『どうする家康』を心理と色で振り返る
嵐の松本潤さんが主演の徳川家康役を演じ、先日、最終回をむかえたNHK大河ドラマ『どうする家康』。色々と話題を生んだ作品でした。この作品を心理学の視点を入れつつ、振り返ってみたいと思います。
まず最初に弱々しくで不安でいっばい「どうする」「どうする」という家康が、最後には「たぬき」と言われるほど、どっしりとした天下人になったその成長過程は、個人的にはなかなか見どころがあったと思います。
ただし世の中の評価は厳しく、平均視聴率は11.2%で、2019年の『いだてん~東京オリムピック噺~』の8.2%に次ぐ、歴代ワースト2位の作品になってしまいました。確かに2022年の『鎌倉殿の13人』と比べると、 Xの投稿数は明らかに少なく、視聴率、話題性ももう一つ伸びきれなかったと思います。
評価されなかった理由はいくつか考えられます。開始間もないタイミングから「 CGが安すぎる」という声にあるような安っぽさから、物語に入りきれなかった方も多かったと思います。最初に違和感を強く感じてしまうと、それがずっと尾を引く初頭効果がみられました。また、「展開が早すぎる」ことから、物語を追うことに目がいってしまい、感情移入がなかなか難しく、主人公を始め登場人物の気持ちに寄り添いにくかったこともあるでしょう。また、「史実を歪めて人を描いている」ことから歴史好きからも嫌われた反応が多くみられました。ライトな視聴者、コアな視聴者ともに評価されにくい作品になってしまったと思われます。このあたりの視聴者の反応は今後のドラマ作りに活かせると思います。
また、近年、よく使われているカラーグレーディングという手法があります。これは映像に色彩補正をおこない、雰囲気を作ったり、視聴者の感情をわかりやすく動かす目的で使われます。「どうする家康」でも、合戦のシーンや合戦後のシーンなどに使われていました。たとえば織田信長の強さを表現するために使われていた意図は見えるのですが、結果的に後味悪く、暗い気持ちになるネガティブな感情を想起する形で伝わっていたように見えました。話の中盤では「楽しさ」などを表現するシーンにも使われていましたが、それもごくわずか、全体的に追い詰められた家康の「どうする感」が暗い感じに視聴者の心に残ってしまったようにも見えました。演出としてのカラーグレーディングが、伝わらなった感じがするのです。
もちろん、よかった部分もたくさんあります。
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