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掛川100景 『晴明塚』リサーチの舞台裏

静岡県掛川市の生涯学習協働推進課さんとのコラボレーションから生まれた『掛川100景』のリサーチ・執筆に携わらせていただきました。
現在掛川市さんの公式noteに随時アップされておりますので、ぜひぜひご覧ください!

今回のブログでは、私が担当させていただいた『晴明塚(せいめいづか)』についてのリサーチの舞台裏をレポートします。

晴明塚までの道のり〜すすぎ井戸発見!

遠州七不思議の1つである晴明塚。
かの有名な陰陽師、安倍晴明に因んだ場所です。

京都の晴明神社で撮影した安倍晴明の像。

晴明の名を冠する塚は全国にいくつかあるそうですが、掛川の晴明塚は津波除けの願いから作られたのだそう。その後は疱瘡除けなど、時代ごとの様々な願いが積み重なって今日まで大切にされています。

私が晴明塚を訪れたのは11月上旬。
三熊野神社のリサーチと同日に行いました。

旧大須賀町方面へバスで訪れるためには、一度掛川市を離れてお隣の袋井市にある袋井駅から秋葉バス・秋葉中遠線の『大東支所』行きのバスに乗るのが便利です。およそ30分間バスに乗って『大須賀支所』バス停で降りると、旧大須賀町についての資料が充実している大須賀図書館や三熊野神社周辺に辿り着くことができます。

こちらが三熊野神社。毎年4月に行われる大祭では『祢里(ねり)』と呼ばれる山車が繰り出します。
三熊野神社前に大須賀地区の地図が描かれた看板がありました。かつての城下町。その雰囲気を感じさせる街並みが広がります。

まずは三熊野神社のリサーチ。祢里について調べるため、『わたや』さんの店主さんから貴重なお話をうかがいました。詳しくはこちらのブログをご覧ください。

晴明塚へは、『わたや』さんからおよそ3km超。
途中路線バスでショートカットするという手もあるようですが、途中で大須賀歴史民俗資料館へ寄りたかったのと、せっかくなので地域の雰囲気を楽しみたかったため徒歩で向かうことに。坂道もほぼなく平坦な道だったため、歩きやすかったです。

大須賀歴史民俗資料館では、かつて使われていた祢里を観ることができます。

歴史民俗資料館から晴明塚へ向かう道中、たまたま晴明のすすぎ井戸を発見しました。資料を通して存在こそ知っていたものの、厳密な場所が書かれていませんでした。加えて、地図アプリにも載っておらず、道案内の看板等もありません。運良く見つかって本当に良かった!

こちらが晴明すすぎ井戸の看板。民家にあったため、中へは入れませんでした。
こちらが、すすぎ井戸の案内。

赤石と人々の願いが積まれた不思議な塚・晴明塚

こうして、とうとう念願の晴明塚へ辿り着くことができました。

こちらが晴明塚。

伝説にあるように、確かに小豆色の石が積まれています。地域の方々が大切に管理されているそうで、周囲は綺麗に整備されていました。

確かに赤い石がたくさん積まれていますね。不思議…!

言い伝えによると、参拝者は晴明塚の石をお借りして、願いが成就したら石を倍にして返すと、どんな色の石も不思議と小豆色になるのだそう。たくさんの赤い石は、それだけ多くの人々の願いが積み重なっている証であると言えるでしょう。

石が意外と大きかったのと、次回訪れることができる日が読めなかったため、今回はお祈りだけして晴明塚を後にしました。

晴明塚の案内。
試しに赤い石を1つ手にとってみました。物にもよりますが、思っていたより大きくずっしりとしていました。

硯井戸探しの救世主はポケモンGO⁉️

さて、晴明塚周辺には先程のすすぎ井戸だけでなく、硯井戸の跡地もあるとのこと。
ここまで来たら、なんとしても見つけたい…!

藤塚という地区にあるという情報のみ資料に載っていたため、ひたすら歩き回ることに。しかし、例によって看板もなく地図にも出ていないため、なかなか見つかりませんでした。

するとここで、あるアイディアが浮かびました。
ただ歩くだけでは勿体無いと思い、散策中にちょくちょくプレイしていたポケモンGO
史跡や名所などが『ポケストップ』や『ジム』になっているため、もしかしたらポケモンGOを起動すれば硯井戸の場所も分かるのでは?と思ったのです。

早速ポケモンGOを開くと…

ハロウィンイベント期間だったため、ポケストップはオレンジ色になっています。通常は水色をしており、近づいてタップ&フリックするとゲームに必要なアイテムなどを手に入れることができます。
画面上、一部安倍晴明の『安』が『阿』になっているのが気になりますが、これはまさか…!?

なんとお目当ての硯井戸跡を発見!
ポケモンGO作戦、見事大成功です!!

ちょうど彷徨っていた秋葉バスの『藤塚』バス停近くにあったため、大喜びで向かいました。

ポケモンGOを見ながら住宅地を歩くと、小さな石碑が現れました!

こちらが安倍晴明硯井戸之跡の石碑です。晴明遍歴千年記念と記されており、建てられたのは昭和58年なのだそう。

こちらが硯井戸之跡。やっと見つけることができました!!嬉しい!!

『100景』のnoteにあるように、他にも晴明ゆかりの地があります。ぜひ皆さんも散策してみてはいかがでしょうか。

赤い糸ならぬ赤い石が繋ぐ不思議なご縁

晴明塚関連の資料を調べる中で、大井川流域を中心に赤い石が取れ、晴明塚以外にも赤い石信仰があることを知りました。

それが、静岡県川根本町にある青部村川地蔵です。赤い石を供えることで延命が叶うのだそう。

こちらが川地蔵尊。Instagramで繋がらせていただいた方から写真をご提供いただきました。
水難事故が多発したことを受けて、供養や安全祈願のために建立されたのだそう。
地蔵尊の周りには、晴明塚同様に赤い石がお供えされています。

なかなか現地を訪れることが難しかったため調べたところ、Instagramで川根本町の情報や川地蔵尊について発信されている方の投稿を発見。
早速DMを送らせていただき晴明塚や『掛川100景』についてお伝えしたところ、写真や情報の掲載を快く了承していただけました。

Instagramの投稿にて『晴明塚』について言及してくださり、まさに『赤い糸』ならぬ『赤い石』が繋いだご縁に感謝です!

私が興味を抱くきっかけとなった『赤い石大感謝祭』という展示は、毎年春に大井川周辺で行われているイベント『無人駅の芸術祭』の1作品で川地蔵尊の言い伝えをコラージュした作品とのこと。地域に伝わる民話や伝説がこうして大切にされていることが素敵だなぁと思います。

『赤い石大感謝祭』と書かれたポスター。実際に展示を観てみたかったなぁ✨
こちらが展示の様子とのこと。地蔵尊や赤い石に纏わる様々な資料が作品としてまとめられており、とても興味深いです。お写真のご提供、本当にありがとうございます!

まとめ

以上、晴明塚についてのリサーチの舞台裏でした。

ポケモンGOが史跡散策をする際におすすめであることや、赤い石信仰という共通点から青部村川地蔵を通して素敵なご縁が生まれたことなど、誌面の都合上『掛川100景』としての記事では載せられなかった内容についてまとめたため、両方お楽しみいただけたら嬉しいです。

『掛川100景』創りを通して、地域の民話や伝説をリサーチしてまとめることの楽しさを感じる日々。このプロジェクト自体が、私自身の生涯学習のきっかけとなっています。

これからも、ワークショップや作品制作とともにリサーチand発信を行うことで、いずれ何かの形になっていったら良いなぁと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました😊

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