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ウルトラマラソン後のケア

1989年に初めてのウルトラ、サロマ湖100キロマラソンを走った。サロマ湖はこの時が第2回目。ウルトラマラソンの黎明期でもある。

その後、あちこちのレースや大会に時間とお金と体力の続く限りエントリーして、リタイヤすることなく何とか完走してきたが、一時無理がたたって慢性疲労症候群と自律神経失調症を患って低迷していた時期があった。

走りすぎが原因で免疫疾患になることもありうるし、無理がたたれば体にも心にも必ずやダメージが出る。

レースに出てみんなと走るのがうれしくて楽しくて仕方がないというのもよくわかるが、勢いだけで走っていると実際に取り返しの付かないこともありうるということを知って頂きたく、これまでの私の経験を元に、ウルトラマラソン後のケアについてまとめてみた。

これらは、私がアメリカ横断やオーストラリア横断で連日40〜60キロ、月間1000〜1200キロ超を走り続ける際にも実践していた内容。効果については個人差等あるかも知れないが、参考になるのであれば、自己責任において実践してみていただきたい。

ある方の研究によれば、一度マラソンを走ると、細胞が当然傷つけられる。筋肉が元の筋力と持久力を完全に取り戻すには、マラソン後二週間ほどかかるという。

マラソン後は免疫力が大幅に落ち、風邪等の疾患に罹りやすくなるので、無理してトレーニングする必要はない。栄養と休養をしっかりとることに専念するのが望ましい。

無理のない(心拍数を上げない)程度に歩いたり、自転車に乗ったり、水泳をしたりするのは構わないが、欲張らないこと。一度汗をかきはじめると体は疲労を忘れてしまいかねない。そこでオーヴァートレーニングしてしまうと慢性疲労症候群や自律神経失調症にもなりうる(経験者が今語っている)。

昔は、フルマラソンをひとつ走ったら次のレースまで最低3ヶ月はあけるというのが普通だった。個人差も当然あるので一概には言えないが、最低でも6週間はあけたいところ。

「自己ベストを狙いたい」とか「練習をサボりたくない」とか、向上心・罪悪感はあって然りだが、大切なのは体との対話を忘れないこと。

ウルトラマラソンの場合は、レース後の内臓疲労にも要注意。

足腰の疲れよりもむしろ深刻なのは内臓の方。走りながら飲んだり食べたりで、一時的に体重が増えることもあるし、走った後の打ち上げで飲み過ぎると内臓疲労はなお悪化する。

特にウルトラマラソンを走っている間に、エイドステーションで激しく飲み食いをして体重が走る前より増えてしまうこともあり得る。私の場合、甘いものの摂りすぎで急性の便秘になったりすることも過去にはあった。

タンパク質を中心に消化吸収のいいものを。ビタミンやミネラル補給のためにも野菜や果物をしっかり摂ろう。タンパク質や脂質の取りすぎが現代人のいろんな病気のもとになるとも言われている。お米と野菜中心の食事がやはり日本人には合っている。

普段、コンビニやファストフード依存の食生活をされている方はできるだけ食事もシリアスに考えたい。

レース後の体のむくみについて…

走っているときはもちろんのこと。走った後には、できるだけ水分補給を。冷たいものは胃に負担がかかるので白湯が一番。体を冷やすとむくみの原因になる。温かいスープや甘酒、味噌汁などがおすすめ。個人的には、あまり糖分が入ったものも摂らないようにしている。飲むものは白湯か常温の水が理想的。コーヒーはカフェインに利尿作用を高める効果があるので少なめに。

スポーツドリンクは糖分を摂り過ぎてしまうので、飲むのであれば2倍位に水で薄めて飲むのがいいし、ビール等は脱水症状を促進させるのでマイナス。レース中にスポーツドリンクやアミノ系のゼリー(中に含まれているマルトデキストリンは、化学合成物質の為、ほぼ消化不良になり、量によっては腹痛を起こす)ばかり摂って胃を壊す方も多いのではないだろうか。

レース後の数日は、コップ一杯の白湯を飲んだ後に青竹踏みを30分。痛みのない範囲で実施。しばらくすると尿意を催すはず。体の中の老廃物がこれで出ていくような気がする。

お風呂あがりか寝る前にやるのが効果的。お風呂もぬるま湯に浸かってリラックスしよう。暑すぎるお風呂は刺激にはなるが血圧が高すぎる人は要注意。

青竹踏みは食後以外は(食後30分は避ける)何度やっても構わない。長時間はせずに心地よいところでストップ。ただ、足が異常に腫れていたり、触るだけでも痛いような時には避けられたい。

筋肉疲労がなくなって回復したように見えても、体の中で起こっていることは意外に本人にも気づかないことがある。トレーニングを再開するにしても、いきなりレースに出るとかハイレベルの内容をこなすのは体と相談した上で行ないたい。

長い距離を走るのは楽しいし面白いものだが、どんなものにも限界があるし、限界を超えてまで楽しみたいというのであれば、まずは体の声に耳を傾ける必要がある。生身の人間であるのなら、体のメカニズムをしっかり把握した上で、心にゆとりを持った走りを楽しみたいものだ。

いつもランニング仲間には言うことだけど、命と体があってこそ走ることを楽しめるのがランナー。

何よりも安全と健康第一で…記録よりも記憶に残る走りを…GOOD楽駆(ラック)!


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高繁勝彦(アドヴェンチャー・ランナー)
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