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頭の硬い人間はルーティーンにこだわるがために、いざ窮地に追い込まれた時に逃げ場を失うことが多い。


「強くなければ生きていけない。 優しくなければ生きていく資格がない」


米国人作家、レイモンド・チャンドラーの小説「プレイバック」に登場する私立探偵フィリップ・マーロウのセリフだ。


旅や冒険に出るのであれば、それなりにストイックな生き方や考え方が求められる。甘さを棄てて、ワイルドな自分でなければ、生き延びられないシチュエーションがあるからだ。

甘さが時に命取りになる。サムライや戦場を駆け抜ける兵士たちは、自分に厳しくあることで自身を守ってきた。

強い人間にはワイルドさがある。タフでハードな環境を生き抜いていくためにはそれなりの荒々しさが要求される。

あえて過酷な環境の中に身を置くことが、ワイルドさを身につけることにつながる。

ふだんはやさしさに満たされた自分でありながら、野生のライオンのような自分自身も内に秘めておくのがいい。


かつて、走ったアメリカ横断時のモハヴェ砂漠越えや、オーストラリア横断時のナラボー平原越え。

難関とか難所と言われる場所で、どうやってその場を乗り越えるか、頭をひねってパズルをするみたいに、ああでもないこうでもないと考えてみる。

こういったアドヴェンチャー・ランニングにおいて、一筋縄で行かないのは、コースやルート選びだけではなく、そこに天候や体調などの条件も加わるから。

平坦な道もあればアップダウンもある。晴れの日もあれば雨の日も嵐の日もある。体調が良い日もあれば最悪な日もある。

計画を立ててみてもすべて予定通りとはいかない。でもまあ、そこが冒険の面白いところ。

あとはいい人とどんどん出逢ってその輪を拡げていけばどうにでもなると思う(実際どうにでもなる場面が多々あった)。

いつもつれあいぴあぴが言うことだけど、自分の感情の状態さえ良ければ大丈夫。


人は何か予想外のできごとがあった時、パニックで失敗したり挫折したりしてしまう。

スペインアンダルシア州の山中で遭難しかけた時にも、まず自分に言い聞かせたのは「パニックにならない」ということ。冷静沈着に、深呼吸して笑顔でまずことにあたるということ。

時に、感情のコントロールが生死を分けることにもなり得る。

冷静沈着な人にはスローモーションが働く。

事故に遭う場面というのは一瞬なのだろうけれど、事故に遭う当事者にとってみればそれがすごく長い時間に感じるという。

まるでその部分だけスローモーションで動いているかのように。

スローモーションで動いている間にできる限りの対処をすることがプラスの効果をもたらす。要するに冷静に起きていることの全体を見渡し最善の対策を練ること。


旅や冒険においては、予定や決め事は2〜3割程度でいい。

細かなところは考えず、全体としてはとても曖昧な感じでも何とかなる。

あとはその時々で突発的に起こるミラクルを楽しんだり不思議なシンクロを楽しんだり。

思い切って予定をガラッと変えてしまうのも大切。

それは日常生活でも同じ。

こういった記事を書いていても、気に入らなかったりしっくり来なかったりしたら「エイッ!」と消去する。


四半世紀に渡る教師生活(2010年で退職)の中で、ルーティーンに従った生活を続けてきたけれど、今となってはそれはあまり良くないということに気づく。

気まぐれに、気の向くままに、やりたい時にやりたいことをする毎日が理想。

臨機応変に対応できないと、こういった旅や冒険というのはなかなかやっていけないもの。

どんな天気にも対応するし、どんな困難も乗り越える。

目指す方向は決まってるので、そこに向かって進んでいくだけ。


「嫌だな」と思っていたら嫌なことが向こうからやってくるもの。

むしろ、「楽しいな、嬉ししいな、面白いな」と思えることにフォーカスしてたら実際に楽しい場面に遭遇する。


過去や未来にとらわれずこだわらず、今という時間と常に向き合って、柔軟な頭であらゆる場面をクリアしていけたらいい。

人生万事塞翁が馬。いいことも悪いこともすべてつながっている。

ケセラセラ、なんくるないさ〜、て〜げ〜の精神で進んでいけばいい。

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高繁勝彦(アドヴェンチャー・ランナー)
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