SmartNewsのリーンキャンバスを書いてみた
前回は「SmartNewsがヒットしている理由」について書かせていただいた。
今回はタイトルにある通り、「SmartNews」のリーンキャンバスをまとめてみた。
リーンキャンバスとはエリック・リース氏が提唱しているビジネスモデルのフレームワークである。
◆「SmartNews」のリーンキャンバス
項目ごとに解説していきたいと思う。※一意見として。
1.顧客セグメント
【クライアント】
-ゲームやアプリ開発会社
-メディア運営会社
-サービス・商品販売会社
-人材会社
-旅行会社
などなど幅広い分野の企業が対象
実際にアプリを見てみると、アプリや転職エージェント、法律事務所など様々な分野の会社が主にネイティブアドを出している。(広告については「4.ソリューション」にて説明する)
配信カテゴリーが多い分、広告を出すクライアントの幅もそれだけ広いことになる。広告収入で利益を上げている会社にとって、クライアントが多いのは喜ばし反面、広すぎてターゲットをセグメントしずらい危険性もある。
しかし「SmartNews」の場合は、配信のカテゴリーがタブで分かりやすく区切られているため、広告クライアントにとっては、どこに広告を出せば良いか迷う危険性は少なそうだ。
【カスタマー】
-通勤、通学中のスマホユーザー
-隙間時間に情報を集めたい老若男女
Web版はないので、スマホを持っている方がおのずとターゲットになる。
スマホが普及した分、隙間時間に行えることが増えた。その中で、通勤中のサラリーマンや通学中の学生にとって、電車の移動時間でニュースを手軽にチェックできるのはとても魅力的なことである。
「隙間時間に情報を集めたい老若男女」にしたのは、「SmartNewsがヒットしている理由」で述べたように50代以上の利用率が高いことからそのように表現した。
【アーリーアダプター】
-毎日ニュースをチェックしているビジネスマン
毎日ニュースをテレビや新聞やネットなどから情報を集めている場合の問題を3つの側面が考えてみた。
【①見れる内容】
→テレビニュースの場合:自分で選べず、一方方向でしか情報を得られない。
→新聞の場合:毎日届かない。
【②見れる時間】
→テレビニュースの場合:放送時間が決まっている。
→新聞の場合:朝刊か夕刊しか読めない。
【③見れる場所】
→テレビニュースの場合:テレビがある場所のみ。
→新聞の場合:広げなくてはならない、家に取りにいかなくてはならない。
つまり「内容」「時間」「場所」に制約ができてしまうのである。それに加えてリアルタイムの情報に弱いという点もある。
しかし「SmartNews」であれば、スマホ完結なので、いつでもどこでも見れて、リアルタイムの情報もすぐに通知がきて、見ることができる。
2.課題
【カスタマー】
-ニュースをいちいち検索せずにアプリ1つでスマホから見たい
-隙間時間にサクッとニュースをチェックしたい
-リアルタイムで旬な情報を入手したい
ニュースアプリが出る前は、テレビでニュースを見るか、ネットで検索するかして情報を集めていた。しかし、「SmartNews」があれば、スマホ1つでニュースを見ることができる。ただ単に記事を掲載しているだけでなく、1000万件以上のWebページから独自のアルゴリズムでリアルタイム解析を行なっているため、厳選された今話題の記事を読むことができる。
【既存の代替品】
-Gunosy
-LINE NEWS
-Yahoo! ニュース
他にもニュースアプリは存在するが、この3つを選んだ理由はすばり、「配信カテゴリー数」である。経済や芸能、コラム、アニメなど幅広い分野のニュースを配信しているかどうかを判断軸にしている。
3.独自の価値提案
【UVP】
①「Smartモード」(圏外でもニュースが読める)
② 多彩なチャンネル数
①Smartモード
圏外でもニュースが読める機能は「SmartNews」のUVPでしょう。
なぜなら、短い利用時間を最大限活かすため機能であるからだ。
通勤や通学中などの短い隙間時間の中で、圏外でもニュースがサクサク読める機能はユーザーの利便性を考えて作られた実に合理的な機能だ。記事を読むたびにローディングに時間はかかっていては、その分ニュースを読む時間が減り、ユーザーの離脱率も高まる危険性がある。
②多彩なチャンネル数
産経ニュースや映画.comなど媒体単位でユーザーが自由に追加できるのが「チャンネルプラス」である。
こちらをUVPに上げた理由は、「チャンネルプラスの登録者数の多さ」だ。2017年2月現在で3200万以上の方が登録している。それだけ需要の高い情報を提供していることになる。
チャンネルプラスへの登録はどの媒体でもできる訳ではなく、「SmartNews」側から配信実績や、読者とのエンゲージ、媒体ブランド等を鑑みて、開設することができるのである。記事の質の高さを担保できていることが、これほど多くのユーザーが登録されている1つの要因だろう。
