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「根底から日本を強くする」そう考えると、ワクワクした | インターン生が荻原社長にインタビュー!起業時に苦労したことから、これから目指すもの。創業から23年間を振り返って語ってもらいました。
こんにちは。
ピースマインド広報の末木です。
ピースマインドでは、いきいきとした職場を増やし、心豊かな社会づくりに貢献し続ける体制を強化するために、各部門でたくさんの新しいメンバーを迎えています。
今年の2月から経営企画部のインターンシップに参加中の青木怜奈さんもその一人。新メンバーとして、ミッション・ビジョンを体現し、はたらくをよくする®に貢献するためにはどうしたらよいか。常に考えながら業務に従事してくれています。
ある日の1on1ミーティングで、「メンタルヘルスケアの大切さを世の中にもっと伝えていきたいんです。そのためには、ピースマインドのソリューションについても、はたらく人についても、もっと理解を深めていきたいと思っています。」と熱い想いを語ってくれた青木さん。
それなら、荻原さんと直接話してみたらいいんじゃない?ということで、インターンのフレッシュな視点で荻原さんに創業~いま現在の想いを語ってもらうインタビューが実現しました!
青木怜奈プロフィール
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「根底から日本を強くする」そう考えると、ワクワクした
青木
今回は荻原社長の「はたらくをよくする®」考え方や、会社に込めた想いをお聞きしていきます。まずは、起業の経緯について伺ってもよろしいですか。
荻原
起業に至る経緯を、自我や環境要因から振り返ってみると、いくつか要素があります。一つは家庭環境、もう一つは出会いです。
まず家庭環境についてですが、私は父が商社に勤めていた関係で、生まれがロンドンなんです。1歳になる前に帰ってきたので、当時の記憶はあまりありませんが…。加えて、叔母がスイス人と結婚してスイスに永住していることもあり、幼少期から「世界の中の日本」や「日本人」についての関心がありました。
それから、母がイラストレーターだったので、小さいころから絵を描くことが好きでした。母からは「何かを正確に描写することが絵が上手いということではないんだよ、人と同じ絵を描いてもつまんないよ、自分らしい絵を描きなさい」とよく言われていました。なので、自分の視点が大事なのだということを教わって育ちました。
そして、双子の兄弟(ピースマインド共同創業者 荻原国啓)は、家庭環境において特に大きい存在です。ほぼ同じ見た目で、同じ服を着ていたので、別々の人間なのに、昔から人から同じように見られるんです。そこから次第に「自分自身が何者か」とか「自分らしさや独自性とは何か」がテーマになっていったのだと思います。
かといって仲が悪かったわけではなく、むしろとても仲が良かったです。ただ、自分が独自に社会に役立てることをしたいなという想いを持ったベースはここにあります。
兄弟も起業家思考で、特に彼の考えは「会社をつくる」と具体的に言語化されていました。一方、私は「日本人として生まれ、日本の中にいる自分という存在が、その中で独自に社会に役立てることは何だろう」という点に興味がありました。何か事を興す気持ちや、独自性に重きを置く価値観は共通していたと思います。
二人ともまだ大学生でしたが、何かやってみようと一緒に動いてた時に、たまたまTak佐藤さん(現ピースマインドアドバイザー)という、メジャーリーグベースボールの公認エージェントをされていた方に出会ったんです。佐藤さんは、とてもユニークな活動をされていたんです。
青木
ここが起業に至るもう一つの要素である、出会いに繋がるんですね。ユニークな活動といいますと?
荻原
当時はプロ野球選手が代理人を立てて球団と交渉し契約をするなんて、日本では前例がなかったんです。でも彼は一人でロスに渡り、スポーツエージェントのパイオニアである団野村さんの事務所に「代理人をやらせてください」と飛び込んでいったんです。日本におけるベースボールエージェントの先駆けですね。
私たちが佐藤さんに出会ったのは、彼が野茂英雄さんの代理人などをした後、日本で独立するために帰国された頃でした。「パイオニアになる」という共通した思いで意気投合して、面白い双子だなと興味をもってもらえたんです。そこから、何か面白いことができないか、一緒に話すようになりました。その中で、メジャーリーガーの話からメンタルヘルスの話になったんですよ。
青木
スポーツの話から、メンタルヘルスの話に?
