▼ 文献情報 と 抄録和訳
障害物を乗り越える際の身体能力の自己推定は視覚的高さ知覚に媒介されない:若年者と高齢者の比較
[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar
[目的]
高齢者は、自分の踏み台昇降能力を過大評価する傾向がある。しかし、その原因が身体能力の不正確な自己推定によるものか、身長の不正確な認識によるものかは不明である。そこで、若年者と高齢者の視覚的な身長知覚能力と踏み台昇降能力の自己推定を測定した。
[方法]
✓高齢者47名と若年者16名を対象に、高さ知覚テスト(HPT)と踏み台昇降テスト(SOT)を実施した。
✓参加者は、HPTでは7mと1mの距離から縦棒の高さを視覚的に判断し、SOTでは踏み台昇降動作を自己推定し、その後、実際に踏み台昇降動作を行った。
[結果]
✓視覚的高さ知覚において若年者と高齢者の間に有意差は認められなかった。
✓SOTでは、若年成人は自分の踏み台昇降能力を過小評価する傾向があったが、高齢者は自分の能力を過大評価するか、若年成人に比べて過小評価する程度が小さかった。
✓視覚的高さ知覚は、若年者、高齢者ともに踏み台昇降能力の自己推定値と相関がなかった。
[結論]
これらの結果は、一部の健康な高齢者に見られる踏み台昇降能力の自己過大評価は、視覚的高さ知覚の性質によるものではなく、身体能力の自己評価それ自体が加齢に関係すると考えられるなど、他の要因によるものである可能性を示唆するものであった。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
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✅身体機能の過大評価に関しては、他の論文では以下のように述べられている。
私たちにできることは、高齢者が身体機能を過大評価しやすいことを”認識”し、それを適切に”評価”でき、過大評価の原因になるものに対して、”アプローチ”ができる、ということだろう。
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最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。
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