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トラヴェラーズ・ハイ

走っていて妙に気持ちが昂っていき、脳内に麻薬のような効能を持つβ(ベータ)エンドルフィンが分泌される…そんな状況を「ランナーズハイ」と呼ぶけれど、旅人にとっても同じような現象が実は起こり得る。

特に、異国の街を地元民のように振る舞いながら堂々と闊歩する時であったり、初めての土地なのに、なぜか妙に懐かしく感じられたりする時はそう。僅かの時間滞在するだけで、まるで故郷に帰ってきたかのような錯覚に陥ってしまう。

きっとそれは前世の記憶のデジャヴ(既視感)。

自分自身の魂の断片がその地に置き去りにされて、ふと何かの拍子でそれを思い出した瞬間に起こるものなのかもしれない。

旅人は、おそらく前世でも旅をしていた人…個人的にはそう思っている。

伝道師であったり、行商人であったり、大道芸人であったり…。やっていたことはそれぞれ微妙に異なるだろうけれど、何らかの形で移動し続ける日々を過ごしていた人であろうことは間違いない。

旅人は旅をすることでワクワクドキドキを楽しむもの。

一本の道を二本の脚で移動し続けながら得られる高揚感、これはランナーだって同じ。

今日はどんな道をたどるのだろう?

今日はどこで誰と出逢い、何をするのだろう?

すべてが空白のキャンバスで繰り広げられるドラマ。

朝、見知らぬ場所で目覚めた瞬間からそんな思いに浸り続ける。

穢れを知らない子供のように、ピュアで透明な心で旅を続けよう。

そんな旅人の心が世界の平和につながっていくはずだから。

*アドヴェンチャー・ランナー高繁勝彦のメルマガ「週刊PEACE RUN(第551号)」より抜粋・リライト


ニュージーランド南島プカキ湖にて 2014年

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