【医療従事者×○○】1000人インタビュー#4
■はじめに
【1000人インタビュー】シリーズではどのような記事を発信しているのか
この記事は、医療従事者として働きながら外部活動を積極的に行っている方(バーベル戦略実践者)に対して行ったインタビュー内容をまとめたものです。
■バーベル戦略ってなに?
リスク・不確実性の研究者として有名なナシーム・ニコラス・タレブ氏が提唱している概念です。
医療従事者であるぼくなりの言葉でいえば、
『医療従事者として働きながら、もう一方で自分がやらずにはいられないと思うビジネス・趣味・社会課題などに対して活動していくこと』
といえます。
バーベル戦略を用いて働いている医療従事者を、「バーベル戦略実践者」とぼくは呼んでいます。
どんな方に読んでいただきたいか
✅外部活動(複業や社会活動など)を取り組みたいけど、どのように始めたらよいか分からないという方
✅働き方に悩んでいる医療従事者
主には上記の方に向けて記事を書いています。
もちろん、上記以外の方でも参考になるところがたくさんあると思います♪
■医療従事者と並行して実施している外部活動は何ですか?
看護師として働きながら、写真家のプロ活動として活躍されているけんでぃさん。
プロ活動を本格的に始めた当初は、家族写真を中心に撮影されていました。現在では、個人事業主の起業家さんに向けた「ブランディング撮影」を主軸に活動されています。
ブランディングとは、「この人と言ったら、これ!」のようにその人のイメージをファッションで表現し、さらに認知と価値を高めること。例えば、赤い服を着た芸能人=カズレーザーさん。
このように「赤い服」と聞くと、すぐに人物が連想できますよね。起業家さんにとって、自分を覚えてもらうことは成果に繋がるのでとても大切なことなのです。
けんでぃさんにとってビジネスの先生でもあるビジネスデザイナーのAさんとタッグを組み、ブランディング撮影会を全国各地で開催されています。
■外部活動を軌道に乗せる秘訣は何ですか?
💡顧客がどのようなマインドセットをもっているか
家族写真を主軸に活動されていた頃には、活動の限界を感じていたと話すけんでぃさん。
現在でも家族写真を撮影していますが、収益を考えたときに、以下の点で家族写真のみの活動では薄利多売になってしまい、体力的にも疲弊していってしまうと言います。
✅撮影頻度の少なさとリピーター率の低さ
家族写真の場合、お宮参りや七五三など、イベントごとにご依頼は多くあります。
しかし、1回きりの撮影になってしまったり、そもそも家族写真は1年に1回であることが多く、プロに撮影してもらうかどうかで悩むご家庭が多いのです。
一方で、ブランディング写真では以下の点で、カメラマンとして軌道の乗せやすいと思われます。つまりは家族写真の場合と逆です。
✅撮影頻度の多さとリピート率の高さ
起業家さんはご自分の写真を毎日SNSに投稿しています。そのため季節ごとの写真など多くの写真が必要になってくるので、年に数回撮影する方が多いです。
また、起業家さんの多くは、「先出し後回収」というマインドなのだそうです。
つまり、先行投資を惜しまない。
そのため、撮影料金が家族写真の倍であってもご依頼があり、良いと思えばリピーターになっていただけると言います。
面白いなと思ったのは、家族写真はそもそも、「先行投資」のために依頼するわけではないですよね。
とすると、顧客(ターゲット)が撮影をご依頼する目的に「先行投資」が含まれていると、価格設定やリピート率といった点で有利なのではないか、という仮説が立ちます。
これはきっと、カメラマン以外の外部活動をされる方にとっても、ポイントになりそうです。
けんでぃさんは、ゆくゆくはカメラを指導する立場としての仕事にも力を入れていきたいと話します。
その理由にはフィールドプレーヤーとして活動し続けることの限界を見越して、ということもありますが、この場合の顧客はカメラを教わり行く人であって、まさに「先行投資」ですよね。
💡人生の大きく変える出会いはいつ来るか分からない。だからこそ迷ったときは「やるか、どうやるか」。
けんでぃさんは現在(2024年7月時点)、『未来を変える写真家アカデミー』というコミュニティとビジネスに関するコミュニティに所属しています。
先述した、ブランディング撮影時にタッグを組んでいる方(以下、Aさん)との出会いは、『未来を変える写真家アカデミー』のオフラインの勉強会だったようです。
大阪で行われたこの勉強会で、Aさんはモデル役として来られていました。
そこで初めて知り合い、Aさんの活動内容やビジネスに対する考え方などを聞いたとき、けんでぃさんは「ファンになった」と言います。
Aさんは、元々現在のブランディング撮影の構想を考えており、カメラマンを探している状況でした。
