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パワハラと呼ばれた男がコビーの「7つの習慣(第3部)」から得たこと
パワハラシリーズです。
今回のテーマは、引き続きスティーブン・R・コビー氏が書いた「7つの習慣 人格主義の回復(第3部:公的成功)」です。
第1部をもとにした記事はこちら
第2部をもとにした記事はこちら
第3部では「公的成功」というタイトルがついています。「公的成功」とはどのように他の人と共に成功していくかというテーマになってきます。
優れたマネージャーになるために、どのように考え、他の人とどのように人間関係を構築していけば良いのかが分かります。
これを理解すれば二度とパワハラを行うことはなくなるはずです。
マネージャーは、チームで成果を上げていく必要があり、そのためにメンバーとの人間関係を良くすることが大切であることは頭では理解しているはずです。
分かってはいるけど、メンバーの気持ちを尊重しない態度を取ってしまい、後で後悔するということはないでしょうか。
その状態を放置すると、組織やチームが崩壊する事態がおきます。
7つの習慣第3部の内容をもとに、「チームで最高の成果を上げる」ための「人間関係の構築の仕方」について、過去の自分に向けたメッセージとしてまとめてみたいと思います。
サマリー
チームで大きな成果を得るには相乗効果を発揮する必要があり、そのためには信頼し合う人間関係の構築が不可欠。
信頼は継続的に相手に預け入れを行い残高を増やす努力をする、
信頼を得るためには6つの方法がある。
最も重要なことは相手が何を求めているか知ること。相手が何を求めているか分からないの状態では預け入れができない。
相手を理解するために共感による傾聴を行う。
共感による傾聴は「相手の言葉を自分の言葉に置き換え」、「相手の気持ちも言葉にする」。
相手を理解したうえで、自分を理解してもらうことを忘れてはいけない。
Win-Win ( or No Deal)が唯一の選択肢となる。
違いは歓迎する。
両方の希望を叶えられる第3の案は必ず存在する
大きな成果を得るには
一人で出来ることには限界があります。
大きな成果を上げるためにはメンバーと協力していかなければならないのに、あなたは自分でやった方が早いし、出来が良いと思っていましたね。
そして、限界が来て、組織も自分も崩壊したわけです。
大きな成果を得たいのであれば、メンバーの能力を活かして相乗効果を発揮していく必要があります。
相乗効果を発揮するには、お互いに信頼し合う人間関係を育んでいく努力をしなくてはならないのです。
それは頭では分かっていたと思います。
しかし、あなたはそれを意識的には行っていませんでした。そこに時間を取られることも嫌だったのだと思います。
相乗効果を発揮するまでのステップは長い道のりです。
人格を磨く → 信頼される → 信頼合う人間関係を育てる → 相乗効果を発揮する
第2部までの取り組みで人格を磨き主体的であるための道筋を示してきました。
次のステップは信頼されることです。
信頼されるには
あなたは仕事で結果させ出せば信頼されると思っていましたね。
しかし、それで得られるものは仕事の結果を担保にした「信用」で、あなたは「信頼」はされていなかったのです。
もし仕事で結果が出なければ、あなたは信用も失います。
信頼は、あなたの人としての考え方や行動によって得られるものです。
それは仕事の結果によって得られたり失ったりするものではないです。
どうすれば信頼されるようになるのでしょうか。
信頼は時間をかけてコツコツの積み上げていくしかありません。継続的に信頼の預け入れをしなくてはなりません。
お金と同じように、相手に預け入れをすれば信頼は貯まっていき、引き出しをすれば信頼は減っていきます。
信頼の預け入れには次の6つを行います。
1相手を理解する
信頼残高に何を預け入れたら良いのかは相手によって変わります。
つまり、相手が何を望んでいるのかを知らなければ預け入れをすることはできません。
「相手はこんなことを望んでいるはずだ」と勝手に判断してしまうと、あなたは預け入れのつもりでも、相手にとってはいい迷惑ということが起きてしまいます。
そうならないように相手が大切に思っていることを、相手の視点で理解することが預け入れの第一歩です。(相手を理解するための方法は後述します。)
そして、何よりも、相手を理解しようとする姿勢自体も非常に大きな預け入れになります。
2小さなことを気遣う
ちょっとした親切や気配りは預け入れになります。
「そんなこと言わなくても伝わっているだろう」と考えると失敗します。
少しの思いやりが足りなかったり、礼儀を欠いただけで大きな引き出しとなってしまうこともあるので気をつけましょう。
3約束を守る
当たり前のことですが、約束を守ることは預け入れとなり、約束を破れば大きな引き出しとなります。
守れない約束はしないことを肝に命じる必要があります。
約束した時には守る自信があっても、状況の変化によって約束を守ることが得策でない場合があるかもしれません。
そうであっても、約束は約束です。多少のデメリットは受け入れてでも可能な限り約束は守るようにしましょう。
もし、どうしても約束を守れない、守ると許容できないマイナス面が発生するような場合は、最後の手段として、丁寧に説明をして撤回させて欲しいと頼むようにしましょう。
4期待を明確にする
最初に期待を明確にし、お互いに納得する状態を作っておくと預け入れになります。
逆に、目標があっても、その目標を達成するにあたって相手に期待することが明確になっていないと、誤解が生まれます。
例えば、「この企画の素案を作っておいて欲しい」という依頼の場合、「素案」とは何を期待しているのかをお互いに明確になっているかということです。
誤解が生じると、あなたは「何でここまでしか出来ていないんだ」と思うのに対して、相手は「私の仕事はここまでだと思っていたのに」という状況が発生します。
それは相手を失望させ、信頼を損なうことになってしまいます。
