さよならV70 ~わたしの愛した車~ JAZZピアノを聴きながら…
静かなJAZZピアノをBGMにどうぞ
Misty 0:03
My Foolish Heart 3:10
Stardust 5:55 ……etc.
記事は車愛が延々と続きます
興味ない方は飛ばしてくださいね
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所詮、車は機械の集合体だ。そんなことは百も承知だ。けれど、なぜこんなに寂しい気持ちになるのだろう。わたしがウエット過ぎるのがいけないのか。もっとドライにならないといけないのか。どちらにしても寂しい。
これの前に乗っていたのは、日産の排気量1800cc の車だった。それでも十分乗れたが息子たち三人が大きくなることを考えると狭い。夫は買い替えを検討し始めた。
当時はミニバンや三列シートの全盛期でサッカークラブのチームメイトの親はみんなミニバンだった。ただ、乗ってる方達には申し訳ないが、背の高い車はちょっとな〜と考えてたわたし。
密かに乗りたい車があったのだ。夫に言うと、何言ってるの??と全く取り合わない。色んな反対意見を言っては否定。確かに言ってることはどれもこれもその通りなのだったけど。
それでもずーっと『乗りたいアピール』をした。しつこかったと思うが、諦められなかった。どうしても乗りたかった。
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末っ子が小学校に上がり、専業主婦だったわたしも車で10分程度のところに事務職の仕事を見つけて働き始めた。これで、資金面もクリア出来る。
その頃、ボルボのディーラーが市内にオープンしたのだった。これはもう行くしかない。「恥ずかしい思いをするだけだよ」と、渋る夫をなんとか誘って出かけた。勇気がいった。
ドキドキした。実車を間近で見て、車内に乗せてもらい、話しを聞き、カタログもらって。ただ それだけなのだけど、『近づいた』と思った。
が、簡単には夫の気持ちは変わらない。それでも、めげずに勧誘を続けた。ここまで来たのだ、もう諦めない。わたしは、さりげなくプライドを くすぐるような話しかたをした。男の人はプライド高い生き物だから。
『 … 充実した大人の40代は
いい車に乗るのもいいんじゃない?』
充実した大人の40代?? なんだそれ。そんなの ものの例えである。20代でも、30代でも、50代でも、60代でも70代でも…幾つであっても、その人が充実してると思えば充実なのだから。
なんなら40代といえば仕事盛り、男盛りとでも言っておこうか。そんな男性にはいい車が似合うんじゃないかな〜作戦。
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わたしは独身時代、証券会社の営業職だったが、その時つちかった営業力以上の粘り強さで勧めたのだった。
夫の気持ちは変わらないけど、なだめすかして試乗まで取り付けて、お店に向かうことが出来た。
ところが、ハンドルを握って市街を走り始めた夫。楽しいらしく気持ちが乗ってきたのである。何それ⁈ 声が違う。すごい褒めよう。
よしよし、その調子。
この人は、わたしの説得なんてどうでもよく、実際自分が納得し、自分の意思で買うかどうかを決めたいタイプなのだ。とにかく、夫は気に入った。ここまで来るのに2年、晴れて我が家の一員となった、V70。2500cc ステーションワゴン。夢を見てるようだった。。
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わたしが思うに、あの頃のV70はボルボの歴史の中で一番エレガント。カクカクとした車体もかっこいいが、モデルチェンジ後流れるように端正なフォルムとなった。2017年で発売中止に。
艶々の黒いボディ。エンジンをかけると、ヴゥォォン と低い重低音を響かせ。わたしはこれに乗ってその後17年会社に通勤した。買い物、駅への送迎。車内ではジャズやボサノバ、洋楽、クラシック様々な音楽をかけた。あのスピーカーの良さは次に乗る国産車ではもう味わえない。
家族五人で出掛けたり、トイプードルの愛犬ココを連れて旅行に行ったり、いつも飛行機で帰省する夫の実家まで何回か片道800kmを走ったりもした。
普段は街乗りだけど、高速走行出来て車は嬉しそうだった。メーターには260キロまで目盛りがあるのだ。(そんなスピード当然出すことはないが)
18年と3ヶ月 我が家の一員であったV70。擦ったりぶつけたり、ぶつけられたり、車上狙いにあったり、なんでこんな部品が?というところが壊れたり、いろんなトラブルもあった。
車は移動手段であり、荷物の運搬を担う機械の集合体だが、それだけでなくたくさんの思い出を積んでいて別れがたい。8月の那須への旅行、あれは お別れドライブであった。。
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次から乗る車のディーラーで下取りしてもらったので、新車の納車時 その店へ行くのがラストランとなる。前の日までには、洗車してキレイにしてあげねば。。。
店の2階駐車場での姿が見納めとなる。
ああ、今 想像しても泣ける…。
わたしが、これほどまでにボルボに乗りたかったのは、昔付き合ってた人が 車種は違うけど乗っていたから。だから、この車が好きになったのだ。けれども、そんなことはもう関係なしに、わたしはこの車のことが大好きになっていたのだった。
ありがとう VOLVO V70
わたしの愛した車