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【英論抄読】車椅子の足漕ぎ

▼ 文献情報 と 抄録和訳

遅延時間予測を用いた対麻痺後のリハビリテーションのための脳制御型サイクリングシステム

Nakatani S, Araki N, Hoshino T, Fukayama O, Mabuchi K. Brain-controlled cycling system for rehabilitation following paraplegia with delay-time prediction. J Neural Eng. 2020 Dec 8.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar

[目的]
中枢神経障害による下肢麻痺患者の運動機能回復を支援するために、ロボットリハビリテーションシステムが検討されている。これらのシステムは、運動に関する適切な感覚的フィードバックを提供することを目的としている。

[方法]
本研究では、Brain-Machine Interface(BMI)を搭載し、通常の踏み込み速度と素早い反応を含むことで脚を強制的に動かすことができるエルゴメトリック自転車車椅子を設計し、評価を行った。実験は、健常者5名と下肢の完全麻痺を経験した脊髄損傷者1名を対象に実施した。下肢運動イメージの検出には、βバンド(18-28Hz)の事象関連非同期化(ERD)を用いた。

[結果]
エルゴメータを用いたBMIシステムは、安全かつ容易に患者に脚動作を行わせることができ、約1.6秒/ステップ(19rpm)の速度で、SCI参加者のオンライン正確率は73.1%であった。合図からペダリング開始までの平均検出時間は0.83±0.31秒であった。

[意義]
本システムは実験中、通常の歩行速度を容易かつ安全に維持でき、意図的な開始と身体動作の間に予想される遅延に対応できるよう設計されており、各参加者のリハビリテーション効果を実現することができる。リハビリテーションシステムと一緒に実装された同様のBMIシステムは、様々な患者に適用できる可能性がある。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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✅本論文と同じものではないが、日本国内にはこのような車椅子も存在する。

https://www.daiwalease.co.jp/service/ict/04kaigo_cogy.html

整形外科疾患においても、下肢の全荷重開始までに期間が要する症例に対しては、車椅子の足漕ぎを練習することがある。その中ですぐに上達する症例と、そうでない症例がいる。車椅子の設定や認知機能、下肢・体幹筋力を考慮しても、その差はなんなのであろうかと常々疑問に思っている。

また、本論文のように、”歩行に活かす足漕ぎ”というのが、療法士にとっても、きっと患者さんにとっても魅力的であると思う。

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医療従事者と研究活動における道徳感についても記事にしていますので良かったら読んで頂けると嬉しいです。

最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。

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