荻原
そうなんです。メジャーのあるチームに、身体的な能力が同じくらい恵まれている二人の選手がいて、一人は一流のスターピッチャーになって、もう一人は2軍3軍を行ったり来たりしていたそうなんです。一流の選手にはセラピストが付いていて、メンタルを支えてもらっていたと。つまりパフォーマンスの差は、スキルやフィジカル面ではなく、メンタル面の差にあったんだということなんです。しかし、こうしたアスリートに対するメンタル支援が日本には浸透していないことを教えてもらったんです。
正直、メンタルヘルスという言葉は、当時そこまで一般的に使用されておらず、学生だと尚更知る機会はありませんでした。でもその話を聞いて、メンタルの違いでそんなにも差が出ることと、メンタル面をサポートすることには人の根底を支える力があるという点に、驚きと発見がありました。
それと同時に、「メンタルヘルス支援は、日本においてこそ必要じゃないか」と思いました。というのも、アスリートに限らず日本人が持つ強さや良さには、とても独自性がありますが、本来世界で活躍できるような才能や能力がある人でも、可能性を発揮しきれていないことがあるのではないかと思っていました。これも、悩みを人に話したり専門家に助けを求めたりすること自体を恥と思うような文化的な捉え方や、メンタルを支えるような仕組みや資源の不足があるんじゃないかと思ったんです。
「もっと根底から日本を強くする」みたいな方向でやれたらいいなと考えると、ワクワクして。やっぱり「パイオニア」とか「独自に」といった言葉に奮いたつ年代だったこともあり、これはやるしかないなと思いました。
青木
そこでワクワクした時点で、起業家精神が備わっていたのだなぁと感じます。当時は大学生で、就職しようとは思わなかったのですか?
荻原
当時の日本はバブル崩壊後で、社会は大きな変容期を迎えていました。それまでは「大企業に就職すれば安定」と思われていたのが、97〜98年は絶対つぶれないと思われていた大手金融機関の倒産が相次ぎ、不安定な世の中でした。私の年代も、就職氷河期だったんです。学生なりに悩みましたが、そんな世の中にいるからこそ、不安定な世の中を支える根底に立つ事業を創りたいな、と思っていました。
そこで、兄弟と佐藤さん達と話しているうちに、カウンセリングで心を支えるサービスをインターネットでできないかって話になりました。当時はインターネットがこれから普及していく時期だったので、インターネットを活用し、もっと気軽にメンタルケアできるような世の中を作れないだろうかと考え始めたのです。そこから、佐藤さんの紹介で、まずはアメリカでセラピストをされていた方に協力してもらい、オンラインカウンセリングの事業を始めたんです。
青木
日本を客観的に見る視点と、自分が独自に役に立てる方法の模索、そしてメンタルヘルスという観点が融合して、今のピースマインドが生まれたんですね。私は、アスリートのメンタルトレーナーをしている教授のゼミに所属しているので、スポーツ心理学の知見は産業分野にも応用できる部分があると、日々強く感じています。ピースマインドの根底にスポーツ分野でのメンタル支援がきっかけにあったことを知って、すごく親近感が湧きました!
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カウンセリングサービスを扱う難しさと必要性を実感した転換期
青木
創業時から軌道に乗るまではすごく大変だと思うのですが、その過程で最も大変だったことは何でしたか。
荻原
今でもチャレンジの最中ではありますが、カウンセリングやメンタルケアといった、目に見えないサービスをお客様に理解していただく過程は、最も試行錯誤しました。加えて、メンタルと聞くと、今以上にネガティブなテーマと感じる方も少なくなかったので、カウンセリングサービスを表に出すことや、アクセスしやすくする試み自体、ハードルが高かったです。特に日本ではカウンセリングを受ける文化が今より一般的ではなかったので、メンタルヘルスというのは誰もが関係する身近なことだということを伝えることと、何か不調になったり、少しでも困った際に専門家や他者のサポートを受けることも一つの有効な選択肢であることを社会に伝えていくことを試行錯誤してやってきました。
青木
それでも続けてこられた理由は何でしたか?
荻原
一番は、人の根源的な悩みを扱うことはとても重要であり、必要だと感じてきたからですね。
どんな人でも、働いたり生活していれば多かれ少なかれ悩みはあります。それは、決して一部の人のことだったり特別なことではありません。それでも、一人だけでは解決できないこと、必要な資源に行きつくまでが難しいことも、現状は多いです。
一方、メンタルを支える専門家も数多く存在しているわけです。そこをしっかりとつなげることは、とても重要だと、事業を進める中で感じてきました。私たちのサービスを利用してもらった方々から、「今まで一人で悩んでいたけれど、オンラインカウンセリングがあったから解決できた」とか「気分が晴れた」「悩みが解消できた」「救われた」とフィードバックをいただき、その必要性と使命感を感じたんです。
加えて、社員メンバーや多くのプロフェッショナルの方々などの協力者の存在がやっぱり大きいです。色々なステークホルダーの皆さんと協力しながら地道にひとつひとつの活動を進めてきたから、ここまでやって来れた気がします。
青木
そうだったのですね。オンラインカウンセリングから始まって、その後サービス形態が変化していく過程についても、伺いたいです!
