スモール・リーダーシップ チームを育てながらゴールに導く「協調型」リーダー』
小さなチームでも求められる大きな存在
近年、チームの人数はいわゆる「2枚のピザで賄える」人数で行うことが多くなってきています。
しかし、チームが小さからといってリーダーに求められる能力が低いわけでは決してありません。
本書ではそういったスモールチームのリーダー、スモール・リーダーがチームを運営していくにあたり知っておきたいノウハウを解説しています。
全7章で構成され、チームに取り込んでいくべき順番で並んでいますので
実際の現場をイメージしながら読み進めることができました。
リーダーシップって?
「彼はリーダーシップがある」という言葉をよく耳にしますが、リーダーシップがあるという言葉は非常に定性的ですし、どういったところにリーダーシップを感じるのかも人によって異なると思います。
そのように曖昧な「リーダーシップ」ですが、正体を突き詰めれば何かしらのテクニックに体系化できると思っています。
今までリーダーとは?リーダーシップとは?という問いを言語化することなく、いわゆる「雰囲気」でリーダーという肩書きを持っていましたが
体系的に学びたくこの本を手に取りました。
チームの多様性は強力な武器だが...
なぜ個人の集まりではなくチームを組むのか?という問いの答えは「多様性」だと思います。
色々な世界観や価値観、要するに視点を持った集団で物事を進めていくことで、対象を多角的に捉えることができる。
そういったところにチームの魅力があります。
この多様性について本書でも取り上げられているのですが、チームメンバーごとの解釈の違いについて言及されています。
解釈とは、新しいものごとに出会った時に、それを自分の世界観に位置付ける作業です。この自分の世界観を作り上げているのが日々の経験なのです。経験によって解釈の枠組みが更新され、新しい枠組みに従ってまた新しい経験が解釈されます。
この考え方を知ったことで、星取表などのワークショップでその人の世界観を知ることの意味への理解をさらに深めることができたと感じています。
しかし多様性を持つチームでは、時に意見の対立が起こります。
それ自体は健康な状態ですが、収集がつけれない、常に平行線のまま、などの状態に陥ると非常に勿体無いです。
その多様性を制御し、チームでのコラボレーションを促していくのがリーダーの役割だと感じました。
言葉にすることの意義
「ツーカーの仲」「阿吽の呼吸」など、言葉にしなくても通じ合っているという状態はとても素敵です。
しかしながら、この状態はチーム内、特にチームメンバーが知っておくべき情報に関してとなると話は一変します。
本書で負のスパイラルという現象が紹介されています。
例えばベテランと若手の2人がいるチームを想定して、以下のようなことが起こったとします。
1. ベテランが難しいタスクをこなす
2. そのため若手には簡単なタスクしか回ってこない
よくある光景ですが、その結果何が起きるのかというと
3. 若手はなかなか成長しない
4. 難しいタスクが発生しても対応できるのはベテランのみ
という悪循環が生まれます。
この負のスパイラルを抜け出す第1歩は言葉にすることです。
言葉にし、暗黙知を形式知にすることで初めてチームメンバー全員に行き渡る準備ができたことになります。
これはリーダーのやっていることにも同じことが言えます。
「リーダーがいなくても回るチームになること」というのは1つの目標ですが、そのためにはリーダーがやっていることをチームメンバーに共有 = 形式知にすることが必要になります。
チームメンバーに「言語化しましょう」と促すだけではなく、まずは率先して自分から言語化を進めていくことが大切なのだとわからされました。
印象に残った文章
解釈とは、新しいものごとに出会った時に、それを自分の世界観に位置付ける作業です。この自分の世界観を作り上げているのが日々の経験なのです。経験によって解釈の枠組みが更新され、新しい枠組みに従ってまた新しい経験が解釈されます。
「優秀な人が集まったチームのアウトプットが常に卓越しているとは限らない」
自分の意見に賛成しておらえないとき、その相手に対する典型的な反応があります。「あの人には伝わらない」。なぜなら「あの人は人の話を聞かないから」「あの人は言ってもわからないから」。だから「仕方ない」。
多様性の本質は目線の違い
解釈とは、新しいものごとに出会った時に、それを自分の世界観に位置付ける作業です。この自分の世界観を作り上げているのが日々の経験なのです。経験によって解釈の枠組みが更新され、新しい枠組みに従ってまた新しい経験が解釈されます。
「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」
※フランスの哲学者ヴォーテルの言葉
早く行きたければ、ひとりで行け。
遠くまで行きたければ、みんなで行け。
※「If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together. 」というアフリカのことわざ