【英論抄読】股関節骨折患者の入退院の曜日と30日死亡率の関連性
📖 文献情報 と 抄録和訳
股関節骨折患者のケアパスにおけるマイルストーンの曜日と30日死亡率の関連性:前向き全国登録からの知見 - The National Hip Fracture Database of England and Wales(イングランドとウェールズの全国股関節骨折データベース
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DOI, PubMed(Full text), Google Scholar
💡 ポイント
📚 概要
[背景]
最近の報告では、週末に入院した患者の死亡率が上昇することが示されているが、これらの知見はケースミックスや資源提供の複雑さに対して十分な調整がなされていない可能性がある。股関節骨折は一般に虚弱な合併症のある集団で発生し、緊急入院を促す一貫した診断が必要である。そこで、この集団において、ケアパスにおけるマイルストーンの曜日と30日死亡率の関連を検討することを目的とした。
[方法]
股関節骨折の前向き全国データベースのデータを用い、一般化線形モデルを用いて、入院・手術・入院・退院の曜日(ケアパスのマイルストーン)と30日死亡率の関連を検討した。データは2011年1月1日から2014年12月31日の間に、241,446人の患者について収集された。患者特性、非外科的介入、外科的介入、退院時の特性を用いて、増分ケースミックス調整戦略を実施した。
[結果]
入院日は30日死亡率と関連しなかった。日曜日の手術(OR, 1.094; 95% CI, 1.043-1.148; P < 0.0001) および24時間以上の手術の遅れ(OR, 1.094; 95% CI, 1.059, 1.130; P < 0.0001) はともに30日死亡率の9.4%の上昇と関連していた。日曜日の退院(OR, 1.515; 95% CI, 1.224, 1.844; P < 0.0001) および時間外の退院(OR, 1.174; 95% CI, 1.081, 1.276; P < 0.0001) は、それぞれ30日死亡率の51.5%と17.4%の上昇と関連した。入院中の死亡率は、平日と比較して週末は5.6%低かった(IRR, 0.944; 95% CI, 0.909, 0.980; P = 0.003)。
[結論]
股関節骨折で入院した患者における一般的な週末の効果を示す証拠は限られている。資源の利用を最適化することは、医療サービスを計画し提供する上で不可欠な要素である。入院後24時間以内に手術に至るような介入は正当化される。日曜日の手術、退院、時間外退院などの要因については、さらなる調査が必要である。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
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普段の臨床において、頸部骨折患者に対するリハビリテーションを行う際、「骨折してから何日も待って手術したんですよ~」といった会話をすることは意外と多い。
今までは、「ふむふむ、じゃあ廃用や筋力低下の程度もしっかり評価しておかなくちゃな」と思う程度であった。こうした機能面の低下だけでなく、死亡率の上昇にもしっかりと関連があることを、リハビリ職種に認知しておく必要があるだろう。
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医療従事者における道徳感についても記事にしていますので良かったら読んで頂けると嬉しいです。
最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。
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