荻原
オンラインカウンセリングを始めた後は、実際に気軽に利用できるリアルなカウンセリングルームを作る取り組みを始めました。2001年にはJR東日本さんと一緒に、カウンセリングルームを駅前につくったりもしました。
その後はインターネットを活用し、できる限り敷居を下げつつ、色々な企業と提携したり、アクセスしやすい仕組みを作ったりしていく中で、法人向けのサービスモデルを作り、カウンセリングをはじめとしたメンタルケアを広める取り組みを始めました。それが今のEAP(従業員支援プログラム)サービスの原点ですね。
青木
いかにメンタルケアのハードルを下げられるかによって、今後もサービス形態は変わっていくかも知れませんね。では、社会での出来事によって、ピースマインドが影響を受けた転換期はありましたか?
荻原
まず、2000年に厚生労働省から「労働者の心の健康の保持増進のための指針」が出たことによって、職場におけるメンタルヘルス対策への理解促進がされました。従業員向け支援サービスの導入が後押しされ、私たちのような外部の専門機関を導入する動きが進んだことは、ポジティブな転換期になりました。
マイナスのものだと、2008年のリーマンショックによる経済的な打撃ですね。どの企業も影響を受け、コストカットが優先されました。今よりもメンタルヘルスサービスがコストカットの対象になりやすく、我々の業界自体が難しい局面に立たされた時期ではありました。
そう振り返ると、今回のコロナウイルス感染拡大によるクライシスの企業への影響は、少し違いましたね。今では、はたらく人のメンタル面を支えることや、従業員をケアする必要性について、経営者も重要だと直面することとなり、むしろ必要な資源として活用いただく機会が増えました。そこはリーマンショックの時と違ったなと思います。
はたらく人に限らず、先が見えない社会では皆が不安定になるし、ストレスも高まっていきます。その中でメンタルをサポートするインフラが重要だという認識が高まっていたからこそ、コロナによって改めてメンタルヘルスやウェルビーイングに注目が集まっていったのだと思います。
青木
私自身も、近年メンタルヘルスの重要性を強く感じ、心理学の力を使ってはたらく人をサポートしたいと思い、ピースマインドでインターンすることを決めました。もちろんコロナが完全に良いことだとは思いませんが、メンタルヘルスの重要性をプッシュしてくれた面では、前向きに捉えることもできる機会だったと感じています。
荻原
まさにそうですね。今のようなVUCA※の時代だからこそ、私たちが価値を発揮して、はたらく人をはじめ、企業、世の中の支えになるサービスを提供していきたいです。
(※Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)四つの要因により、社会経済環境が目まぐるしく変化し、極めて予測困難な状況を示した略語)
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メンタルヘルスサービスが必要な時にいつでもリソースにアクセスできるインフラを
青木
今のお話にもあった通り、メンタルヘルスに対する社会の考え方が変わってきていると思います。荻原社長から見てどう変化していると体感していますか?
