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パワハラ死した僕が教師に転生したら 13.サイコパスな社長(前編)

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 教師の8回目の社会の授業。
 教壇に立ち、しばらくの間、目を瞑り、眉間に深いしわを寄せている教師。
 大きな瞳が虚空を一瞬だけ鋭く睨んだ後、彼の授業が始まる。
 
「今日の授業は、集団と階層の中にある、人間の持つ悪意や暴力性を行使させる四つ目の要因、サイコパスな社長についてです。人間的な感情、普通の人間が持っている良心や優しさを欠き、罪悪感のない冷酷で反社会的な精神病質者、それをサイコパスと言うなら、サイコパスな社長、サイコ社長は確実にいます。僕をパワハラ死させた会社の社長もその典型、まさに彼は精神異常者だったのです」
 
「お前もな。極度のパラノイア、まさに精神異常者」と颯太が冷たい口調で言う。
「うー・・・・・やっぱりアトム先生は、心が病気?」と優太が笑って言う。
「僕は前世の記憶があるだけで、パラノイアではありません。パラノイアとは、なんらかの原因で周囲の人々や状況に対して常に過度の恐れや疑いを抱くようになり、それが妄想を生んでしまう心の病なのです。僕にはそういう恐れや疑いはないのです」
「・・・・・アトム先生は、やっぱり、子供の頃のいじめが原因で、それ、発症した?」と優太が意地悪そうな笑みを浮かべて言う。
「・・・・・若年性パラノイア、か」と颯太が淡々と言う。
「だからいじめとパワハラは違うのです。僕はいじめられたことはないのです、いったい何度言わせるのですか」
「・・・・・先生は、もう少し、自分に素直になっても、いいんじゃないかなぁ」と愛鐘が優しい笑顔で教師の瞳を覗き込み、ゆっくりと言う。
「パラノ野郎、もっと素直に!自分に素直に!」と大声で言い、両方の手のひらで胸をゴリラのように何度も叩く鳥居。
「・・・・・ふむ・・・・・そうかもしれない・・・・・いじめられたことは絶対にないのですが・・・・・」と静かに言う教師。
 
「では、始めます・・・・・サイコ社長・・・・・それは冷酷で、労働者に対する思いやりや優しさ、共感力が全く欠落した人間です。彼らは必要があれば、あるいは、必要がなくとも、労働者を追い詰めたり、罵倒したり、労働者に暴力を振るうことに罪悪感を持ちません。
 そして、そのサイコ社長の悪意や暴力性は、上の階層から下の階層へ伝播し、集団を悪意と暴力で浸食して行きます。集団の頂点に立つリーダーである社長の行動は、その集団に属する労働者の手本となり、ルールを形作ります。だから、社長が部下を殴るなら、誰もが部下を殴るようになり、部下を殴っても良いというルールを持つ集団になるのです。前世の僕をパワハラ死させた会社の社長も、すぐに労働者を罵倒し、殴る人間でした。どうせ頭じゃわからない、先に体に教える、という主義なのです。それで、労働者達も、多かれ少なかれ同じように振舞う、パワハラが蔓延する会社だったのです」
 
 教卓に両手を置いたまま、いつもより早口で授業を進める教師。
 
「何故このようなサイコ社長が生まれるのか、その原因は大きく二つあります。
 その一つは、彼らの幼少期、青年期における親からの愛情の欠落です。その時期に親が亡くなったり、どこかへ行ってしまったり、親から虐待を受けたりして、親から愛されるべき時期に愛されなかった。こういう育ち方をしたサイコ社長はよくいるのです。
 彼らは、愛に飢え、愛されたいと強く望む一方で、人を愛することがよく理解できません。人を思いやる、守るということもよく理解できません。それは、自分が親から愛されたことも、思いやられたことも、守られたこともないからです。親の庇護のもとで成長したならば育まれたはずの、こういった人間的な感情が欠落しているのです。物のように扱われて育った人間は、人間を物のように扱ってしまいます。
 そして、親のいない、あるいは親に問題のあった彼らの多くは、そのために、貧困の苦しみの中で育ちます。貧困は子供にはどうすることもできない、だから彼らは強い無力感にも苛まれます。愛情に飢え、貧困に苦しみ、ひどい無力感の中で、どうして僕だけがこうなんだと思いながら育つ、この頃の心の風景は、彼らの奥底に一生残ります。そして、彼らは、その欠落感への反動として、強烈な欲望を、愛されたい、認められたい、お金が欲しい、力が欲しいという強烈な欲望を抱き、この欲望を叶えるために社長になろうと決心するのです。そして、死に物狂いで働き、一部は成功して行くのです」
 