新しい状況になったら、最初に期待をすることを明確にし、意見の違いがあれば話し合い、お互いに納得のいく期待事項を話し合って決めていきましょう。
5誠実さを示す
誠実さは預け入れの基礎です。いくら他で努力をしても誠実さがなければ、信頼残高はすぐにゼロになります。
誰に対しても同じ基準で接する、その場にいない人を擁護する、といった誠実な対応は周囲の人の信頼を獲得することになります。
逆に、陰口を言ったり、「ここだけの話・・・」と秘密をもらすようなことをすると、裏表のある人と思われてしまい信頼が落ちていきます。
誠実に行動するために、相手に率直に言わなければならないこともあります。
それによって嫌われてしまうのではないかと考えてしまうかもしれませんが、長い目で見れば、裏表がなく正直な人だと思われ、信頼を獲得できます。
「99人の心を掴む鍵を握っているのは1人に対する接し方」という言葉を意識しましょう。
6引き出してしまった時は心から謝る
もし、相手の信頼を引き出してしまうことになったら、誠意を持ってすぐに謝りましょう。心からの謝罪は預け入れになります。
下手な言い訳や責任逃れはさらなる引き出しに繋がってしまいます。
相手を理解するにはまず診断
前述の6つの預け入れ方法のうち、「相手を理解する」ことが最も難しいのではないでしょうか。
あなたは相手のことを理解しないまま、先走って自分の立場からアドバイスをすることが多かったと思います。
その行為は、相手に自分のメガネをかけさせて、「良く見えるだろう。」と言っているのと同じです。
あなたにとって良いやり方が、相手にとって良いやり方とは限りません。
この間違いを犯さないためには、最初に相手を診断することが必要です。
相手に合うメガネがどんなものか、そもそもメガネが必要なのか。
相手を深く知り、正しい診断を行うには、相手に共感して話をきく「共感による傾聴」のスキルを身に着けなければなりません。
共感による傾聴
あなたは相手の話をきくとき、どのような姿勢で聞いていたでしょうか?
ほとんどの人は、次に何を話そうか考えながら聞いていて、相手の言っていることを理解しようとして聞いていないと言われています。
あなたも思い当たる節があると思います。
相手の話が終わらないうちに内容を評価したり、自分が求める答えを引き出すために探りや誘導をするような質問を行っていなかったでしょうか。
これでは、正しい診断ができず、相手を理解できません。
共感による傾聴では、次の2つを行います。
相手の言葉を自分の言葉に置き換える
相手の気持ちも言葉にする
例えば、相手がイライラしながら「あの人と一緒に仕事したくないです」と言ってきたらどう答えますか?
あなたは「え?何で?」と聞くのではないでしょうか?
共感による傾聴は、例えば、
「あの人の一緒に仕事することで、イラついているみたいだね。」と、
相手の言葉を置き換え、相手の感情も言葉にすることが、共感による傾聴です。
その次に相手が発する言葉にも、同じようにしていきます。
本心から相手を理解したいと思って、相手の言葉を自分の言葉に置き換え、相手の気持ちも言葉にできれば、相手は共感してもえていると感じ、自分が尊重されていると感じます。
相手の考えや感情を整理する手助けすることにも繋がり、相手側から助言を求めてくる可能性も高まります。
そのタイミングで助言を行えば、あなたは相手のことを理解していますし、相手も助言を受け入れやすくなります。
一方で、共感による傾聴で相手を理解することは多くの時間がかかります。
ですが、第2部でも説明した通り、人間関係は効率ではなく、効果を求めなくてはなりません。
相手の理解に長い時間をかけるからこそ大きな効果となって戻ってきます。
はじめは上手くいかなないと思います。
親しい人と共感による傾聴の練習を定期的に行ってみるとよいでしょう。
信頼されるには時間がかかる
信頼されるための努力を全く行ってこなかったあなたが、いきなり態度を変えると、何か企んでいるのではないかと疑われるかもしれません。
その場合、「これまでのやり方が間違っていたことに気づき、考えを改めている」と、正直に自分の思いを相手に伝えましょう。
あなたが本気で思っているのであれば、相手に伝わるはずです。
仮に相手があなたの言葉を信じてくれなかったとしても、あなたが本心から相手を理解する努力をし続けていけば残高は必ず増えていきます。
また、預け入れをしているからといって、相手から見返りを求めてはいけません。見返りは求めず、辛抱強く取り組んでください。
相手を理解することは影響の輪の中でできます。いつでも、自分だけで、今すぐに実行にできるということです。
相手が打ち明けなくても共感はできますし、相手が何も言わなくても、あなたが相手を理解しようとして、相手を思いやる気持ちを示すことができれば、それで良いのです。
自分を理解してもらう勇気
相互依存の関係になるためには、相手を理解するだけではいけません。
自分を理解してもらうことも大事です。
自分を理解してもらうためには、言いにくいことを言わなければならないこともありますので勇気が必要になります。(もしかしたら、あなたはこの点については心配ないかもしれません。)
相互依存には、相手を理解する思いやりと、自分を理解してもらうための勇気の両輪が必要なのです。
自分を理解してもらうためには、まず思いやり、次に勇気を出しましょう。
始めに相手が望んでいること理解し、それを相手よりも上手く説明し、その理解に沿って自分の考えをはっきり分かりやすく説明すると、あなたの考え・アイデアの信頼は格段に上がります。
Win-Winを目指す
次は人間関係の構築です。
人間関係には6つのパラダイムがあると言われています。
Win-Win:自分も勝ち、相手も勝つ
Win-Lose:自分が勝ち、相手は負ける
Lose-Win:自分が負けて、相手が勝つ
Lose-Lose:自分も負けて、相手も負ける
Win:自分が勝つ
Win-Win or No Deal:自分も勝ち、相手も勝つ、それが無理なら取引しない
もちろん、Win-Winが良いのは知っていたとは思いますが、あなたはWin-Loseの傾向が強かったのではないでしょうか?