4.ソリューション
【クライアント】
①動画広告
②大型画像広告
③ネイティブアド
大きく分けて広告の種類は3つである。
①「Premium Video Ads」-動画広告
任意の面や1日1社限定でトップに1面に動画広告を出すことができる。
【価格】
トップ1面:450万円
任意の面:200万円〜
②「Premium Display Ads」-大型画像広告
画像広告には2種類ある。
2-1「Premium Display Ads」
トップ以外の任意の面に画像広告を出すことができる。
【価格】100万円〜
2-2「Premium Display Ads フルリード」
トップの面や任意の面に画像広告を出すことができます。
【価格】
トップ1面:600万円
トップ半面:350万円
トップ以外:200万円
③「Standard Ads」-ネイティブアド
典型的なネイティブアドである。
【価格】50万円〜
アプリ内で一番よく見る広告なのではないだろうか。
【カスタマー】
-「Smartモード」
(圏外でもニュースが読める)
-「チャンネルプラス」
(自由に配信するチャンネルを追加できる)
-「リアルタイム通知」
(天気やスポーツなど旬な情報をリアルタイム通知)
天気やスポーツなどの速報や朝、昼、夕、夜の最新ニュースをポップアップで通知してくれる。
5.チャネル
【プル型】
-Web検索
-App内検索
【プッシュ型】
-TVCM
【プル&プッシュ】
-SNS (Facebook,Twitter,Instagram)
-ブログ (開発者ブログ)
-口コミ
テレビCMが特に圧倒的な影響力があると思われる。これまでに2回テレビCMを放送している。1番始めのテレビCMはとにかくサービス名を覚えてもらうということを目的にしていた。「すもうとニュースではなくてスマートニュース」というキャッチフレーズで放送していた。放送後にダウンロード数は格段に増加したと言われている。
6.収益の流れ
【広告収入】
-動画広告(トップ1面:450万/トップ以外:200万〜)
-大型画像広告(トップ1面:600万〜/半面:350万/その他:200万)
-ネイティブアド(任意面:50万〜) imp1円〜3.5円
収益は広告収入がメインである。他のニュースアプリと比較しても大きく価格は変わらない。(後日記事を投稿予定。)
7.コスト構造
-ホスティング
-人件費
-広告宣伝費 etc
ホスティングに関しては、毎月かかるものであり、なおかつ日本だけでなく世界にも多くの利用ユーザーがいるため、コストの割合は多いであろう。
8.主要指標
【獲得】
-アプリのインストール
【アクティベーション】
-アプリの起動
【定着】
-チャンネル追加
【収益】
-広告収入
【紹介】
-SNSにシェア
-レビュー書き込み
ニュースは毎日更新されるものなので、いかに多くのユーザーに毎日数回アプリを起動させて、記事を読んでくれるかが一番重要である。
9.圧倒的な優位性
①DTSの長さ
②40代〜50代の利用率
①DTSの長さ
DTSとは「Daily Time Spend」の略で1人あたりの1日のアプリ利用時間のことである。上記の図の通り、1人あたり1日12.2分もの時間を費やしている。
他のニュースアプリに比べて2〜3倍以上も利用されている。驚くべきことに「Facebook」よりも長い時間使用されているのだ。
なぜこんなにDTSが長いのか考えてみる。
「SmartNews」は、1日に「朝、昼、夕、夜」の4回最新ニュースを配信している。そのことから、朝の通勤・通学の移動時間だけでなく、お昼休みや夕食前後、寝る前の時間などの1日の中の隙間時間でしっかりと継続して利用されていることがわかる。ニュースアプリにとってこのDTSが長いことはそれだけユーザーの需要の高い情報を提供できていることになる。
②40代〜50代の利用率の高さ
この部分に関しては何度を説明しているが、スマホメディアとして40代〜50代以上の利用率が高い。全世代の方に適したUI設計及び配信コンテンツが用意できているのは紛れもなく圧倒的な優位性と言えるだろう。
◆まとめ
ダウンロード数やユーザー数、配信カテゴリー数、DTS、UI等を総合的に判断しても、日本を代表するニュースアプリと言っても過言ではないだろう。近日中に他のニュースアプリについての記事を上げるので、その際に、それぞれのニュースアプリについて研究比較できればと思っている。
次は「SmartNews」のカスタマージャーニーマップについて記事を投稿する予定である。
◆参考サイト
・「SmartNews」サービス紹介サイト
・SmartNews Ads Media Guide 2017.7-9