 青白い左の手のひらを額にあて、一呼吸置いてから、授業を続ける教師。
 
「僕をパワハラ死させた社長も、父親がアルコール依存症だったようで、父親が酒を飲んで母親と彼に暴力を振っていた、彼にはおぼろげながら、幼い頃のそんな記憶があるそうです。そして、彼が八歳の時に、母親は彼を残して突然いなくなる。その後、彼は地方で一人暮らしていた父方の祖母に引き取られ、育てられたのです。そこではひどい貧困があり、祖母の彼に対する態度も冷たいものだったそうです。彼はよく祖母に叩かれたし、『ここはあんたの居場所じゃないんだよ、早く大人になって出ていきな』と言われ続けたそうです。父親は、彼が祖母に引き取られた後、しばらくして行方不明となっています。彼は今でも、両親に想いを馳せる時があるそうです。『今、どこにいるんだろうか・・・・・生きているのだろうか・・・・・僕のことを憶えているだろうか・・・・・僕のことを想うことがあるのだろうか・・・・・』と」
 
「うー・・・・・アトム先生は、なんでそんなに細かく知ってる?」と首を傾けて優太が訊く。
 
「あの会社では、社長の自伝を、これはアマゾンや書店には売っていない自費出版なのですが、もれなく社員は買わされる、給料から研修教材費という形で、書籍代などが差っ引かれているのです。その自伝にさっきの話も書かれているのです。自伝のタイトルは、『メチャ熱いスープを君達と 60店のフレンチレストランチェーンを築き上げた男のキセキ』というのです。キセキというところがカタカナで、これまでの彼の人生という意味の軌跡と、常識では起こりえない出来事という意味の奇跡を掛けたんでしょう。ちなみに、彼はフレンチレストランと言っていますが、ちゃんとしたフランス料理店ではありません。すごく安くはないですが、ちょっと安いファミレスです。フランス料理は食材が高いし、料理方法も複雑で人件費もかかる、それで料理の価格も上がり、お客さんが限られるので、チェーン展開には向いていないのです。でもそこを、中価格帯のファミレスより少し安いくらいの価格で、他のファミレスにはない青かびのチーズとか、テリーヌとか、エスカルゴとか、どれも安くてひどい食材を使うのですが、そういういかにもフランス料理らしいものを出して、いつもファミレスに来ている客層に手軽にフランス料理・・・・・らしきものを食べてもらうという、そういう狙いのファミレスなのです。もちろん店舗にシェフはおらず、調理は、セントラルキッチンという工場で作られ、冷凍されて配送されたものを解凍する、茹でる、焼く、揚げる、それでパウチに入ったソースをかける、これだけです。
 それから、60店というのは大手ファミレスチェーンと比べれば弱小です。出店も都内のみなのです」
 
「・・・・・大した経営者じゃないな」と颯太が長い前髪の奥の瞳を動かさずにボソッと言う。
「・・・・・ええ、そう大きな会社ではないし、上場もしていないのです。あ、上場というのは、その会社の株を証券取引所に登録し、一般の人がその会社の株を市場で自由に売買できるようにすることで、大きな会社は上場していることが多いのです。
 でも、普通の人では、あの社長にはとても及びません。会社を作ってビジネスを始める、すなわち起業する人のほとんどがうまく行かず、数年内には会社を畳むことになるのですから。
 それで、その自伝には、彼の幼少期の悲しい記憶や不幸な生い立ち、『誰をも絶対に見返してやる』と社長になることを高校時代に誓ったこと、高校卒業後、起業を夢見て上京したこと、しかし何をしたらよいかわからず、何年もアルバイトで食いつなぎながら自堕落な生活をしてしまったこと、その後、彼女が出来たことをきっかけに二十代の半ばで起業への意欲を取り戻し、飲食業での起業を決意し、ノウハウを吸収すべくあるファミレスの正社員となり猛烈に働くこと、ギリギリまで切り詰めた暮らしで貯めた資金を元に三十歳で起業し、借金もしてレストランを1軒持つが鳴かず飛ばずの時代が5年も続いたこと、そのレストランを思い切ってフレンチ風ファミレスに方向転換してからの成功、死に物狂いのチェーン展開、その後も何回も訪れたピンチとそこからの起死回生が描かれているのです。そして最後は、今五十代半ばとなった彼から社員へ送る言葉、それから、どうすれば奇跡が起こるかという問いかけがあり、死に物狂いで頑張るしかないが答えで、でっかい夢を一緒に叶えよう、そのために一緒に極限まで戦おうで終わる、まあ、よくある内容なのです」
 
「うー・・・・・アトム先生は、その本が好き?」と優太が再び首を傾けて訊く。
「はあ?そんな訳がありません、前世の僕はこの社長のせいで死んだのですよ」
「でも、細かいとこまで、よく覚えてる・・・・・なんで?」
 
