筋疲労は姿勢の非対称性を高める
▼ 文献情報 と 抄録和訳
姿勢制御時の運動戦略は筋疲労の関節依存性はないが、筋疲労は姿勢の非対称性を高める
T Penedo, PF Polastri, ST Rodrigues, et al.: Motor strategy during postural control is not muscle fatigue joint-dependent, but muscle fatigue increases postural asymmetry. PLoS One. 2021;16(2):e0247395.
[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar
[目的] 足首と股関節の筋疲労が、静かな立位課題中の姿勢制御の運動調整(実験1)と対称性(実験2)に及ぼす影響を調査することである。
[方法] 23名の若年成人が、足首と股関節の両側の筋肉疲労プロトコル(無作為化)の前後に、別々の力覚台で二足歩行の姿勢課題を行った。足首と股関節の筋肉は、それぞれ制御された動作周波数(0.5Hz)で、段差のある場所での立位カーフレイズプロトコル(足首の疲労)と、椅子に座っての股関節の屈曲・伸展(股関節の疲労)を用いて、別々に疲労させた。いずれの実験でも、力、圧力中心、筋電図のパラメータを測定した。実験2では、パラメータの姿勢的非対称性を分析するために対称性指数を用いた。
[結果] 筋疲労は、疲労した筋部位(足首、股関節など)にかかわらず、姿勢安定性を損なうことがわかった。また、若年成人は、足首と股関節の両方の筋疲労プロトコルの前後で、足首の運動戦略(実験1)を使用していた。さらに、筋疲労後の静かな立位課題では、下肢間の非対称性が増大することがわかった(実験2)。
[結論] 姿勢運動戦略は筋疲労関節依存性ではなく、疲労部位(股関節、足首)に関わらず、疲労課題は姿勢の非対称性を増加させると結論づけることができる。これらの知見は、非対称性に対する疲労の影響を軽減し、バランスを改善することを目的としたスポーツトレーニングやリハビリプログラムに応用できると考えられる。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
今回の結果は、結論でも示してあるようにスポーツ障害において有益な情報となる。特に『オーバーユース障害』が何故生じるかを考えるとき、『非対称性』の影響を考慮し、治療戦略を立てていくことが重要だろう。
投球障害を例に考えてみよう
試合の後半で肩痛が生じる投手がいるとする
病院に勤務する担当療法士は、実際に試合を観に行ける機会はない
そこで、試合後の『姿勢の非対称性』に着目し、そこから試合後半での投球フォームの変化を推察することにした、、、
あくまで一例であるが、治療戦略を立てる上での一助となる論文であることは間違いない。
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