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されどレディー、いつまでもレディー
当たり前と言えば、当たり前の話ではあるのですが。
どんなに歳をとろうとも、認知症があろうとも、
女性は女性らしくありたい
私が以前勤務していた介護施設での、そんなお話です。
遅番業務では入居者さんの夕食後から就寝まで、基本的に1人で業務を行っていました。(施設にもよります)
1ユニット定員10名でしたが、私の配属されていたユニットは介護度が重い方が多く、ほぼ全員、介助が必要な方達でした。
その時間帯は、リビングにおられる方の見守りが困難になってしまうのです。
なので、立ち上がって歩き出し、転倒してしまう危険性のある入居者さんに対しては、何か能動的に作業などをしていただくのです。
テレビをご覧になったり、字や絵を描いたり、洗濯物をたたんでいただいたりと。
少ない人員の中でも事故のリスクを減らす取り組みがされています。(もちろん強制でやっていただくわけではありませんが)
とある遅番勤務の日。
1人勤務になった時間帯、20時を過ぎていましたが女性の入居者さんが1人、中々寝付けずリビングのテーブルで過ごされていました。
その方はもちろん認知症がありますし、立ち上がって自力歩行されてしまった時の転倒リスクが高かった為、私は洗濯物たたみをお願いし、「このタオル、たたんで頂いてもよろしいですか?」とタオルを2枚お渡ししました。
「いいですよ。」
快く引き受けて下さったので、私はその間に他の方の就寝介助に入りました。
リビングに戻って来ると、先程お渡ししたタオル2枚がどこにも見当たりません。
テーブルの上にもないし、床にも落ちていない。
「あーそうか、あそこか!」
しかし私にはタオルのある所の見当がついていました。
これは介護あるあるなのですが、そういう時はなぜか大体、服の中に忍ばせているのです。
入れ歯がポケットの中から出てくるのなんか、日常茶飯事です。
案の定、その方のTシャツの中から違和感のある膨らみが2つほど・・。
「ん!?」
ただそのタオル2枚は丸められ、ピンポイントで両胸の位置に入れられていたのです。
そうお手軽セルフ豊胸です・・。
思わず私は
「いやいや、セクシーですけどね(笑)」
と笑いながらタオルを返していただいたのですが。
少しして考えてみると、
(これは施設に入居しているかは関係ないですが)高齢の女性は乳房が小さくなってしまった方が多く、もしかして
「豊かな胸に憧れがあったのでは」
そんな風に思えてしょうがなかったのです。
もちろんたまたまの可能性もあるとは思います。
しかし、女性の入居者さんの中にはすっぴんの状態で、メイク落としを就寝前に顔面に塗りたくってそのまま寝て、赤く腫れてしまう方もいらっしゃいます。
ルーティーンだったのでしょう・・。
その位、女性としての自覚や、女性として見てもらいたい感覚は多くの女性入居者さん方が持っていらっしゃいます。
そういつまで経ってもレディーなのです。
冒頭で述べた様に、そんな事は当たり前なんですが。
意識しないとつい忘れてしまいがちな感覚を、自分自身も忘れない為に、ここに記しておきます。