そんな「偶然」ともいえるタイミングで、お二人は出会い、現在に繋がっています。
ただ、ぼくの個人的な感想では、お二人の出会いは「必然」であったように思います。
その理由は、けんでぃさんのマインドセットです。
そう、それが、「やるか、どうやるか」というマインドです。
カメラマンを始めた当初は、東京での撮影会がある際にも、地理的な関係(けんでぃさんは群馬県在住)で、行くかどうか迷うことがあったと言います。
しかし、多くの起業家やビジネスマンと交流する中で、「迷ったときにやらないという選択肢はない、やるか、どうやるかだ」というマインドセットを教わり、けんでぃさんは「ビリビリ」きたと話します。
この話を聞いて、ぼくは大変耳が痛くなりました(笑)。
たぶんぼくなら、けんでぃさんと同じ状況であっても、大阪での勉強会は行っていないと思います。
ぼくも群馬在住なので、「遠いな」とか「移動費が高いな」とか、「家族になんて説明しようかな」とか言い訳を並べて、本当は行きたい気持ちがあるのに、蓋をしてしまっていたでしょう。
でも、それじゃダメなんです。
「やるか、どうやるか」。
言葉で聞くだけだと、「まあ、そうだよな」で終わってしまうかもしれませんが、実践しようと思うと、かなりハードルが高いです。
でも、けんでぃさんは実践してきた。
だから、現在の活動に繋がっている。
そう、このマインドセットが、けんでぃさんの活動を支える大きな柱となっているのです。
もちろん、マインドセットはすぐには変わりません。
けんでぃさんも、きっとそうだったでしょう。
それでも、継続すれば、マインドセットも、活動も、良い方向に変わっていく。
けんでぃさんとのインタビューを通して、外部活動やビジネスの根幹に関わる重要なマインドセットを学ぶことができました。
あとは、実践するのみ(自分に言い聞かす)!
■外部活動を始めて、働き方にどのような変化がありましたか?
💡『両輪』であることの強み
カメラマンとしての活動を増やしていき、いずれは本職の看護師は時短やパートで働いていきたいと話すけんでぃさん。
カメラマン一本で働くのではなく、看護師×カメラマンという『両輪』で働くのは何故でしょう。
理由の一つは、カメラマンとしての活動の「楽しい」を重視しているからです。
先述したように、「やるか、どうやるか」というマインドセットであるけんでぃさんですが、もちろん何でもかんでも「やる」わけではありません。
「やるか、どうやるか」というマインドセットが発動するのは、内発的にやりたいと思うこと、つまり「ワクワクすること」に対してであると言います。
この辺りは、ぼくが尊敬する山口周さんの著著『ビジネスの未来』で示される、「人間性に根ざした衝動」とマッチするところかと思います。
山口さんは、現在の社会の課題として、「エコノミーにヒューマニティを回復させること」を挙げ、その実現の鍵となるのが、「人間性に根ざした衝動」に基づいた労働であると述べています。
こうした「楽しい」や「ワクワク」といった衝動を重視して働くためには、両輪のもう一方で、ある程度の安定した収入が必要になります。
まさに、ぼくが推奨する『バーベル戦略』そのものですね。
バーベル戦略実践者だからこそ、カメラマンとしての活動の「楽しい」を忘れずに、お金だけに囚われることなく、継続することができるのだと思います。
💡けんでぃさんの仕事の哲学
もう一つ、けんでぃさんが両輪で働く、つまりバーベル戦略実践者である理由は、けんでぃさんの仕事の哲学に由来します。
それは、「人を笑顔にしたい」という想いです。
それは仮に、ペット写真や料理写真、建築写真を撮影する際も同様だと話します。
ご依頼者様、そのお写真を見た方を笑顔にしたい、という想い。
それはもちろん、看護師業務にも通じています。
患者様、ご家庭の方を笑顔にしたい、という想い。
「人を笑顔にしたい。そのツールとしてのカメラがある。」とけんでぃさんはおっしゃっていました。とても、素敵な言葉です。
カメラや看護師の技術を磨くことも大事だけど、その前にこうした哲学(ビジネスの基礎)を磨いておかないと技術も活かせない、というお話もされていました。
別の表現をすれば、「戦略と戦術」の関係にも似ていますね。
戦略をしっかり練らなければ、いくら緻密な戦術を立てても、意味がないのと一緒です。
けんでぃさんご自身は、仕事の哲学に関して、「まだ明確な答えは出ていない」と話しますが、上記の「人を笑顔にしたい」という想いは、けんでぃさんの活動を根底から支えているように思います。
看護師×カメラマンという選択もそうですし、ブランディング撮影を主軸としつつ、それを専門とはせず、家族・ペット・料理・建築など様々なジャンルのご依頼にも対応されているのは、「人を笑顔にしたい」という哲学に基づかれた良質な意思決定であると、ぼくは思います。
■まとめ
