【イギリス紀行】女王陛下のEmpty Garden ②
イギリスは紳士の国と言われています。
時期が悪かったのか、紳士は見かけませんでした。
紳士同盟の集会が別の都市であって、ロンドンから出払っていたのかも。
キャリーケースが倒れ、ボストンバッグが吹っ飛び、人間がすっころんでも、のろまがやっとどいたという感じで人々は追い越していきます。
それだけ、今は人の心に余裕がなくなっているということでしょうか。
ともあれ、荷物を預けて身軽になったので、予習した通りバスに乗ってギルドホール・アートギャラリーへ。
図書館、市庁舎といった歴史を感じさせる荘厳な石造りの建物群に囲まれた広場にあるギャラリーに入館します。
とても小さな美術館ですが荷物をX線検査する装置があり、噂通り寄付のみで入館無料でした。
ラファエル前派のロセッティの絵、『ラ・ギルランダータ』。
これを見に来たと言っても過言ではありません。
本物さんに出会える日が来るとは思っていなかったので、感慨ひとしおです。
ロセッティの、ザクロを持って物思いにふける『プロセルピナ』とこの絵はともに、学生時代の私の憧れでした。
学芸員の人が来て「この絵が好きですか?」と言うのでちょっと知ってるところを見せようと「モデルの名前はシッダルですよね」と言ったら違いました。シッダルはロセッティの妻になった女性で、この人はロセッティにも愛された、ウィリアム・モリスの妻ジェーンでした。
『レディ・ジェーン・グレイ』の処刑も観られました。
16歳で王位を継承し9日後に処刑されるという数奇な運命をたどった女性を描いたドラローシュの作品です。
地階のロンドン関係の作品を学芸員の方たちがこぞって推すので、行ってみました。
ロンドンのランドマーク的な建物をモチーフにした作品、ロンドン大火、戦争などの絵が並んでいました。モネが印象的でした。
『ラ・ギルランダータ』の絵ハガキ、キーチェーン等を買い求め、レジ操作がわからなくなったおじさんが女性職員を呼ぶ、日本の美術館でもたまに見かける光景にちょっとフフッとなって美術館を後にしました。
バラマーケットへ行く為、ロンドンブリッジでバスを降ります。
バラマーケットは一言で言うとカオス。平日なのに人多すぎ。
レストラン『ロースト』へ向かいます。
予約画面に、指定の時間から15分の間に現れないと「ノー・ショー」と見なされ、登録済みのクレカから罰金取ると書いてあるから必死です。
店を見つけてもドアから入れず、裏に回ってやっとそこへ続く階段を見つけました。
必死になりすぎて却って早く着いたけど、入れてもらえました。
アフタヌーンティーで予約してあったのになぜかメニューを渡され、見るとシャンパン付き、無限エスプレッソ付き(見るだけで胸やけが)とあります。シンプルな紅茶だけにしました。
肉料理もおいしいと言われている店だけあって、サンドウィッチも食べ応えがあり濃厚です。
可愛いケーキの数々の為に、別腹の空き容量を気合で増やしました。
すっかり満足して、今度は大英博物館へ。
今回の旅行の大誤算その1。
大英博物館は超有名なうえに寄付のみでタダだから予約はできず、ひたすら待たされる。行くなら早朝。(その割には反対側のエントランスからスマホの画面を見せてホイホイ入れてもらっている謎の人々がいました)
行列は全く動かず、時々霧雨が降り、ぼやきながら戦線離脱する人を数人見かけました。
一時間以上待って、セキュリティのテントを通り抜ける時に原因がわかりました。
X線装置を使わず人間が一人ずつ客のバッグの中を懐中電灯で照らして確認している。進まないはずです。
ようやく入館して、古代ギリシャや古代エジプトの展示を見、いつ通っても黒山の人だかりで(厳密には金、茶、黒色の山)全然見られないロゼッタストーンはあきらめてパス。
ミイラの展示を観た時に思いました。
(外で待たされ過ぎてこうなった人も混じってるんじゃない?)
アンダーソンの猫を観たかったのにとうとうたどり着けず、レプリカを自分用のお土産に買い、パスケースやマグネットを友達や家族用に買って出てきました。
ラッセルスクエアの横にあるホテルにたどり着いたのが午後6時。
ところ変わればで色々とトラブルが起きますが、それはまた次回。