負けたら終わりだと思っていたと思います。
Win-Loseはその場ではあなたが勝っても、相手には不満が残り、長期的にはLose-Loseになっていきます。
逆に、Lose-Winで妥協をすると、あなたは不満を抱えますから、こちらも同じく長期的にはLose-Loseになります。
Lose-Lose が良くないのは分かると思います。
つまり、どちらも勝たないと、長期的にはどちらも負けになってしまうので、Win-Winの道を探ることが人間関係を構築する上で唯一の選択肢となります。
本当のWin-Winを探し、それが無なければNo Dealを選択するようにしましょう。(No Dealを使えない場合は、低いレベルのWin-Winで妥協をすることもありです)
Win-Winを実現するには、下記のポイントを意識しましょう。
自分にとって本当のWinは何かを明確にする
相手のWinを理解する
Win-Winの中身を明確にてお互いに合意する
パートナーシップの関係としてWin-Winの実行協定を結ぶ
Win-Winになるための仕組みを考える
目標だけでなく、プロセスもWin-Winにする
違いを歓迎する
チームの成果を最大にするには、相乗効果によって1+1=3以上の成果を出さなければなりません。
メンバーがお互いの違いを認め、尊重し、自分の強みを伸ばし、弱いところを補うことによって、相乗効果が発揮されます。
そのために必要なことは何でしょうか?
それは「違い」です。
自分とは違うものを持つ人と接することで、自分の知識が深まり、現実をより正確に理解できるようになります。
どちらの意見も見方も正しいと思わなければ、ずっと自分の殻に閉じこもったままです。
「あなたに見えているものを私にも見せて欲しい」という姿勢で相手を尊重し、他者の良い面を探し、そこから学んで視野を広げましょう。
違う意見だから大切なのです。
違う意見を拒絶したり、自分の意見をゴリ押しするようなことはやめましょう。
第3の案を見つけ出す
違い受け入れられたとしても、それを有効に活用できないと意味がありません。
お互いの希望を理解して、違いを活かし、両方の希望を叶えられる第3の案を見つけ出す努力をしていきましょう。
「そんなのあるわけがない」と思ってはいけません。
必ず第3の案があると思わないと限界を超えることはできません。
相手を理解する努力、高い信頼残高、Win-Winの姿勢があれば、当事者全員にとって、より良い第3の解決策が必ず見つかります。
もちろん、試行錯誤の連続で、大変な思いや辛い思いをするでしょう。
それに耐えられる内面の安定性と価値観もしっかりしている必要があります。
チームで最大の成果を上げ続ける取り組みは長い道のりになります。
ですが、あなたなら必ずできます。
もうあんな目には合いたくないはずだから。
まとめ
まず何よりもあなたは信頼される行動を行い、信頼残高を高めていかなくてはなりません。そのためには、相手を理解する必要があり、共感による傾聴のスキルを高めていくことに力を注ぎましょう。
そうすることで次第にあなたへの信頼が増え、相手と良い人間関係を構築できるようになります。
お互いに信頼し合う人間関係が構築できれば、Win-Winの姿勢で違いを活用し、相乗効果を発揮し、全員が納得できる画期的な第3の案を見つけることができるはずです。
これが出来るようにチームを導くことが、あなたの役目です。
おわりに
第3部も当然ですが内容が盛りだくさんでした。
相乗効果、Win-Winなど、言葉としては耳にする機会は多いと思います。
そのためには、人格や信頼し合う人間関係といった土台が重要であることを改めて実感できたのではないかと思います。
とは言え、知識として持っていても、実行しなければ始まりません。
自分の信頼残高の状況、共感による傾聴、Win-Winの姿勢でいるか、第三の案を見つける努力をしているか、定期的に自己チェックを行うようにしましょう。