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【心理士1年生のためのガイド】終結のタイミング、どう見極める?
年度末が近づいてきて、担当ケースの終結が控えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのようなケースがある一方で、終結のタイミングが見通せない…と思っている初心者心理士さんもおられると思います。
そんな方のために、カウンセリングはどうなったら終結と判断できるのか、そのことについて今日は書いていきたいと思います。
はじめて私たちのページを訪れた方、まずは以下の「はじめにお読みください」をご一読いただけますと幸いです。
1.初学者のためのガイド
1-1.陥りがちなシチュエーション
私が初学者の頃、プレイセラピーを担当させていただく機会がありました。その時担当していたケースの子どもは、楽しそうに通ってきており、面接中、特に気になる様子も見られませんでした。
「この子は何に困ってるんだろう?」
「これってどうなったら面接が終わりになるの?」
と迷子になってしまったことがありました。
そもそも、
「普通の子ってなんだろう?」
とか色々と考え出すと余計にプレイセラピーの必要性も分からなくなってくる始末…。
このようなことは、初学者が陥りがちなシチュエーションなのではないでしょうか。
1-2.主訴は何か
「主訴は何か、それが分かっていれば自ずと終結のタイミングも分かるはず」
これは、前述のシチュエーションに陥った私が、先輩心理士から言われた一言です。
至極当たり前のことだけれど、その当たり前を自分でちゃんと掴めていなかった、ということを直面化された一幕でした。
もうぐうの音も出ない。
改めて、カウンセリングとは、何が主訴になっていて、それがどうなっていくと、その方が少しでも良い方向にシフトしていけるのか、そういうことを面接の中でクライエントさんと共同作業するものです。
それなのに、主訴を曖昧にしていればいるほど、ゴール(終結)が見えなくなるのは当然のことです。
ですから、終結について思いを巡らせるとき、「主訴は何か」改めて問い直してみることから始めてみると良いと思います。
1-3.見立ての再確認
「主訴は何か」が明確になったら、改めて、自分はセラピストとしてその主訴をどのように見立て、どのようにアプローチしてきたのか、言語化してみましょう。
(そもそも、ケースが開始される段階で、当面の見立てを言語化できておく必要がありますが、そのことはまた別の記事で書こうと思います。)
主訴に対する見立てが適切だったのか、はたまた外れていたのか、カウンセリングの過程では常にその仮説と検証が繰り返されています。そうして、その方の主訴に対する見立ての精度をあげていくのです。
仮説と検証を繰り返しながら、ゴール(終結)までの道のりのどのあたりに位置しているのかを考えます。
例えば不登校を主訴にプレイセラピーに通ってきている子がいたとします。面接中はとても活き活きしている、だから不登校の理由が分からない、というようなことに直面した時には、面接場面と日常生活(主訴)とのギャップについて思いを巡らせる必要があるでしょう。
ギャップについて、その理屈を説明することが「見立て」となります。要は主訴とそれに対する見立て・介入の辻褄がどの程度一致しているかが鍵になります。
見立て(仮説)と介入(検証)の結果、主訴は解消したようだ、もしくは主訴そのものは存在しているけれど、主訴の捉え方が変化してきたようだ、というようなことが見えてきたら、終結を考えても良い時期だと思います。
1-4.クライエントとの間で再共有
主訴に対する見立ての結果、終結しても良いのでは?とセラピストが判断したのなら、クライエントさんにもその旨伝え、意向の共有を行うと良いでしょう。
場合によっては、こちらはまだ終われないと思っていても、クライエントさんの方から終結の申し出がある場合もあるでしょう。その時には、この面接でどの部分まで取り組めて、どの部分がテーマとして残っているのか、そのあたりの共有をしておくと良いと思います。
今は取り組めないテーマでも、「テーマとしてこういうことが自分にはあるんだな」ということを頭の片隅に置いておけること自体に意味があるからです。
終結を申し出られて、物分かり良く「はい、わかりました」とあっさり終わってしまうことは避けたいです。終わることの意味について、クライエントさんとしっかり共有することが重要だと思います。
1-5.終わりについて話し合う
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