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【映画ドラマよもやま】Stateless(ステートレス): アイデンティティの複雑さを浮き彫りにする時宜を得たドラマ

日本のパスポートはパスポートとして最強であると言われる。経済力もさながら、内政が安定しているというポイントが大きい。私がこれを意識しだしたのはあの大韓航空機爆破事件の金賢姫が飛行機に乗る時に蜂屋真由美という日本人パスポートを見せたらほぼノーパスで通じた日本すごい!という彼女の自伝を読んでからで、へー日本すごいー、と40年間ぐらい意識下にはある。

今の所、敵対する国が少なくて、多くの国にヴィザ無しで入れるつまり、難民としてそこにとどまらない保証がある。。日本は世界で最強なのはめでたく誇らしいことであります。

前フリはここまでにして、今日もNetflixドラマの紹介。そして珍しくオーストラリアドラマ。テーマがちょっと重いんだけどミニシリーズで見やすいので、是非とも見ていただきたく。

タイトルはStateless 彷徨いの行方 ステートレスとは国籍や市民権のない人、難民のことですね。Sans Papiers. 自分の証明ができない人の意味。パスポートがない人というタイトル。つまり、現実の世界で千と千尋の神隠しのような人々の話なのです。


このドラマを見るまで私は難民とかStateless(紙がない)人たちと直接関わったこともなかったし、そこまで興味がなかったんだけど、7Millionの人たちが地球上で難民として暮らしている。その半分が子供。。(実際UNHCRのページを見ると10Million つまり1千万人、日本の人口の約10分の1) と書いてあり愕然としました。

今、この地球上でほぼ東京の人口全員が把握されてるだけの数での難民ってどういうこと?もうこれって人権派とかそういう人の仕事だけじゃなくて、もうこの世界的な構造の問題じゃないか?と思えてきたのです。
しかも毎年増えてると。。。えええ?ほんまでっか?!

物語はオーストラリアの移民局の拘束キャンプでの拘束する側、拘束される側の接点を主人公たちのそれぞれの立場で描かれます。

拘束側は我々視線ですね。

ネフリの加入者とか、ペーパーのある人。

だから管理側の人間の視線。結構きついです。言葉もわからない、ステートレス相手の管理ですからこうなってしまうのかも。。と納得させられます。そういえば日本の入管の人たちのスリランカ人への暴力死もまだ記憶に新しいところでしょう。あれも実は日本人だけが凶暴ではなく、多くの国で行われてることだったのですね。。。

最低の人権に配慮しながらも、決して容赦はしない管理側。

手続き的に、ここで拘束し、ビザを発行するのですが、人身売買の手先を入国させることは豪州政府としても許さないし、難民認定するには、迫害を証明された人でないといけないのです。ならば、紙のない難民全員に前科を調べるのでしょうか?人権が全てでないことがここで暴かれます。ただ、誰かが国境を守らなければならない、難民たちの人権も守りながら。。そのせめぎあいでみんな戦ってる姿が描かれます。

刑務所や入管などの警備は彼の国は、警備会社民間にやらせているのも発見しました

警備会社の連中のクオリティは様々で、荒くれ者もいれば、優しい役に立たないような人もいる。彼らだって全員が白人男性ではないのも演出でしょう。一番凶暴な女性主任が少数民族という設定があまりにも自然でまさにあるあるでした。

そして

被拘束側は

新興宗教から逃れて精神をボロボロにされたオーストラリア女性、密航業者に騙され殺人の片棒を担いだお父さんとその娘。彼は名前さえない。名前で呼ばれず、番号で呼ばれるのも非常に象徴的。

収容所の難民はみなオーストラリアに入りたくてきてるのに、この白人女性だけが豪州人なのに妄想のドイツ人になりすましドイツに送ってくれというこのおかしな状況で話が進むのです。

理想と、現実と、経済と、宗教と、家族と、世界の富の格差、移民問題と全てがつながっていることを気が付きます。そして、この主人公たちがまた弱さを見せみな失敗をし、それでもまた新しいステートレスがまた来る・・・

この主人公たちは全員女性。だから好きになったのかも。


(オーストラリア美人とはニコール・キッドマン、マーゴット・ロビー、シャーリーズ・セロン、トニー・コレット、ケイト・ブランシェット然り、みんな金髪なんだね。ま、英国系だからそうなるんだろうけど、移民局の美人課長?が素敵でした)

人権とはなにか?人権週間なんて意味がないのがよくわかります。人権なんて目が見えない。ただ、可視化されるのは、非常時に豪州人パスポートがあればすぐ病院に運ばれ、治療を受けられる。ステートレスは殴られるか溺れるだけ。


先進国の人権は守られ、ステートレスは虫けら以下であるということ。これも全く驚きません。


ネットができて国境がないとはいえ、パスポートこそが今のバラバラの市民を繋いでいる最後のフィジックな紙書類でしょうか。

今の時代にパスポートという紛失の可能性のあるノートが国境で使われる事にも疑問がわきます。

スマホ化され、次は体内チップでいいかもしれません。

それに登録されてなければもう未来世紀ブラジルなのか。・・

今のウクライナの人もみんな移動してきて西側に来ています。ウクライナ難民は500万人になるそうです。でも彼らは携帯電話をもっているし、メールアドレスを持っているからリアルステートレスとは言えないでしょう。でも国がない。ステートレス亜種というべきでしょうか。

このシステムからこぼれ落ちた人が地球上で把握するだけでも東京都の人口が全員難民だなんて、なんか気が遠くなります。。

フランスの大統領選挙の議題のひとつになっている気候、エネルギー、移民、格差・・・ますます目に見えるようになってきた2022年。。色々考えさせられるドラマでした。是非ともご覧になってください!



Cate Blanchett meets with young Rohingya refugees at a temporary learning centre in Kutupalong refugee settlement in Bangladesh in March 2018. ©UNHCR/Hector Perez

皆様のビジネスのインスピレーションになれば幸いです。

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