リメイクの魔法: スピルバーグ監督の新ウエスト・サイド・ストーリー
もともとの1960年代のWestSideStoryが大好きすぎて、スピルバーグ級のヲタ監督でないとファンは納得しない!それでよくぞ名乗りあげてくれたなぁと思いました。外さないものね。この人。。
これを見ると第一作目が大好きだった人でさえ、この二作目の深堀りが好きか嫌いかで分かれるかもしれない。こんなの見たくない!と思う人もいると思うことは承知の上で書くね。
私はこの深堀りが2021年を現しててまたスピルバーグxバーンスタインという天才ユダヤ人のコラボとして名を残す名作になった気がする。この映画はひっかかって残る。嫌なところもある。決してストレートにカンドーとかじゃない。そういう予感がする。
ウエスト・サイド・ストーリーをリメイクするってことは、ほぼ源氏物語を口語訳するみたいなもので、監督にとって名誉のあることだと思うのよ。もう失敗は許されない。失敗したらもう追放ぐらいの勢いね。
とにかく第一作目と違うところは、「深い」「リアリスト」もっと「血なまぐさい」「ギリギリ宗教色も出してる」というところじゃないかな。
これ見ると第一作目がもしかしたらラ・ラ・ランドだったんですか?ぐらいの軽さ。つまりね、話と話がつながってなかったところがこっちを見るとちゃんと理解できるのですよ。つまり前のがあまりにもフェアリーテールすぎたの?みたいに思えてしまいます。
新事実は(原作読んでないので、これが原作なのかどうかはわかりません)
例えばアニタとマリアのお兄ちゃんは私は付きあってるだけと思ってたら、実は同棲して家賃を出し合ってた
マリアのお兄ちゃんは血の気の多いボクサーだった
トニーとマリアは実はできてた
トニーの過去はかなりワルだった
マリアはブティックの売り子ではなくデパートの掃除婦だった
・・など前の映画しか見てない私にとっては結構リアリストでショックでした。いや、ショックじゃなくて、そういう細かいセリフが全部出てくるのでリアリストなのよ。忠実なのか?あたしはミュージカルも見たこともないからね。
まず、NYの上空からのシーンで始まる一作目の有名なオープニングに続きこちらは、リンカーン・センターの工事現場の景色からはじまるのね。それも上空だけではなくカメラが動く。そして街で風を切って歩くジェッツとシャークスのお兄さんたちが踊ってるんだけど、第一作目がかなり足ピンのバレエ的の振り付けが多くて優雅さを出してたのに対しこちらは結構アクロバットね。ガッツリ踊るわよ。そしてあのバーンスタインのオーボエ。現代音楽の走り?というか、不安点な心をふらっと即興音楽のように映像とあわせて。。もう、うますぎっ。そうなのか、リンカーン・センターってあの当時に建ったんだ。。と、リンカーン・センターってさ、あの、「JUDY」も、シェールとニコラス・ケイジの「月輝く夜」もでてきたでしょー。(ふる)
第一作目ファンなので比較して書くね。
例えば『アメリカ』のシーン。。。あれは第一作目ではダンスパーティのあとでプエルトリコ集団が全員ビルの屋上に集まって女子男子の対決みたいなダンスでしょう?それまでにあまり会話はなくて、内容的に「男子のマチズムを批判する」的な「冷蔵庫もあってアメリカ好きよ」みたいなかわいい歌だったんだけど、今回は結構ちゃんとセリフを言わせてなぜプエルトリコの生活かNYの生活とか細かい女子たちが踊るのよ。そのシーンが圧巻。アニタかっこいいのよ。昔バージョンには日本人のダンサーもいたけどね、今回はいなかったわ。テーマは黄色ね。太陽の下よ。前バージョンは紫だったの。パーティの後のどこかの屋上設定ね。
ただすごいのは、ダンスシーンでおもいっきりカメラ動かしてガンガン劇的に撮るというありがちな撮影はありません。キラキラパーティシーンを極力抑え、それでもミュージカルの楽しさをふんだんに入れ、一作目に敬意を払いながら踊りで見せてる。眼福とはこのこと。もっと肉肉しい。それがいい。この女優さんまじがんばってるから。ほんとに踊る。踊る。女を振りまいておどる。すごいよ。とりあえずこの曲をマイノリティが踊るとかっこいいんだ。白人じゃできない。白人はこの怒りがないんだよ。
あとね、気がついたのは『Am I Pretty]』がナタリー・ウッドのときはもっと脳天気なシーンでてきたのに、今回はかなりしんどい最後のシーンでこの歌がでてきたのよ。悲劇の演出らしいけど、悲劇過ぎて観客は乗れないわよ。この順番だと。決闘シーンの後にこんな能天気シーン出してもつらすぎる。
あと、前作ではなんでてるのかわからなかったレズビアンもねぇ、一生懸命なんだけど、解決はできないところが切なかったね。。順番戻るけど一番おもしろかったのは、ワル君たちが情報提供を求められ警察署で歌うあのシーン。あれ、前回ありましたっけ?あの歌、歌詞といい、ダンスといい、うまいなーと思ったわ。完璧すぎたわ。何回撮りなおしたのかしら?と素人ながら思うほど良かったわ。
また、アニタの女優がWでててるのも良い。前のアニタ(リタモリノ)があのグローサリーの未亡人なんだけど、アニタが最後ちかくで
「Some day, some where」とか歌いだしたらあたしもう涙腺崩壊
だって、第一作目から60年近く経ってるのに世界はかわってないんですよ。まだまだ人種差別も、それによる経済格差もかわらない。NYは変わっただろうけど、人は変わってない。彼女がしんみり歌うあのシーンに前アニタを知ってると余計に涙でるわよ。
一作目と違うチコ重要な役なんですけど、第一作目と比べるとチコさん、、少しはハンサム使ってます。(マリアのフィアンセね)第一作目のチコのオーラのなさってマジひどかったもの。
とりあえずマリア本人が歌ってるので、さすがよ。トニーはベイビー・ドライバーの背の高いだけが取り柄の彼なんだけど、すんごく雰囲気に合っててよかったわ。彼、顔に表情もなにもないけど、デクノボー感。ダンスもちょっとね。昔もそうだったから。
とりあえずもっとこの映画を繰り返し見ないと行けない気がしました。そして原作を読まないといけない!スピルバーグも隠れたメッセージをもっと読みたい。ほんと。おすすめよ!