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スクリーニングテストは”疲労後”に行うと良い?

▼ 文献情報 と 抄録和訳

機能的運動スクリーンテストは、怪我のリスクを予測するものであれば、適切な時期に実施されているか?

Kocak UZ, Unver B: Are Functional Movement Screen Tests Performed at the Right Time, if It Is an Injury Risk Predictor?. J Sport Rehabil. 2020. 17;1-5.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景] スポーツ障害は、選手が疲労しているときに発生しやすく、試合終了時に発生することが多いため、傷害スクリーニング検査を採用する適切な時期を決定することが重要である。

[目的] 障害リスクのスクリーニング方法として頻繁に用いられるFMS(Functional Movement Screen)のスコアに対するタイミング(試合前と試合後の疲労)の役割を明らかにする。

[方法] プロチームに所属する女性サッカー選手24名を対象とした。主な評価項目は疲労感を表すビジュアルアナログスケールとFMSとした。評価は60分の試合の前と後に行った。

[結果] ディープスクワット、ハードルライン、インラインランジ、トランクスタビリティプッシュアップのサブテストスコア、およびFMSのトータルスコアは、試合後に有意な減少を示した(P < 0.05)。試合前と比較して、試合後に最高得点である3/3を達成できた選手の数は、右肩の可動性を除くすべてのサブテストで低かった。

[結論] 今回の結果から、知覚疲労度とディープスクワット、ハードルライン、インラインランジ、トランクスタビリティプッシュアップの各サブテストのスコア、およびFMS総スコアにおけるパフォーマンスとの間には負の関係があることが示唆された。したがって、著者らは、試合後に選手に疲労が見られる場合には、FMSなどのスクリーニングテストを採用すべきであると提案している。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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ポイント
FMSなどのスクリーニングテストを実施するタイミングは、”運動疲労後”に行うことが最適である
面白いと感じた理由
スクリーニング検査を行う、”タイミング”に着目した点。着眼点が面白い!

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FMSの評価内容に関しては、下記の記事が分かりやすい。

今回の論文では疼痛との関連は調べていないようなので、疲労後のFMSスコアの低下が、障害に繋がるかはわからない。しかし、ここからは私の考察であるが、先行研究にて『疲労は姿勢の非対称性を高める』ことが明らかにされてきているため、疲労後にFMSを行うことで、実際に姿勢の非対称性が生じているかを評価できるかもしれない。障害は様々な因子が複雑に絡み合って生じることが多いため、評価を行う”タイミング”とその”解釈”には今一度注意していきたい。

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最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。

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