読書 #2 「ヘタウマな愛」 蛭子能収
2002年放送の「マスクマン!異人たちとの夏」を知っているだろうか。司会はテリー伊藤さん、オセロの中島知子さん。
ゲストが過去の自分や亡くなった家族がCGとなって登場し対話していく番組。そんな懐かしい番組をTVerで見つけた。今回は蛭子能収さんをゲストに迎えた回である。
蛭子さんといえばいつもヘラヘラ。漫画を描くか競艇場にいるか、バスに乗って旅をする人っていうイメージしかない。賭け麻雀で捕まり「もう二度とギャンブルはしません。賭けてもいいです。」っていう名言を残したり。あと、よく怒られている。怒られてもヘラヘラ。とにかくヘラヘラ。でもどこか憎めない。愛されキャラかなと。
蛭子さんのエッセイは持っていた。が、存在も忘れ積読コーナーへ。マスクマン〜も気になるけど、ひとまず読み始めることにした。
エッセイにはパチンコ、競艇に通いギャンブル三昧だったこと。葬式で笑ってしまう話など、蛭子さーん!と思わずツッコみたくなるような話しが満載。映画監督になりたいと東京へ出ていたことには驚いたのですが、東京へ来てもパチンコ、競艇の日々。蛭子さんは裏切りません。
上京し楽しい生活を過ごしていたようでしたが、漠然とした焦りもあったようでした。
長崎で知り合い東京で再開し結婚。30年連れ添った妻と突然の別れ。寂しさの埋まらない日々を過ごすことはとても辛かっただろうなと。テレビでの人柄とは異なり、しっかりした内面を垣間みることができた。
読了後、答え合わせをするように蛭子さんが話しとエッセイの内容をポツポツと思い出しながら番組を視聴し始めた。
CGとなって現れた亡き妻と会話する蛭子さんは、普段テレビでは見せない表情をしていた。なんだろう、もう涙腺崩壊。
亡くなった方をCGで作り出し対話する番組ってだけでも大分攻めた内容じゃないですか。今はコンプライアンス的にどうなんだろうかと思うけど、個人的にはもっとこういう番組が増えてほしいと感じた。大切な方を偲び、思い出を語れる。
亡くなった人がCGとなって蘇り、そこで会っても悼む気持ちが晴れる訳ではないだろう。テレビだし、演出もあったかもしれない。けれど蛭子さんの表情を見たら、会う前に比べて柔らかくなっていて少し前に進められたんじゃないかなと感じた。
是非、ヘタウマな愛を読んでから番組も見てもらいたい。
30年の愛情が詰まった1冊。