【英論抄読】股関節骨折手術後6ヶ月以内の転倒の予測因子としてのTimed "up & go "テスト
📖 文献情報 と 抄録和訳
股関節骨折手術後6ヶ月以内の転倒の予測因子としてのTimed "up & go "テスト
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💡 ポイント
📚 概要
[背景と目的]
転倒の予測因子としてのTimed "Up & Go" Test(TUG)スコアに関する先行研究は、主にレトロスペクティブなデータに基づいており、股関節骨折患者の転倒を予測するTUGに関するプロスペクティブな研究は存在しない。本研究の目的は、急性期整形外科股関節骨折病棟の退院時に得られたTUGスコアが、6ヶ月間のフォローアップ期間中に股関節骨折患者の転倒を予測できるかどうかを明らかにすることであった。
[対象者]
本研究の対象者は、股関節骨折をした高齢者79名で、急性期整形外科股関節骨折専門病棟から自宅または介護施設へ直接退院する際にTUGを実施でき、59名(75%)が追跡インタビューに参加することが可能であった。
[方法]
この前向き研究では、全対象者に退院後の転倒について6か月間の追跡面接のために連絡した。退院時(術後10日目の中央値)に実施したTUGのスコアを、骨折前の機能レベルや入院時の精神状態、性別、骨折の種類、居住地、骨折前後の歩行補助具などを記載したNew Mobility Scoreと比較検討した。すべての被験者は、1日2セッションからなる集中的な理学療法プログラムを含む、マルチモーダルな高速リハビリテーションによる明確に定義されたケアプランに従っており、退院は標準化された基準に従って行われた。転倒の予測について全変数の解析と相関を調べ、感度、特異度、予測値、尤度比を算出した。転倒は「なし」または「1回以上」に分類された。
[結果]
59名の追跡調査対象者のうち、19名(32%)が退院後の期間に1回以上の転倒を経験し、そのうち4名が新たな股関節骨折を生じていた。退院時に実施した24秒をカットオフ点とするTUGは、6ヶ月の追跡期間中の転倒を有意に予測する唯一のパラメータであり、転倒者であることを非転倒者とする負の尤度比は0.1であった。
[考察と結論]
この結果から、TUGは新たな転倒リスクのある股関節骨折者を特定するための感度の高い指標であり、今後、転倒に対する予防策を講じるべき対象者を決定するためのアウトカム指標の一部となるべきであると考えられる。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
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今回は古い論文を紹介した。内的妥当性の低さや、DiscriminationやCalibrationの問題は残るは、そうした批判的吟味は今回はしない。
着目したいのは、何故『TUG』なのか、ということだ。
股関節骨折患者の場合、当然、股関節機能が低下する。ここでTUGと10MWTとの大きな違いは、方向転換にある。この方向転換時により股関節周囲には高い機能が要求されることが考えられる。
なので、カットオフ値の24秒はあくまで目安として頭に入れておき、「股関節骨折患者に対して何故TUGスコアの改善が重要であるのか」を各々が考察して臨床に臨むことが重要だ。
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医療従事者における道徳感についても記事にしていますので良かったら読んで頂けると嬉しいです。
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