「・・・・・ああ、それは、あの会社では、半年に1回、社員もれなく社長面談があって、その時に社長から、その自伝の何ページには何が書いてあったか、それと自伝の感想を訊かれるのです。だから、社員はみんな、何度も何度もその本を読むのです。そして、僕も入社して2か月が過ぎようとしていた頃、その面談を受けることになったのです。でも、僕はまだ入社したばかりで、仕事を覚えるのに手一杯で、自伝は何度も読みましたが、ページを覚えることにまで頭が回らなかった。そもそも、そんなページまで覚えられる訳がないのです・・・・・何故か覚えてる人もいるようでしたが・・・・・。
 そう、そして、その面談の日が来たのです。失礼しますといって本社の狭い社長室に入ると、スーツ姿の彼が一人で椅子に座っていました。小柄でがっしりとした体つき、短く刈り上げた白髪、そして、彼は、ひどく暗い目をしていました。・・・・・父親からひどい虐待を受けていたんじゃないか?・・・・・そして今、本当はその父親を監禁して毎日虐待しているんじゃないか?・・・・・そんな想像を僕にさせた、そういう、ぞっとして、逃げ出したくなるような目です。
 彼は挨拶もせず、立ったままの僕に向かっていきなり『49ページは何が書いてある?』と鉛のような声で訊くのです。彼の不気味な目が僕を睨み、僕は気が動転してしまい、答えが浮かびませんでした。僕が黙り込んでいると彼はテーブルに拳を叩きつけ『149ページは?』と訊きます。僕が『・・・・・アルバイトをされている頃だと思います』と答えると、彼はテーブルを殴りつけた。
 『291ページは?』『みんなで夢を一緒にかなえようということが・・・・・』『この本は249ページで終わりだ』
 僕は頭が完全に真っ白になってしまった。しばらくの間、彼はその凶々しい目で僕を睨み続け、沈黙が続きました。そして彼は、『それでお前、どう思った』と低い落ち着いた声で訊くと同時に、両方の拳を思い切りテーブルに叩きつけました。僕は怖くて、鳥肌が立ってしまい、頭に何も浮かびませんでした。『すぐ答えろ』と怒鳴られ、僕は慌てて、『・・・・・・よく・・・・・できました・・・・・ね・・・・・す、すごいです』と言いました。それで僕は顔面を殴られて、翌週から例の終着駅と呼ばれる、例の店長がいる店舗に配送されてしまったのです」
 
「お前は馬鹿か?」と颯太が真剣な瞳で言う。
「あはははは、それは、お母さんが子供にかける言葉、かなぁ」と愛鐘が子供を見守る母親のような優しい笑顔で言う。
「・・・・・やはりどこかがナチュラルに上からなのです」と文香が呆れた顔で言う。
「・・・・・ある意味、勇者・・・・・と言える」と冬司が笑いを堪えながら言う。
「パラノ野郎!す、すごいです!よーく、そんなことが、で、ででででで、できましたねぇぇぇぇぇ!」と鳥居が教師を両手で何度も指さしながら大声で叫ぶ。
「・・・・・一応、褒めてはいたと思うのですが・・・・・まあ、前世の僕は、すごく内気で、人と話すのが苦手でしたから」
「うー、でも、その一言を言わなきゃ、前世のアトム先生はまだ生きてるんじゃ?」と優太が言う。
「・・・・・いや、アトムは、遅かれ早かれ、なぁ」と冬司がニヤニヤしながら言う。
 
「うーん、でも、その社長は、どうしてそんなことさせるのですか?」と文香が訊く。
「さあ?・・・・・労働者を脅して、自分を恐れさせたいのではないでしょうか?まあ、サイコ社長の中には、ページ番号を覚えるとかそういう出来るはずのない無意味な仕事をさせて、出来ないと叱りつける人が多いのです」
「いや、ページ番号の話じゃなくて、どうして自伝を覚えるまで読ませるのですか?自分を認めて欲しいとかですか?」 
「それもあります、人から認められたくてたまらない。そして、人から認められることで、自分を肯定したいのです。それから、自分は圧倒的な存在だから恐れろ、ひれ伏せ、逆らうな、と労働者に言いたいのです。お前たちにこんなことができるか、と言いたいのです。圧倒的な存在にひれ伏したい、ひざまずき、服従し、依存し、全てを委ねてしまいたいという心理が人間の中にはある。このことを社長という人種はよく理解していて、利用しようとするのです。そして、自分と一体になれ、と労働者に言いたいのです。自分と同じレベルで、同じ思想で、同じ意識で働けと・・・・・まあ、一種の洗脳です。何度も同じ本を読まされると、書かれていることが正しいことだと思えてきますから」
「・・・・・洗脳」と文香が白い頬をこわばらせ、瞳を細めてつぶやく。
「ええ、強制的な・・・・・集団と階層の中ではよくあることです」
 
