夢と妄想の掛け違え

今日約束を破られた。

昨日までに書類選考の結果をお伝えしますと言いながら、今日こちらから連絡するまで回答なし。

申し訳ございません、連絡ができていませんでした。やはり東京から岡山に来ていただくことは出来ないので、今回は見送らせていただきます。

なぜ、昨日までに言わん。
結局、オレはあんたの会社にとってその程度の扱いだったわけだろ。
期限までに伝えてもらえれば文句なかった。
そこできっぱり決めようと決意していた。
それが、この仕打ち。



・・・
ふぅ。
電話で岡山の会社相手に怒りをぶつけたところで、相手はノーダメージだし、受話器を置けば、あぁ、めんどくせーヤツだった。で終わり。
オレの怒りはやり場がないし、実のところ本当にその会社にとって必要とされる人材のイメージにそぐわなかっただけの話。
それが、期限という概念だけでここまで逆撫されると。

自分で夢を破壊した。
というか、妄想をぶち壊せた、という感じ。

今は全くゲームはしないが、小学生の時にファイナルファンタジーVIIをプレイしたことがあり、その主人公クラウド。

本当は下っ端兵士なのに、自身の劣等コンプレックスから立派な兵士であると思い込んで、本当のように振る舞ってしまう。
物語の終盤に、本当の自分を取り戻し、元凶を断ち切る。
こんなストーリーは頭の片隅に記憶があった。

オレがその岡山の会社を熱望したのは、憧れの男がいたからだ。
その人を雑誌で知った時に、オレもこの男のようでありたい!と脳天に衝撃が走った。
その男はイタリアで活躍しており、その日本唯一の直営がその岡山だったわけだ。

そこに入れば、その男と仕事ができる。
(いや、その男、そのものになり得る)

自分の夢ではなく、妄想だったんだ。

その男になるために、自分の人生を任せてしまうところだった。そりゃ、現実的にその会社に入れないわけだ。
怒ったところで、何にぶつけたんだろう?
自分がそこに入るのは当たり前という妄想が、現実を知るのを恐れて、暴れ狂ったとしか思えない。何も恐れることなんてないのにね。

憧れは時に歪む。自分のコンプレックスと結合して。
そんなこと考える必要ない。今ここでオレは生きている。そして、必要とされているここがある。

この出来事全体が、自分に学びをもたらしたことに意味があった。
必然。

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