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note感想文

◇不確かな約束◇ 最終話

noteで出会った見ず知らずの人々と、繋ぎ紡いだリレー小説◇不確かな約束◇が昨晩完結致しました。

(*´ω`*ノノ☆パチパチパチパチパチンパンジー☆

最終話を読み終えた後は、多幸感や達成感がありました。

が、そしてプラス何だか寂しいような気持ちになりました。終わってしまったあ、という気持ちです。



リレー小説の面白さは、本当に多角的に物語が進行するところ。自分一人じゃ絶対に書けない物語がひとつの物語としてさざれ石のように作り上げられるというところ。

リレー小説を通じて実感したことがあります。それは、本当にほかの人々はほかの人々の感じ方や考え方や、受け取り方や、表現の仕方がある。ということ。

でもそれらのプロセスって、水たまりの下で起きている出来事のように、日常生活の中では見ることはできません。

けれども、リレー小説では、否が応でも、心の動きが表現されてしまいます。

どう受け取るの?

どう対応するの?

どう解釈するの?

どう発言するの?

それらに対する心の動きをそれぞれが書いていくからです。

普段見えないような人の内面をガツンと感じるような、

◇不確かな約束◇は、そういうリレー小説経験でした。

不確かな約束に書き手と読み手として参加して、日常の中でも、人と人は違う事を深く深く意識するようになりました。そして、ほんの少しだけ人や自分に優しくなれたようなそんな気がします。


最終話の感想。

7年ぶりに会う2人の心境は、同じようでもあり、それでいて全く違うものでした。どちらかと言うと一方的に振られた形のシュウには、「意味がわからない」という呪いがずっとかけられていて、そしてその呪いの上塗りで7年後にまた会おうという「不確かな約束」が重ねられていました。

ユキ目線で見れば、新しい生活を前に怖くて傷つけたくなくて、逃げたくなくて逃げたくて。という気持ちはすごく伝わってくるのですが、ユキの優しさとも取れる突然のお別れ宣告は、やはりシュウにとっては見えない籠のように、呪いのようにシュウを囲んでしまっていました。

シュウもユキもとっても正直で真面目な若者でしたね。

は?あいつまじ意味わからんし。心のDVじゃね?だろ?やべえだろあいつまじ。まじ無駄な時間だったわ腹立つわぁ。まじなんなんあいつ。自己中すぎだろ有り得ねぇわ。

で、友達に愚痴って新しい彼女作れば良いものを、その嫌な思い出を大事に大事に抱えてしまうシュウ。

人が、嫌な思い出も、大事にしまって保管してしまう習性をシュウは律儀に遂行して大学生活を送りました。

ユキは、獣医の大先輩に、「君は反芻動物だから」と烙印を押されました。そんなユキにとって、不確かな約束は十字架のようになりました。

別れを突きつけられた方より、突きつけた方のほうが、シュウとユキの関係においてはより重い十字架を背負ったんじゃないかなぁと思います。だからユキは最後、懺悔をします。

呪いと十字架。面白いです。

最終話に近づくに従って、ユキが自分の7年前の行動について考えたり向き合ったり、シュウのことを考えるシーンが多くありました。

勉強で忙しすぎたユキは、これまでシュウの事など考える余裕は全くありませんでした。けれども、恋人の死や不確かな約束へ近づいていく時間の流れが、ユキを内省の方へ意識を向かわせていきます。そして、亀山先生の動物に対する意識の高さも、ユキの内省を結果的に早めていたように思います。

結果が、エビデンスが、効果が、という結果主義的な考え方などに対して、懐疑的に、「それって本当かな?」と、真摯に物事に動物に向き合う亀山先生の姿勢は、ユキにとって「自分」を外から見るとても良い機会でした。

ゼミの偉い先生や先輩が言うことだから正しいということではなく、もっとたくさんの考え方がある。そういうカルチャーショックを受け、物事を多角的に見ることがユキに癖づいて行ったように思います。

最終話では、ユキは自分の中身の事を話しました。自分自身のことも、深く深く見つめてきた結果なのだと思います。

ご飯を残すことを注意したユキは、コトカフェには来ませんでしたし、その時のシュウも、コトカフェにはいませんでした。

ユキが、全く知らない大人の男の人を見ているみたい、と作中で独白しましたが、ユキも、もはや別人でした。

7年の月日は、人を変える。いや、違うなぁ、7年の月日は人が変わるには充分な時間。なのかもしれませんね。あたりまえか。


最終話。なんとなく、シュウには男らしさや若者の輝きが追加されたように思っておりますが、ユキはあの後、新宿の街で1人で泣くのでしょうか。。最終話作者さんのあとがきが見てみたい。ฅ•ω•ฅ




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