日頃注文しないものを注文するとやっぱり知らないものがでてくる
昨晩、中華料理屋に行ったのですが、手書きのメニューの中に、ぽつんとちいさな手書きのメニューがありました。
漢方酒 元気になるよ! 500円
中国人夫婦が営んでいる中華料理屋なので、まさか俳句ではないと思うのですが、575になってるからなんか、悔しい。中国人経営の手書きメニューはけっこう雑な言い回しとか、誤字脱字が多いので、待ち時間も、店内を眺め、間違い探しをする。
ゴマ団子→「づマ団子」
ジャージャー麺→「じゃジャン麺」(効果音なのか、これ)
その店のなかで、小さな紙に書かれた漢方酒の手書きメニュー。いつもは漢方酒とか、全く興味ないんですが、今日はなんだか引き寄せられます。なぜだか、気になります。
すいません、あの漢方酒、ください。
うん、いいよー、強いよ?だいしょぶ?
え、どれくらいですか?
55度だったよ
へぇ、強いですね。まぁ、ダイジョブです。貰います。
実は、この中華料理屋の奥さん、めちゃめちゃ可愛い。とても美人なのである。僕の住んでいるほとんどの地域の中華料理屋は総じて、ぶっきらぼうな接客をする。彼女は、ぶっきらぼうというほどではないにせよ、どちらかというとクールな接客をするタイプの女性。でもめちゃくちゃ美人。
このお酒、漢方の先生と一緒に考えてつくってるよ、前はこの漢方酒に、蛇とかも入れてたけど、おきゃくさんたち臭いっていうから今回は入れなかったんだよ、飲みやすいとおもうよ
彼女は大きなガラス瓶を取り出してきた。大きな高麗ニンジンと、霊芝?とクコの実と、細かなものがたくさん入っていた。
へぇ、これ、何が入ってるんですか?
うん、これ、レイシ、高麗ニンジン、クコ、あと、日本語で何て言うか知らないよ、これ、これなんて呼ぶ?
彼女は瓶を僕の目の前に持ってくる。ごつごつしたツボ押し棒のようなものが入っている。え?ツボ押し棒?ツボ押し棒が入ってるの?ツボ押し棒に漢方効果とかあるの?ツボ押し棒はツボを押してなんぼじゃないの?と、思ったけれど、他にも色々ごちゃごちゃ入っているから、「これ」の全貌が見えないので、ツボ押し棒にしか見えないだけだった。じっくりみると、ツボ押し棒に、目があり、口がある(!)。
あ、タツノオトシゴ!
そのタツノオトシとしかのみみもはいてるよ
しか?鹿?
これだよ、この丸いの
みみ?鹿のみみって丸いの?え、こんな円柱形のみみだっけ。ツノのこと?ツノ?(両手で角のジェスチャーをする)
あ、間違えたみみ違うね 角ね ツノはいってるよ。いろいろ入ってるからすごく元気になるよ
55度の酒を一合グラスに満タンに、彼女は注ぐ。いつも、アイリッシュウィスキーをそのまま飲んでいるので、漢方酒もストレートですんなり飲めた。
なんか、こういうとき、大人になったなぁ、って思う。強いアルコールは口のなかで暴れまわるけれど、この漢方酒は比較的おとなしい。刺すような感じはあまりない。どちらかというとまろやか。けれども、55度だからそれなりには、来る。
中国では、いかに漢方薬が一般的かっていうことや、瓶に入っている霊芝は小さい方で、もっと大きいものはとてつもなく大きいということを、彼女は無邪気な子供みたいに、とっても笑顔で話した。
クール系じゃなかったんだ、、、意外だ、、、、めちゃめちゃ可愛いじゃないか、そのギャップ。
漢方酒を飲み込むと、胃の中が カァァァ っと熱くなるのが感じられた。アルコールだけだと、熱くなる感覚はない。これは、漢方薬によるものだと感じた。そして、肩がぽかぽかしてくる。ん?血流も上がっている。酔っているだけの感じじゃない。なんか、巡っている。すごい。
いつもよりも素敵な笑顔に見送られて店を出て、家に帰ると、やっぱりなにか違う。巡ってる。すごい、すごいぞ鹿のみみ風の角とツボ押し棒すごいぞ。スマホで漢方酒について一通り調べてみた。漢方酒、習慣にしたいぞ。巡らせたいぞ。もっと知りたいぞ。
やっぱり、日頃注文しないものを注文すると、いままで知らなかったモノや、コトが出てくる。みなさんも今日、「日頃の自分ならぜったい頼まねぇなこれ」を、ぜひ注文してみて頂きたい。意外な世界が開くかも。じゃジャンって。
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