✅外部活動を軌道に乗せ、継続する秘訣は、「やるか、やらないか」というマインドセットをもつこと。
また、「先行投資」を目的とした顧客がターゲットとなると、リピート率や収益性の関して有利になる。
✅看護師×カメラマンという「バーベル戦略実践者」であることの強みは、特に外部活動において、お金だけに囚われずに「楽しい」や「ワクワク」といった衝動を重視して取り組むことができること。
✅看護師業務やカメラマンの仕事はあくまで「ツール」でしかない。その根本原理となる仕事の哲学をもっておくことで、ビジネスにおいて良質な意思決定をすることができる。
次回のインタビュー記事もお楽しみに♪
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【補足】
インタビュー記事の趣旨とはズレますが、「ブランディング撮影」という分野、個人的にとても興味深かったです。
というのも、人が誰かを記憶するということは、様々な事象に関連付けられてなされることだからです。
例えば、顔と名前は聞いたけど、他に何の印象や特徴もない人のことを、ぼくたちは覚えておくことができるでしょうか。
一方で、ぱっと見ただけでも特徴的な人物は、すぐには忘れないはずです。
何故なら、上記の図のように、人間の脳は何かを記憶する際に、様々な関連情報を必要とするからです。
そういった様々な関連情報、その個人に特有の関連情報が、見た人の頭に瞬時に想起されるお写真。
それがブランディング撮影なのではないかと、けんでぃさんのお話を聞いて思いました。
いやー、面白いですね。
「人間の脳は何かを記憶する際に、様々な関連情報を必要とする」という知識は、写真以外の様々な外部活動にも応用できそうですね。
【補足2】
これはインタビュー記事とも関連があるのですが、「先行投資(自己投資)」の重要性について。
けんでぃさんご自身も、多くの起業家さんと同様「先出し後回収」というマインドによって、高いモチベーションや活動性を維持しているようです。
けんでぃさんは直近の2年間で、カメラマンとしてのプロ活動のために200万円以上、「先行投資」をしているそうです。
もちろんご家族も承知のうえで、です。
2児の父でもあるけんでぃさんは、ここまでの先行投資しているからこそ、家族のためにも半端なことはできない、したくないと話します。
特にけんでぃさんのような高いレベルで外部活動をしていくためには、そこまでの覚悟が必要でしょう。
また、厳しい言い方をすれば、そうやって自分をあえて追い込むことで、高いモチベーションや活動性を維持しているように思いました。
【補足3】
補足の最後に、けんでぃさんのマインドセットと「幸福論」について考えてみたいと思います。
インタビューを通して、けんでぃさんという人物を一言で表現するのではあれば「行動する人」であると感じました。
「やるか、どうやるか」というマインドセットにそれが現れていますね。
それで、まさに「行動する人」っていうのが、「三大幸福論」の一つ、アランの「幸福論」の中で、幸福になるための重要なポイントとして示されています。
何故、急に幸福論の話をするかというと、「何故、外部活動やビジネスをするのか?」という問いに直結するからです。
ぼくは、医療従事者として働きながら外部活動を精力的に行う「バーベル戦略実践者」になることを推奨していますが、全ての医療従事者に推奨したいわけではありません。
今現在、バーベル戦略実践者でなくても「幸せ」であるなら、推奨する理由はありません。
そもそも、仕事をする、ビジネスをする、外部活動をする、それらの目的は突き詰めれば結局、「幸せになるため」ですよね。
なので、今現在働いていても幸せと感じられない。むしろ不幸にすら感じる。
そのような方であれば、是非、バーベル戦略実践者になることをおすすめします。
何故なら、自ら進んで行動することが、アランの示す、「幸せの秘訣」だからです。
けんでぃさんとインタビューをしていてもう一つ感じたことは、「すごい、イキイキしているな」ということ。
けんでぃさん自身は、多くの起業家さんと関わる中で、ビジネスにとって大切なマインドセットとして、「やるか、どうやるか」を教わったようですが、これが、「幸福」と繋がっていることは偶然ではないと思います。
多くの起業家さんやけんでぃさんも、「やるか、どうやるか」はビジネスにとって大切なだけでなく、自分や周りの人が幸せになるために必要なマインドセットなのだ、ということを潜在的に理解されているのだと思います。
だから、このマインドセットを持とうと強く思えるし、継続できる。
なので、外部活動をしようか迷っている方がいれば、是非行動してみてください。
もちろん、困難なこともあるでしょう。
でもその先にきっと、「幸せ」が待っているはずです。
少しでも参考になりましたら、サポートして頂ければ幸いです。