荻原
コロナ禍での生活もそうですし、大坂なおみさんやオリンピックでのアスリートが、試合で勝つよりもメンタルヘルスを大切にすることを優先させたエピソードなど、サステナブルに幸せな人生を送るための必要な要素として、メンタルヘルスをよい状態にすることの大切さを実感する機会が増えたんじゃないかなと思います。働くことで言うと、一人一人がそれぞれの能力を発揮し、長く活躍し、健康で幸せに過ごしていくことを考えたとき、最もコアなテーマの一つになっていると思います。
青木
そうですね。働く期間も長くなっている中、これからはより多くの方がメンタルケアを必要とする社会になるだろうと感じています。一方で、まだまだメンタル支援が完全に行き届いていない現場があるのも事実です。この部分について、ピースマインドはどういう姿でありたいですか。
荻原
これからも、メンタルヘルスサービスが必要な時に、いつでも必要なリソースにアクセスできるような、インフラをつくっていきたいと思っています。
ピースマインドのソリューションを企業の制度として取り入れていただくことで、支援を必要とする人がいつでもアクセスできる状態にする。これは、「ひとつのプロダクトを短期プロジェクトとして作って広めれば終わり」という話ではありません。色んな網を張ってサービスをつくることで、アクセスしやすくなったり、自分で予防できたりするものだと捉えています。人に支援を求めるときにリソースを活用すること自体を、もっと手軽なものにしていく、そのためのインフラづくりを行っていきたいと考えています。
青木
現在は手軽にネットでメンタルヘルスケアを提供するサービスも増え、どのサービスを使うべきか迷われる企業さんも多そうですよね。その中で、ピースマインドが追求していくことは何でしょう。
荻原
エビデンスのあるアプローチで、効果のあるサービスを追求していくことです。ピースマインドは、日本の社会の中でEAP(従業員支援プログラム)の領域では、いち早くサービスを展開して社会への浸透に努めてきました。20数年継続してサービスを追求してきた実績から蓄積された経験や知見があります。今後は私たちの保有するデータや専門的な知見を活用し、はたらくをよくする®ソリューションをよりブラッシュアップしていきたいと思っています。
青木
最近では、メンタルヘルステックなど、AI技術を使ったスマートフォンアプリなどでメンタルケアができつつある時代ですよね。さまざまなWebサービスがある中で、ユーザーに対しピースマインドの価値を伝えるとしたら、どこにあると思いますか。
荻原
本当に効果的なサービスをつくるため、実際の専門家の人の部分のリソースも含めて実直に向き合っている点ですね。ここでいう効果とは、必要な時に適切なリソースを提供することや、はたらくをよくする®ための本質的な解決に繋がっていることを指します。まだまだ発展途上だと感じているので、今まさに我々がテーマにしている部分です。
おそらく、どの提供者のサービスでも「悩んでいる人に対して、メンタルヘルスをよくしたい」という根本の想いは一緒だと思います。けれども、何か単純にテクノロジーだけで解決する問題ではなく、専門性や専門家の人的な資源も必要な分野ですので、テクノロジーと人の両面の観点が必要なんです。
技術の観点でいうと、AIなどの「テクノロジー」と、心理学やメンタルヘルスといった「専門性」の2つがあると思っています。EAPサービスは、どうやっても最終的には人が提供したり、人が使うものなので、ただ単純にテクノロジーを取り入れるのではなく、テクノロジーと人が発揮できる専門性、双方の価値を最大化することで、エビデンスが備わった効果的なサービスをつくり上げることが、今後のテーマとして挙げられますね。私たちのサービスは目に見えないので、クオリティが担保されていることが重要だと思っています。だからこそ、質にこだわることを前提に、新しい技術の融合を試みています。
青木
ピースマインドで働いていると、社員さんが口を揃えて「サービスの質はどこにも負けない」と仰るので、そこにかける想いもまた、負けないのだろうと感じます。
会社として、今後はどのように在りたいですか?
荻原
複雑で予測不可能な世の中において、はたらく人や組織にとって、日本で一番頼れる存在になりたいです。そのために、個人も組織も、変化に対応して、いかに早く不調に気づき、予防できる仕組みを整えられるかが鍵ですね。組織を通して、効果ある課題解決を提供できる幅を広げていきたいです。
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「はたらくをよくする®」を実現するために
青木
ここまで、ピースマインドの設立から転換期、今後目指す姿まで振り返ってきましたが、荻原社長ご自身は、2022年どう過ごされますか。
荻原
VUCA時代のいま、はたらくをよくする®とはどういう状態なのか、ウェルビーイングはどうしたら高まるものかなど、自分自身やピースマインドのメンバーの体験を含め、探求していきたいです。
青木
ピースマインドの中でも、はたらくをよくする®ための環境整備を今後も加速させていくと聞きました。個人的には、場所を問わず働けるようになったら嬉しいなぁと思っています。
荻原
そうですね。コロナ禍でテレワークとオフィス勤務の併用など、私たちのはたらき方も社会の変化に応じて適応させてきました。これからも働く場所、時間、形態など、よりよいはたらき方を追求していきたいと思っています。
青木
では最後に、創業時から変わらない部分について、聞かせてください。
荻原
ピースマインドの社名に込めたように一人ひとりのメンタルヘルスを良くして「こころ豊かな未来社会」を創りたい、という想いは、ずっと変わらないです。「はたらく人の不の解決」というピースマインドのミッションや「はたらくをよくする®」というビジョンに共感してくださるお客様やパートナー、そしてピースマインドの社員メンバーの皆で、是非「はたらくをよくする®」エコシステム創りを一緒に共創して行きたいです。
ピースマインドでは、「はたらくをよくする®」に共感し、共創してくれるメンバーを募集しています。ご興味のある方はぜひ以下をご覧ください。