 目を瞑り、しばらくゆっくりと息をする教師。
 
「それで、前世の僕があの社長と会ったのは、その後、1回だけです。僕が終着駅に配属されてすぐの頃、例の店長からひどいパワハラを受けていた最中に、彼が来たのです。この時、僕は彼のことを理解できた気がします」
 
 教室の宙の一点を見つめながら、教師が授業を続ける。
 
「・・・・・僕は、店舗の事務室の中で、店長に腹を殴られて床に倒れていました。その時、ドアをノックする音がして、『店長』という低い声が聞こえたのです。店長は僕を立ち上がらせ、丁寧な口調で『はい、今、空けます』と言い、ロックを外してドアを開け、入って来た社長に椅子を勧めました。狭い事務室に3人が立っていて、彼はあの凶々しい眼差しで僕を見て、『怯えて青ざめた、社員のこういう顔は見るのは、何百回目か・・・・・』と言った。その後、彼は、しばらく僕の坊主頭を左の拳で小突き続け、煙草に火を付けた。店長が『灰皿、これ使って下さい』と言って、缶コーヒーの空き缶を差し出した。『・・・・・コイツの口がある』と言い、彼は僕の顔に向かって煙を吹きかけた。
 
『・・・・・こんなことされても毎日働きに来るんだからな、頭がどうかしてる・・・・・でも、お前みたいのがうちの会社に何人も流れてくる・・・・・安い給料で死ぬほど働く、殴られても会社に来る・・・・・今の社会は、どうかしちまってるなぁ・・・・・だから俺の会社が成り立つんだが・・・・・』
 
 彼は、右手の人差し指と中指で煙草を垂直にして、火の付いた部分を僕の眉間のすぐ近くに固定した。
『コイツ、仕事は?』と彼が言い、『動きが遅いし、ミスが多いです。それから、イズムが体現できていません・・・・・必ず矯正します』と店長が答える。『・・・・・何日も徹夜させて、殴って蹴って追い込んで、ようやく極限まで戦うってことがわかる・・・・・いつもと同じだ、体に教えろ』と彼が低い声で言い、『はい』と店長が答える。
 彼が突然、僕の眉間のすぐ近くにある煙草の火に強く息を吹きかけ、僕は慌てて目を閉じる。灰と火、煙と息が僕の顔に当たった」
 
「『反省文は?』と彼が言い、『書かせていますが、なかなか自分が抜けません』と店長が答える。彼は、じっと僕の顔を覗き込み『良い家庭で育ったんだろうなぁ』とつぶやき、再び左の拳で僕の坊主頭を小突き始めた・・・・・そう、前世の僕は、両親にとても愛されて育ったのです。それで、その時、朦朧としながら、僕は考えていた。ああ、この人は、本当に、自伝のような育ち方をしたんだ。父親からの虐待?八歳でお母さんが突然消えた?どれほどの苦しみ、どれほどの悲しみだろう。胸が詰まる。暗い部屋で独り膝を抱える子供の姿・・・・・本当に可哀そうだ、せめて親代わりの誰かがいてくれたらよかったのに。こんなにも歪んでしまって、本当に・・・・・
 『徹底的に反省させろ、自分を殺させろ』と彼が鉛のような声で言い、『はい』と店長が答えた」
 
「『すまん、一番忙しい店任せてる上、いつもこんなのの矯正頼んで』と彼が言い、『いいえ、ありがとうございます』と店長が答えた。『見せしめがないと、社員どもも締まらない。どいつもこいつも、すぐ意識が下がる』と彼は言い、机の上の時計を見て、『次の店に行く』と言った。店長が『わかりました。今日はわざわざありがとうございました』と頭を下げて言い、僕に向かって『社長に御礼は?』と凄んだ。
 その時、何故だか、僕は一瞬、社長に微笑みかけてしまった。それはおそらく、哀れみと蔑みの混じった微笑みだったと思う。朦朧としながら、思っていたことがふと顔に出てしまった。
 激昂した彼が『テメエ、殺すぞ』と怒鳴り、僕は顔面を殴られる。僕は土下座をして何度も誤り、何度も御礼を言う。彼がその僕の頭を何度も踏みつけ、僕を立ち上がらせ、再び顔面を殴る。『社長、顔はちょっと、接客もありますし』と店長が言い、『俺に物を言うのか』と彼が怒鳴り、『大変申し訳ありませんでした』と大声で言った店長が頭を深く下げたまま動かなくなる。『・・・・・コイツは本当に癪に障る、徹底的に矯正しろ、なんなら殺せ』と彼が吐き捨て、ドアを叩きつけて出ていく。『今日はわざわざ、本当にありがとうございました』と店長が言い、僕も同じことを言いました」

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