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AI規制に関する議論が連邦プライバシー法に与える影響とは
※このインタビューは2024年3月12日に収録されました
AI利用が進む米国では、包括的なプライバシー法の議論が以前より進んできています。
今回は米国シンクタンクのR Street Instituteでプライバシー及びセキュリティ調査に関わるスティーブンさんに、米国連邦プライバシー法の現在地と関連法案の今後についてお伺いしました。
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前回の記事より
今後、連邦プライバシー法に対してAI時代においても期待することがあれば教えていただけませんか?
AI規制に関する議論が連邦プライバシー法に与える影響とは
Steven: 質問について少し確認させて頂きたいのですが、私が寄稿した記事の中で包括的な連邦プライバシー法について言及した点で、AIに関する規制にも影響を与えうるかどうかという質問でしょうか?
Kohei: はい。そうです。
Steven: 有難うございます。私たちが人工知能についての議論を推進する際には、膨大なデータについても考えなければいけません。ただ、米国には連邦政府レベルでのプライバシー法が存在しないため、最小限のデータに留めて対応する必要があります。
いくつかの週ではプライバシーに関する制度が成立していますが、まだ多くの州がプライバシーを保護する州法が存在していません、丁度ケンタッキー州でもプライバシー法が成立し、全米では15州がプライバシー法を制定したことになります。
15州が米国の現在地なのです。50の州がある中で、まだ少数の地域しかプライバシーを保護する制度が確立されていません。大規模言語モデルでは膨大なデータを処理することになるので、人工知能を利用してセンシティブな情報を保護しようと考えるのであれば、まだ米国内での議論は不十分なのです。
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こういった背景から包括的なプライバシー保護が必要になるため、連邦プライバシー法が求められています。今後人工知能の普及を見据えるのであれば、今日か明日にでもプライバシー法を準備することが必要になるでしょう。
Kohei: 今では人工知能が様々な領域で生かされ始めてきています。法律を制定する方々も積極的に議論を進めていると思います。昨年にはバイデン政権でもAIに関する大統領令を発表していたと思います。今後連邦政府でもプライバシー法を議論する際に、AIへの大統領令は何か影響があると思いますか?
Steven: 大統領令というのは昨年10月に議論されていたものですよね。
Kohei: そうです。
Steven: 改めて、私たちは包括的な連邦プライバシー法やセキュリティ法が必要になると思います。法律が制定されることが第一のステップです。大統領令のようなメッセージ性が高いものも重要ではありますが、あくまでニュアンス的な意図が強いため、人工知能が持つ脅威に対する対策や脅威を最小限にするためにはどうすれば良いかということで議論が止まってしまうのではないかと思います。
ただAIがもたらす便益以外の議論は、米国以外の地域でも広く考えられ始めています。AIがサイバーセキュリティ領域で利用されることによって、小規模事業者が人的なリソース無くして対応できる方法を検討したり、低予算でAIによって実現できることが広がっていくことについては検討が必要になります。
AIに関するルールメイキングと利用者保護で求められるバランス感覚
今政治家の間で議論されていることは、AIの発展を減速させることなく、AIがもたらす危険について検討すべきであるということだと思います。AIによって個人や組織に生まれる効用とのバランスを考えることは非常に重要であります。
Kohei: 有難うございます。AIとプライバシーについては、各国でより活発な議論が必要になりそうですね。それまでに、各国での知見を共有することは非常に重要になりそうです。最後に、スティーブンさんから読者の皆様へのメッセージをお願いしてもよろしいでしょうか?
スティーブンさんのこれまでの経験を含めて、今後の動きについてもお話をいただけると幸いです。
Steven: 米国の視聴者の方がいるとすれば、連邦レベルでのプライバシーやセキュリティ法について意見を表明する方々への支持は非常に重要になると思います。
特に連邦レベルでは効果的なプライバシー法の重要性について、より言及していくことが必要になります。こういったメッセージを届けていくことで、個人がプライバシー法を支持するような動きに参加することもできると思いますし、同時にセキュリティについても考えるきっかけになると思います。私たちのデータを安全に管理し、最低限のリスクに留めることがより重要になっていくと思います。
Kohei: 貴重なご知見をいただき有難うございます。改めて、本日はご参加いただき有難うございました。とても重要なお話をお伺いできました。
Steven: こちらこそ、ご招待いただき有難うございました。
Kohei: 有難うございました。
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Interviewer, Translation and Edit 栗原宏平
Headline Image template author 山下夏姫