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SWPBS導入の鍵:チームを作って議論しよう!

学校で児童生徒のポジティブな行動を引き出し、学びやすい環境を作りたいと思っても、「どこから始めたらいいんだろう?」と感じる先生も多いかもしれません。この記事では、SWPBS(学校全体で取り組むポジティブ行動支援)の最初のステップについて、シンプルに解説します。

1. 推進チームを設置する

まず、SWPBSを実施するためには、学校内に「推進チーム」を設置することが重要です。このチームは、先生やスタッフから選ばれたメンバーで構成され、学校全体で取り組むSWPBSの計画を立て、進行を見守ります。ただし、既存の校内体制でも、校内支援を統括する分掌部や委員会は存在するでしょう。「新たな取組だから」といって、それに合わせていちいちチームを作っていると、手間になる場合もあります。取組とともに、いずれは体制自体を見直す機会にも恵まれますので、まずは小さく、出来る範囲でチームをつくることが大切です。

2. SWPBSの必要性を議論する

チームができたら、次にやるべきことは「なぜSWPBSが私たちの学校で必要なのか?」を議論することです。この議論は、学校が目指すゴールを確認するための大切なステップです。

例えば、いじめ事案の多い学校であれば、トラブルの報告件数が増えているかもしれません。不登校児案の多い学校であれば、欠席数や遅刻・早退数の増加がみられるかもしれません。まずは、校内で蓄積されている既存のデータを整理し、学校のニーズ(need)を客観的に整理してみましょう。データ整理には手間も伴いますが、データに基づく議論が可能になれば、「この問題は減らした方がよい!」という明確なゴールの確認につながります。準備や議論に時間をかけて、より多くの先生方からの賛同が得られるような活動にしましょう。

整理の結果、ニーズがあるとわかれば、SWPBSが自校の文化や風土に合った取組なのか(fit)、SWPBS実施に必要となる金銭的、人的、時間的、物理的なリソースをどう準備するか(capacity)といった議論も大切です。いくら必要だからといって、実現しない取組であれば正に絵に描いた餅です。客観的な必要性が把握されているのであれば、どのように現実的な実施につなげるか、という作戦を立てることも、先生方の賛同の獲得には重要な議論となります。

3. 話し合いの中で生まれる懸念と対応

議論が進む中で、先生方からはさまざまな懸念が出てくるかもしれません。例えば、「SWPBSを導入することで、既存の業務にどれだけ負担がかかるのか?」といった疑問や、「生徒の行動変容がどれほど期待できるのか?」といった効果に対する不安が生まれることもあるでしょう。

これらの懸念に対しては、これまでに蓄積されているSWPBSの研究知見の共有が非常に有効です。SWPBSは、アメリカをはじめとする多くの国々で成果を上げてきたエビデンスベースのアプローチです(evidence)。具体的な成功事例や改善例も数多く示されています。こうした例を取り上げ、検討を進めていくと、どのような導入の仕方が自校にとって取り扱いやすい形となるか(usability)、明確にできるでしょう。このとき、SWPBSの導入は段階的であり、すぐに全てを変える必要はないことも強調しましょう。最初は少しずつ取り組み、徐々に学校全体に広げていくことで、無理なく進められるでしょう。

さらに、外部の専門家のサポートや、他校の実践者とのネットワーク構築が、先生方の不安を軽減し、実践への自信を高める要素として効果的です(support)。現場での取組に対して、様々なフィードバックが得られる環境が用意できれば、懸念に対する適切な対処にもつながるでしょう。

まとめ

SWPBSの導入のはじめは、チーム作りです。推進チームは、学校全体でポジティブな行動を支援し、学びやすい環境を作るための基礎になります。データに基づきながら、need、fit、capacity、evidence、usability、supportといった6つの観点から議論を進め、学校ごとのオリジナルな計画が立案されることを期待しています。

もしも、話し合いの中で懸念が示されたとしても、それは自然なことです。継続的な対話は、その後の実現の後押し、充実に向けた鍵となります。関わる方々がそれぞれに「腑に落ちる」議論を進めていきましょう!

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